きものダイアリー

中井貴一さんがまとうきもの正月「粋に年を重ねていきたい」

丑年生まれの時代の顔“年男年女”がまとうきもの正月 最終回(全5回) 豪華な振袖や粋な羽織袴など、お正月にふさわしいきもの姿で微笑むのは2021年の“年男年女”のみなさん。さらなる飛躍の年の幕開けに、コロナ禍で考えたこと、これからのこと、真摯に語ってくださいました。前回の記事はこちら>>

「粋に年を重ねていきたい」中井貴一さん


藤鼠色地の色紋付きに仙台平の袴の準礼装。北斗七星をかたどったという七曜の家紋をつけた装いに風格が漂います。「とても好きな色ですね。実家の藤棚を思い出します」と中井さん。きもの、帯、羽織、袴一式/銀座もとじ 男のきもの 末廣/井澤屋 草履(雪駄)/銀座ぜん屋本店

中井貴一
1981年に映画『連合艦隊』でデビュー。現代劇、時代劇の両方に欠かせない正統派。映画『記憶にございません!』(2019年)で日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞。21年はWOWOW開局30周年記念連続ドラマW『華麗なる一族』に主演する。テレビ東京系列にて『共演NG』が放送中。

夢を見ていただけるこの仕事に
プライドを持って、演じ続けます

お父さまの名優・佐田啓二さんを37歳の若さで亡くしたことから、年齢については特別な思いがあるという中井貴一さん。

「37歳になったときは父親の年齢を超えられるのかと不安になったこともありました。60歳を前に思い浮かぶのは、僕の名づけ親の映画監督、小津安二郎先生です。小津先生はご自分の還暦の誕生日にお亡くなりになったんですね。その年齢を迎えるということに、自分としてはちょっと違和感があるのです。でも、若い頃から年齢に逆らおうという思いはまったくなく、年相応に粋に年を重ねていきたいと思っています」。

2021年4月スタートの主演作『華麗なる一族』は全12回の連続ドラマ。

「万俵(まんぴょう)家の物語をしっかり描きますので、原作の世界をそのままご覧になりたいというかたのご期待に添えると思います。僕が演じる万俵大介はセリフが多いうえに、『金融再編成』『統一会計基準』といった専門的な言葉も多く、"脳トレ"の毎日です(笑)。勉強をしながらセリフを覚えていた大学時代、卒業したら楽になると思っていたのですが、とんでもない。40年間ずっとセリフと格闘しています」。

そんな中井さんはコロナ禍による外出自粛期間明け、三谷幸喜監督の舞台『大地』を鑑賞して思いがけない体験をしたといいます。

「カーテンコールで涙が止まらなくなったんです。実はそれまで僕はカーテンコールの必要性について懐疑的だったのですが、舞台に並んだ役者さんたちを見て、『よかったね!』と感極まってしまって……。同時に、心からありがとうと思いました。僕らの仕事はコロナ禍での再開が最も遅くなる分野に属するもの。でも、心が荒みがちな今、夢を見ていただける仕事だとも思うのです。僕はそのことにプライドと自信を持って、今後も俳優業に邁進していきたいと思います」。

その言葉から揺るぎない覚悟が伝わりました。

〔特集〕丑年生まれの時代の顔“年男年女”がまとうきもの正月(全5回)

撮影/鍋島徳恭 ヘア&メイク/藤井俊二 着付け/小田桐はるみ きものコーディネート/相澤慶子 取材・文/清水千佳子 撮影協力/バックグラウンズ ファクトリー

『家庭画報』2021年1月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。

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