きものダイアリー

浅野温子さんがまとうきもの正月「“よみ語り”をきっかけに、故郷を誇りに思ってもらえたら」

丑年生まれの時代の顔“年男年女”がまとうきもの正月 第3回(全5回) 豪華な振袖や粋な羽織袴など、お正月にふさわしいきもの姿で微笑むのは2021年の“年男年女”のみなさん。さらなる飛躍の年の幕開けに、コロナ禍で考えたこと、これからのこと、真摯に語ってくださいました。前回の記事はこちら>>

「よっこらしょっと、頑張っていきます」浅野温子さん


「大胆で豊か」と浅野さんが称賛したのは俵屋宗達の『槇檜図』を写した琳派のきもの。帯は格調高い格天井文様。きもの/京ごふく ゑり善本店(制作=染の川勝) 帯/増盛 帯揚げ/和小物さくら 帯締め/道明 バッグ、末廣/井澤屋 かんざし/てっさい堂 履物/銀座ぜん屋本店

浅野温子
1976年に女優デビュー。84年に映画『陽暉楼』『汚れた英雄』で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞。その後、トレンディ女優として一世を風靡。コミカル、シリアス両方の演技に定評がある。ライフワークは『古事記』や民話を題材とした“よみ語り”。國學院大學客員教授。

“よみ語り”をきっかけに、故郷を誇りに思ってもらえたら

撮影時には凜とした表情や艶っぽい仕草でスタジオ中を魅了した浅野温子さん。インタビューでは、おろした髪をかき上げながら、愛嬌たっぷりに話してくださいました。「これまでは『私今何歳だっけ?』なんて感じだったんですけど、還暦はやっぱり大きな区切りとして意識しますね。気力も体力も落ちていくなか、よっこらしょっと、一つ一つ頑張っていこうかなって。このよっこらしょ、前は人に見られるのが嫌だったんですけどね。今はもうOK!(笑)」。

明るく笑う浅野さんが、女優業のかたわら、17年前から熱心に取り組んでいるのが、『古事記』や民話を一人で語る“よみ語り”。東日本大震災復興支援事業として2012年にスタートした『イオン ふるさと発見伝』の公演は、年2回、神社や学校で小中学生を対象に行っています。

「目的は、それぞれの土地に伝わる民話を通じて、子どもたちに故郷のよさを再認識してもらうこと。だから毎回、会場がある地域の民話を掘り起こして、“よみ語り”の相方である阿村礼子さんに台本にしてもらうことから始まります。民話を聞いた子どもたちが、生まれ育った土地や先人たちを誇りに思ってくれたらいいなぁって、それがいちばんの願いですね。毎回苦労するのが、地元でも今の若い子たちは使わないような古い方言。会場に向かうタクシーのなかで運転手さんに聞いてもらって、最終確認することもあるんですよ。『この方言のイントネーション、合ってます? 大丈夫?』って」。

生き生きと語る浅野さん。最後に“よみ語り”の醍醐味を伺うと、「子どもたちの素直な反応ですね。私の話を聞いた子たちが目の前で泣いたり笑ったりするのを見たり、『うちの町にこんないい話があるんだ!』なんて感想を聞くと、本当に嬉しくて」といって、この日いちばんの笑顔になりました。

〔特集〕丑年生まれの時代の顔“年男年女”がまとうきもの正月(全5回)

撮影/森山雅智 ヘア&メイク/鈴木 翠 着付け/小田桐はるみ きものコーディネート/相澤慶子 取材・文/清水千佳子 撮影協力/バックグラウンズ ファクトリー

『家庭画報』2021年1月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。

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