きものダイアリー

きものの文様【梅(うめ)】逆境に耐える、人生の理想を象徴する花

きものの文様 きものに施された美しい「文様」。そこからは、季節の移ろいを敏感に取り入れてきた日本人の感性や、古来の社会のしきたりを読み解くことができます。夏の文様を中心に、通年楽しめるものや格の高い文様まで、きもの好きなら一度は見たことのある文様のいわれやコーディネート例を、短期集中連載で毎日お届けします。記事一覧はこちら

今日の文様32
梅(うめ)

梅は中国原産の花木で、奈良時代初期に日本にやってきました。厳寒の中で、ほかの花に先駆けて咲く香り高い梅は、中国では逆境に耐える人生の理想とされ、日本でも『万葉集』に多く詠まれ、縁起のいい花として愛好されてきました。

また、学問の神様とされる菅原道真(すがわらのみちざね)が梅の歌「こち吹かば匂いおこせよ梅の花あるじなしとて春をわするな」と詠んだことから、梅の花は道真公の象徴となりました。

多彩な梅文様は、単独のほか、さまざまなモチーフとの組み合わせによって、広く使われています。

梅文(うめもん)


新年会に
大小の白梅の花をこぼれるように散らした梅文様の小紋。幾何文様の白地の帯で、色数を抑えたすっきりとしたコーディネート。

「春されば先(ま)づ咲く宿の梅の花ひとり見つつや春日(はるひ)暮らさむ」とは『万葉集』の山上憶良(やまのうえのおくら)の歌。このように、すっかり日本の文様となった梅は、百花に先駆けて咲くため、新春に着るきものや帯に使われます。梅の花だけをかたどったものから、枝つきの梅まで、文様のバリエーションは豊富です。

雪持ち梅(ゆきもちうめ)

春まだ浅い時期に咲く梅は、開花してから雪に見舞われることもあります。そんな風情ある枝梅(えだうめ)の姿を文様化したものです。草木に積もる雪の情景を表した文様は、桃山時代に多く用いられたといわれます。雪の白と梅の花の紅の取り合わせは、美しい日本の四季ならではのもの。染め帯などに使われています。

裏梅(うらうめ)

梅の花を裏から見た状態を文様化したものです。花の美しさは正面とは限らず、側面や裏側から見たときの形も文様化されているものがたくさんあります。シンプルな裏梅もそのひとつで、家紋にも見られます。また、裏梅は襲(かさね)の色目のひとつにもなっていて、ピンク系の紅色です。

八重梅

小さな花びらを重ねて八重梅を表現した文様です。清楚で気品のある一重の梅に比べて、八重梅は可憐さや華やかさを感じさせます。

梅の丸(うめのまる)

梅の花を円形に構成した文様です。モチーフを家紋のように円形で表す方法は、植物や鳥などによく用いられます。ひとつの丸の中に、松竹梅を表したものもあります。

【向く季節】
通年、冬、正月

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きものの文様

今回ご紹介した文様を含め、300以上もの文様を掲載。文様の歴史や意味が豊富な写真によってよくわかり、体系的に勉強することができます。きものを着る場合判断に迷う格と季節が表示され、こんな場所にお出かけできます、とのコーディネート例も紹介しています。見ているだけで楽しく役に立つ1冊。

格と季節がひと目でわかる――きものの文様

監修者/藤井健三

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