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きものの文様【正倉院(しょうそういん)文様】歴史と格式ある、奈良時代ゆかりの文様

きものの文様 きものに施された美しい「文様」。そこからは、季節の移ろいを敏感に取り入れてきた日本人の感性や、古来の社会のしきたりを読み解くことができます。夏の文様を中心に、通年楽しめるものや格の高い文様まで、きもの好きなら一度は見たことのある文様のいわれやコーディネート例を、短期集中連載で毎日お届けします。記事一覧はこちら

今日の文様18
正倉院文様(しょうそういんもんよう)

正倉院は奈良時代に建立された、東大寺の大蔵(朝廷の倉庫)です。中には、聖武(しょうむ)天皇ゆかりの品々が数多く残されています。西アジア(ササン朝ペルシャ)や中国からもたらされたものが多く、国際色にあふれているのが特徴です。

正倉院の宝物は染織品だけでも十数万点にのぼり、これらを一般的に「正倉院裂(ぎれ)」と呼んでいます。狭義には、この正倉院裂の文様を正倉院文様と呼びますが、楽器や調度品など正倉院に納められている宝物を文様化したものや、法隆寺裂なども含めて正倉院文様と呼ぶ場合もあります。

つまり、奈良時代に見られる西域や中国の影響を受けた文様を総称して、正倉院文様という呼称が広く用いられているわけです。

代表的な正倉院文様には、華文、唐花、唐草などの植物文様、鳳凰(ほうおう)、鹿、孔雀、鳥などの動物文様、動物に人や草花を組み合わせた狩猟(しゅりょう)文や樹下(じゅか)動物文などがあります。

多くは帯に用いられますが、文様の格式の高さから留袖や訪問着にも見られます。

正倉院文様の中から6種ご紹介します。

連珠文(れんじゅもん)

小さな玉を連ねた文様のことで、円文の縁に連珠文をめぐらせたものを連珠円文と呼びます。円内には獅子(しし)や騎馬人物(きばじんぶつ)、鳥獣(ちょうじゅう)などが配され、法隆寺や正倉院に残る織物によく見られます。この文様は古代ペルシャで作り出されたもので、日本には奈良時代に伝わりました。


連珠円文の中に白虎(びゃっこ)と孔雀が配された文様です。

花喰鳥(はなくいどり)

花をくわえた鳥の文様です。正倉院にはペルシャから中国までの花喰鳥が見られ、鳥は鸚鵡(おうむ)、鳳凰(ほうおう)、鴛鴦(おしどり。記事はこちら)、長尾鶏、鶴(記事はこちら)などで、くわえているものも宝相華(ほうそうげ。唐草文様のひとつ)、瓔珞(ようらく。仏の装身具)、松、草などさまざまです。

異国情緒あふれるこの文様は、やがてが松をくわえる松喰鳥(まつくいどり)として和風化されました。

蜀江文(しょっこうもん)

蜀江と呼ばれる文様の原点は、法隆寺裂にあります。中国から伝来した蜀江錦に織り出されていた文様で、そこから蜀江文と呼ばれるようになりました。八角形と四角形が連続してつながっており、中に唐花などが描かれていることが多いです。

唐花(からはな)


中国に由来する文様で、特定の花を示しているのではなく、複数の花のイメージが重なり合ってできあがった花の文様です。写真は、黒地に金の唐花を織り出しています。

騎馬人物(きばじんぶつ)


馬に乗る人物をあらわした文様で、多くは狩猟の姿で示されています。写真は、正倉院宝物の琵琶に由来し、駱駝(らくだ)に乗って琵琶を奏でる胡人(こじん)が描かれています。

華文(はなもん)


正倉院に残る綾や錦に見られる花を文様化しています。こちらも、特定の花を表現したものではなく、花一般のイメージを示しています。

【向く季節】
通年、正月

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きものの文様

今回ご紹介した文様を含め、300以上もの文様を掲載。文様の歴史や意味が豊富な写真によってよくわかり、体系的に勉強することができます。きものを着る場合判断に迷う格と季節が表示され、こんな場所にお出かけできます、とのコーディネート例も紹介しています。見ているだけで楽しく役に立つ1冊。

格と季節がひと目でわかる――きものの文様

監修者/藤井健三

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