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きものの文様【菱(ひし)】平安時代に公家装束の有職文様となった代表的な幾何学文様

きものの文様 きものに施された美しい「文様」。そこからは、季節の移ろいを敏感に取り入れてきた日本人の感性や、古来の社会のしきたりを読み解くことができます。夏の文様を中心に、通年楽しめるものや格の高い文様まで、きもの好きなら一度は見たことのある文様のいわれやコーディネート例を、短期集中連載で毎日お届けします。記事一覧はこちら

今日の文様04
菱(ひし)

4本の斜線によって囲まれた菱形は、連続すると斜め格子や襷(たすき)文様などと呼ばれます。池沼に自生する水草、菱の実の形を文様化したものとの説もあり、縄文時代の土器に刻まれるなど、古くから文様として使われたことがわかっています。

菱文様が全盛となるのは、平安時代に公家装束の有職文様となってからで、幾何学文様の代表として、染織や工芸品の意匠に用いられました。

※有職文様とは、平安時代からの公家階級の装束、調度品、牛車(ぎっしゃ)などの装飾に用いられた伝統的な文様の総称。

単なる菱形ではなく、菱形の中に四弁花を入れた花菱、羽を広げた鶴を向かい合わせて菱形にかたどった向い鶴菱(記事はこちら)、菱形を4つ組み合わせた四菱など、多くのバリエーションが登場しています。

菱文(ひしもん)

基本の菱形をさまざまに反復させて、多くの変形文様が生まれています。上の写真のように小さな菱形を連続させたものは小紋などの染めのきものに使われ、格調のある有職文様の菱形は礼装用の袋帯などに用いられます。

松皮菱(まつかわびし)

菱形の上下にさらに小さな菱形をつけた子持ち菱の形を称しています。松の皮をはがした形に似ているところから、この名がつけられたといわれています。

松皮菱の中に草花などの文様を入れ込んで構成するのが一般的ですが、松皮菱取りとして、きものや帯の模様取りに用いられることもあります。この文様は江戸小紋や絣にも見られます。

花菱(はなびし)


お茶席に
小花模様を刺繍であしらった無地感覚のきものに、黒地に花菱を織り出した袋帯。きものの優しい印象とシャープな帯の文様との対比がお洒落。

菱形の中に花びらを4枚入れた文様で、ほかの文様と組み合わせて用いられることもあります。形が美しいことから白生地や帯の地紋にも使われます。花菱を4つ集めて1つの菱形にしたものは四花菱といいます。

【向く季節】
通年

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きものの文様

今回ご紹介した文様を含め、300以上もの文様を掲載。文様の歴史や意味が豊富な写真によってよくわかり、体系的に勉強することができます。きものを着る場合判断に迷う格と季節が表示され、こんな場所にお出かけできます、とのコーディネート例も紹介しています。見ているだけで楽しく役に立つ1冊。

格と季節がひと目でわかる――きものの文様

監修者/藤井健三

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