いまさら聞けない悩みや疑問を解決! きもののナゼ?に答えます 第8回 きものの決まり事や小物については、知っているようで意外と漠然としていたり、何がよいのか迷うことも出てきます。皆さんのいまさら聞けない悩みや疑問に、各分野でご活躍の専門家がわかりやすくお答えします。
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Q.高価な「紬」の訪問着はフォーマル の場面に着られますか?
A.いくら高価でも、趣味のものはおよばれ向きではありません。
解説/中谷比佐子(きもの文化研究家)
冠婚葬祭に着られるかどうかという観点からは、紬は向いていません。それは紬の歴史と関係があるのです。
農家が家で育てた蚕から糸を紡いで自家用に織ったものが紬の始まりでした。年貢や商品として流通することのできない糸または残糸で、家族が着るためのきものとして工夫して織られたものです。
いまでは紬は、むしろ高級品で、凝った技術を駆使して織った職人の反物や工芸作品として、特に手紬は高額で販売されています。自身を表現する高価なお洒落のきものとして、お召しになってください。
◆おしゃれ向き
お洒落向きの紬は絣、暈(ぼか)しも織り出されとても凝ったものです。
織のきもので、フォーマル向きのものもあります。それは唐織や二重(ふたえ)織物といった、もともと宮中で着られていた装束の織物、経錦(たてにしき)、そして御召は、結婚式などセレモニーに参列されるときにも着ることができる格を備えています。模様もおめでたい柄の、上品な色目のものを選びましょう。
◆フォーマル向き
雲取りを桐、葵、四つ目結(よつめゆい)で埋め尽くした唐織訪問着です。きもの/永治屋清左衛門(永井織物)
御召は大変種類の多い織物なので、注意してお洒落向きの柄のものは避け、上代御召のように格のあるものを選びましょう。
祝い文様
左・有職(ゆうそく)文様の浮線綾文(ふせんりょうもん)の紋御召。中・雪輪取りに 細かな竹、菊が配された唐織。右・鳳凰、羊歯(しだ)、桜、菊の菱文の唐織。
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