きものダイアリー

華やぎの場で個性を伝える装いを。母と娘の心が通じ合うきもの

2020.10.06

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世代を超えて美を受け継ぐ母と娘のきもの 第3回(全4回) 母や祖母が着ていたきものに袖を通すと、懐かしさや愛しさが甦ると同時に、自分にも驚くほどそのきものが似合うという経験をされたかたは多いはず。大切に受け継いだきものを生かし、次の世代へ──。思いを込めて装う、母娘の姿をご紹介します。前回の記事はこちら>>

華やぎの場で個性を伝える装い


北原邦子さん、容子さん
「母娘できものを着ると、心が通じ合う気がします」
自社のパーティを催すことが多い「帝国ホテル 東京」にて、邦子さんと容子さん。重要無形文化財「刺繡」の保持者、福田喜重作の「丸文唐草六歌選」文様の裾ぼかしが美しい訪問着が、邦子さんの柔らかな表情を引き立てます。容子さんは、兄の結婚披露宴のときにも着用した、浅葱色地の吉祥貝桶文様の爽やかな訪問着がよくお似合いです。

北原邦子さん(日本化粧品㈱代表取締役)
容子さん(日本化粧品㈱取締役)



いち早く欧米の美容技術を取り入れ、日本の美容界を先導してきた「北原美顔」。来る創業120周年を支える3代目院長の北原邦子さんは、大のきもの好きとしても有名です。

幼い頃より、きものを着て歌舞伎に行くという江戸文化に深く親しみ、パーティや講演会はもちろん、普段着でも母から譲り受けた結城紬や大島紬を好んで着ているといいます。

北原邦子さん
琳派好きの邦子さんは、琳派作品の帯を数多く所有します。唐織りで菱襷、桐立涌などの文様を段に織り出した訪問着に尾形光琳の「燕子花図」の帯で豪華に。


帯
左・伊藤若冲の「瓢簞図」を織り技で描いた夏帯。 右・伊藤若冲の「果蔬涅槃図(かそねはんず)」と、「玉蜀黍(とうもろこし)図」を織り出した錦織りの帯。結城紬や大島紬を少し格上げし、さらりと洒脱に。

「きものは私にとって自己主張なんです」と、シーンによって装うべきものを吟味し、カンバセーションピースとして活躍させてきた邦子さんは、まとうきものによって雰囲気を一変させる力をお持ちです。「日本の民族衣装であるきものを着ることで、減少する作り手を守り支えたい」。邦子さんの背中を見つめてきた娘の容子さんも、節目には必ずきものを着るといいます。「日本人ですから、きちんと着こなせるようになりたいです」と語る姿に、“自分らしく装う”という母の教えがしっかりと受け継がれているのを感じます。

振袖
友禅に繡、箔、絞りを贅沢に施した振袖。邦子さんが20歳のとき、母、道江さんが誂えたもの。今は容子さんのもとへ。

容子さん
成人式の前撮りで初めて袖を通した容子さん。
撮影/森山雅智 ヘア&メイク/Eita〈Iris〉 着付け/伊藤和子、小田桐はるみ 取材・文/相澤慶子

『家庭画報』2020年10月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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