インドの壮大な叙事詩が歌舞伎に! マハラジャモチーフの帯もおすすめ

Bettyokoのきもの日記 第38回

歌舞伎座「芸術祭十月大歌舞伎」昼の部 「極付印度伝 マハーバーラタ戦記」

秋の一日、歌舞伎座に出かけてきました。

今月の昼の部で上演されているのは新作「極付印度伝 マハーバーラタ戦記」。 マハーバーラタといえば世界三大叙事詩に挙げられる古代インドの神話ですが、その物語が、何と歌舞伎になったのです。幕開けは、神々の住む場所。太夫さんの語る「ゆく河の流れは絶えずして…」という方丈記の一節が、悠久のガンジス川の流れを連想させます。居並ぶ神様は、まばゆい黄金のいでたち。歌舞伎の衣裳とはかけ離れたものでしたが、「仮名手本忠臣蔵」の大序のように、一人ひとりゆっくりと目を醒ましていく歌舞伎ファンには嬉しい演出との相乗効果で、新しいけれど歌舞伎を見ているという安心感はしっかり味わえます。

お芝居は長い長いマハーバーラタの物語の中から、太陽神と人間の姫の間に生まれた迦楼奈(かるな=尾上菊之助さん)を中心に、王位を巡る五人の兄弟と、従姉妹の鶴妖朶王女(づるようだおうじょ=中村七之助さん)の争いをモチーフに展開します。「世界の終わりの始まり」を救うのは平和主義か、力で制する勢力か。国境も時代も超えて、普遍的なテーマが心に迫ります。冒頭の場面の神々こそインド風の衣裳でしたが、それ以外の場面では、姫君は古典的な赤姫のいでたち、王子たちは裃に袴、鶴妖朶王女や王妃は打掛姿と、見慣れた装いが基本に。「白浪五人男」の勢揃いの場を思わせる名乗りがあったり、両花道や回り舞台、すっぽんなどが存分に使われていたり、インドの物語が、見事に歌舞伎に昇華されていて驚きました。

© 松竹

今年は日印文化協定発効60周年の記念の年。迦楼奈をつとめる尾上菊之助さんは上演を前にインドに足を運び、このポスターもガンジス川のほとりで撮影されたそう。思えばシルクロードの彼方にあるインドから、日本はさまざまな文化の影響を受けてきました。たくさんの神々が人間的な一面を見せたり争ったりする物語が歌舞伎として受け入れられるのも、やおよろずの神に手を会わせてきた日本の風土と合っているからかもしれません。また、インドの服飾文化や文様が正倉院の時代から日本に大きな影響を与えていることは、きもの好きの皆さまなら、よくご存じですよね?

こちらは、10月18日(水)から松屋銀座で開催される、銀座の「きもの」市で、きものSalonのお店に登場予定の、夢訪庵さんの帯。その名も「マハラジャの行進」。エキゾティックなモチーフがきものの装いに昇華され、まさに今月の歌舞伎座観劇にぴったりの一本です。「極付印度伝 マハーバーラタ戦記」が大成功してインドへの凱旋公演が実現したら、この帯をしめて出かけたい…などと、夢のきものコーディネートプランも膨らみます。

 


Bettyoko
ジュエリージャーナリストとして活躍する傍ら、歌舞伎、文楽、バレエをはじめ観劇ライフを満喫中のBettyと、米国・ヒューストンでの生活経験を生かし、日本文化を海外に伝える活動をしているYokoによるユニット。
https://www.instagram.com/bettyoko.kbk/

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