イチから始めるきもの道

伝統的な帯から、フィギュアスケートのメダルリボンまで!進化し続ける博多織

新人きものライターE子&A子の「イチから始めるきもの道」 きものSalon編集部で働く新人きものライターの2人(E子とA子)が、「きもの道」を究めるべく大奮闘! 今さら聞けないきものの基本、皆さんもご一緒にこっそり楽しく学びませんか。記事一覧はこちら>>

第10回
きもの道を求めてどこまでも
博多織・献上柄を訪ねて福岡へ(2)
大人の社会科見学!

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献上柄から遊び心たっぷりの帯まで! 博多帯の色々な表情を楽しめる「黒木織物」

初日、博多織の歴史やそこに込められた想い、売り場での最新トレンドを体感してすぐに心奪われたわたくしA子、そしてE子。「この凛と美しい博多織はどうやって作られているの!? ぜひ知りたいっ!」とライター魂に火が付いた私たちの次なる目的地は、博多織がつくり出される現場。そう「織元さん」です。

引き続き、福岡市経済観光文化局地域産業支援課・Hさんのご案内のもと、まず伺ったのは福岡市西区今津にある織元「黒木織物」さん。帯を中心に、着尺や小物なども手掛けています。

黒木織物独鈷柄(とっこがら)のタイル装飾とショーウィンドウに並ぶ糸繰り(いとくり)機が目を引く黒木織物さん。工場とギャラリー、ショップを併設しています。

ショップの入口で私たちを出迎えてくれたのは、「黒木織物」の三代目・黒木和幸さん。

黒木織物 黒木和幸さん「黒木織物」の三代目・黒木和幸さん。粋なきものの着こなしに、E子とA子の視線はくぎ付けです。

きりっとしたきもの姿が素敵な黒木さんの後ろに目をやると、織機を稼働している様子が店内からガラス越しに見えます。なんと!ショップから直接工場の様子を見ることができるんですね!さらに、先ほど外からショーウィンドウ越しで眺めていた糸繰り機もより近くで見ることができます。博多織の製品が並ぶショップと、その制作工程を同じ場所から見られるなんてとても興味深いです!

黒木さん「2018年末に建て替えたばかりなんです。博多織が生み出される現場の様子をお客さまに間近に見ていただけたらと思って設計してもらいました」

そんな想いが反映された建物は明るく開放的で、親しみやすい雰囲気に溢れています。

(左)内側から見た糸繰り機の様子。カタカタと軽やかに回りながら、色とりどりの絹糸が糸枠に巻き上げられていきます。(右)絹糸が均等に巻き上げられた糸枠。絹糸の美しさに目を奪われます。


黒木さん
「うちでは糸の染め以外の全工程、絹糸の仕入れから帯や着尺を作り上げるまでを一貫して自社で行っているんですよ。よかったら工場内を見てみますか?」

通常はガラス越しでの見学のみで工場内への立ち入りはできないのですが、今回は特別に見せていただけることに…!願ってもないチャンスに、きらきらと目を輝かせる私たち。はやる心を押さえつつ、工場へと続く扉を開けると、「ガシャンッ」「ガシャンッ」と一定のリズムを刻む、とても力強い音が。場内に入るとその迫力は段違い!

場内には10台以上の織機が並び、それぞれの機械が打ち込む力強い音が響いていました。

そういえば、古谷編集長が「織元さんに行ったら、“音”にも注目してみてね」と言っていたような…。その時は、「音?」と頭の中に疑問符が頭に浮かんでいたのですが、実際に聞いてみると想像以上の迫力!はるか昔、学生時代の社会科見学で見た織機の音とはパワフルさが違います。「音」ってこのことなんですね、編集長!と一人納得したのでした。

「博多織は非常に糸の密度が高く、厚みと張りが特長」と前回Hさんが教えてくださいましたが、この力強い音こそ強く打ち込んでいること、つまり密度が高く、厚みと張りがあることの証でもあるのですね。

遠くから見ると、まるで布と間違えてしまいそうなほど密な経糸(たていと)。その経糸に緯糸(よこいと)を高速で往復させることで織上がっていきます。

黒木さん「博多織は柄をつくる経糸(たていと)に太い緯糸(よこいと)を強く打ち込み、経糸を浮かせて柄を織り出しています。経糸が緯糸を包むように織られているので、緯糸はあまり見えないんですよ」
黒木織物(ふたりで織機の帯をよーく見て)本当だ!緯糸が見えない!


黒木さん
「では、次は織る前の大事な工程“整経(せいけい)”を見てみましょう」

“整経”とは文字通り「経糸を整える」ことで、糸繰りをしてできた糸を、決められた長さや本数、配列などで巻きつける作業です(現場ではこのことを「糸をはえる」と表現していました!)。張力を均一に保つことも重要で、職人さんがつきっきりで作業をされていました。

黒木織物ものによっては、整経の作業だけで数日間かかることも。作りたいものによって整経の工程も異なります。

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