女優・一色采子の「母のタンス、娘のセンス」〜霜月

目上の方との会食に、糸巻きの帯でしっとりと

臙脂色の縞の小紋は、地味好みの母にしては珍しく艶やかな一枚。「ぎをん齋藤」で誂えたもので、絵の展覧会へ一緒に出かける際に、上等な渋い更紗の帯などを合わせていた姿が思い出されます。「ぎをん齋藤」は、女優の先輩である藤村志保さんからご紹介いただき、以来、母娘でファンとなり東京の展示会へ出向きました。晩年、母の体調が優れずに出かけることが億劫になった頃、なんとか元気づけたくて、展示会があると積極的に誘ったものです。そんな時、母は「見るだけよ」と言いながらも、いざ反物を手すると途端に血色が良くなったほど()。きものは母と私の心を通い合わせる、共通の楽しみでした。

母のように渋い更紗の帯を締めるには、まだちょっぴり早いかしら?!と思い、目上の方との会食をするこの日は、躍動感あふれる糸の流れや糸巻きの冴えた配色が美しい染め帯を締めて。糸巻きを縁取る金駒刺繍の華やぎが、袋帯を締めるほどではないけれど、ちょっとしたよそ行きの時に重宝します。

前帯には繭玉が描かれているので、この帯はお正月の頃にも活躍。お友達との気軽な会食の時には、帯締めや草履の前緒、ネイルに小さく赤のアクセントを効かせるのが私らしいスタイル。こちらの帯も「ぎをん齋藤」で母と選びました。

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