きものダイアリー

母と娘の新たなる邂逅、内田也哉子の「衣(きぬ)だより」

母と娘の新たなる邂逅 内田也哉子の「衣(きぬ)だより」 きものを自由に味わい尽くした俳優・樹木希林さん。その遺された衣に綴られたお母さまからの「便り」を読み解き、ご自身の感性を重ねるように装えば、母という存在と新たな対話が生まれて──。きものを通して母と娘が心を通わせる、内田也哉子さんの季節連載がスタートします。

和え方きものの解説は、記事の最後にある「フォトギャラリー」をご覧ください。

内田也哉子さん(うちだ・ややこ)
1976年、東京生まれ。文筆業。夫で俳優の本木雅弘氏とともに3児を育てる。著書に『ペーパームービー』(朝日出版)、『会見記』『BROOCH』(ともにリトルモア)、『9月1日 母からのバトン』(ポプラ社)、中野信子さんとの共著『なんで家族を続けるの?』(文春新書)ほか。

巡り合う衣衣 ──内田也哉子

きっと誰しも人生にひとりは、自らの精神に多大な影響を及ぼした人がいるだろう。私の場合、たまたまそれは母親だった。単に遺伝子を受け継いだから、というだけでもなさそうだ。

彼女がこの世を去ってから3年という月日が流れた今でも、未だ完成しないパズルのピースを私は握り締めたままだ。

自分の記憶を辿り浮かび上がる輪郭と、様々な人から漏れ伝わる母の人物像は、知れば知るほど謎を深めてしまう。近くて遠い、遠くて近い存在。けれど、この感覚は重ねた時間が短すぎた証ではないらしい。

仮にあと10年、彼女が長生きしていたとして、どうだっただろう……と、ふと思う。すると、即座に「届きそうになると、ひらりと身をかわすのが、彼女の佇まいでしょ」と内なる声がきっぱりと言い切る。

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