〔特集〕時代が求めるラグジュアリーな暮らし 豪邸マンション新潮流 集合住宅でいかに豊かに暮らすか。壁や間取りにとらわれず、住み手の理想に合わせて再構築するスケルトンリフォームが広がっています。時代を代表する建築家による3事例から、今、求められるラグジュアリーの形をご紹介します。
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プレミアムリノベーションの名手
各務謙司&田口 彰が紐解く
高層階マンションの再構築
イメージを具体化し、検証と修正を重ねながら、空間の完成度を高めていく。建築家の2人が協同で手がける「ザ・ライブラリー」流、改修デザインの核心に迫ります。


白を基調とした均質な箱から、奥行きを備えた立体的な住まいへ。象徴的なのが大胆に移設した水回りで、排水勾配を確保するため、床高を調整しながら住戸中央の窓際へ再配置しています。CGやVRで改修後の空間を事前に体感し、素材の質感や照明の高さまで細やかに検証。描いた理想を形に落とし込みながら、空間を磨き上げています。(図面作成/ワークプレス)
(1)吹き抜け
上下に繫がる空間美「トム・ディクソン」の吊り下げ照明が映える吹き抜けは、空間の重心を整える要となる場。既存の鉄骨フレームは生かしながら、手すりと踏み板で透過性を高め、視線の抜けを確保しました。その結果、窓外の眺望と室内に配されたアートが同時に視界に入り、上下階の気配も感じられる構成に。家全体に立体的な広がりが生まれています。
(2)一室空間
眺望はすぐに見せないマンションの高層階では、部屋に入った来訪者の視線はすぐに窓辺へと向かいがち。その動きをいったん止めてもらうため、S邸では室内に個性的な石柱や透過性のある黒ガラス壁を配置。照明の高さも調整して空間に中景を設けました。細かいディテールを重ねることで、一室空間にメリハリと奥行きをもたらしています。
(3)オープンキッチン
家族が集うリビングダイニングと一体となったオープンキッチンは、「クチーナ」のオリジナル。背面にオーブンとワインセラーを内蔵し、艶を抑えたグレートーンでキッチンらしさを抑制。中央のガラス棚に並ぶボトルが、集いの楽しさを物語ります。ダイニングはテーブル、椅子ともに「アルケティポ」(イタリア)で揃えています。
(4)ウォークインクローゼット
飾るように収納するプライベート空間である上階の主寝室も、閉じた個室にはせず、連続性と透過性を意識しています。ベッド脇には木製門型フレームで縁取られた奥に、ガラス扉で開閉できる「ポリフォーム」のウォークインクローゼットを設置。手前はディスプレイ収納、奥には畳んでしまえる日常着を収め、見せる収納と隠す収納を両立させています。
(5)明るい水回り
自然光が降り注ぐ配管経路を綿密に調査し、床高を調整して大胆に移設することで実現した、主寝室から繫がる水回り。浴室と洗面台、トイレを一体化し、大きな窓から光を取り込むライトボックスのような構成にしています。「浴槽脇の窓からは吹き抜け越しに眺望が広がり、上階ならではの開放感を満喫できます」(田口さん)。
(6)アート

住み手の感性を生かす舞台づくりアートを飾ることを前提とした壁面構成。写真上は上階のトイレ、下はエントランスホールです。「特に玄関はコート掛けや靴箱といった要素を極力排除し、照明の位置や数を吟味して整えることで、作品に迎えられる空間に仕立てました」(各務さん)。現在飾られているのはスイスの画家、アンディ・デンツラーの作品。
各務謙司・田口 彰各務氏(右)と田口氏(左)が手がけるリノベーションブランド「ザ・ライブラリー」。マンションリノベを牽引してきた経験を礎に、CGやVRを駆使して、完成形を仮想空間で体感しながら設計を磨き上げる。構想と技術を往復する手法が持ち味。
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