〔特集〕時代が求めるラグジュアリーな暮らし「豪邸マンション」新潮流 集合住宅でいかに豊かに暮らすか。壁や間取りにとらわれず、住み手の理想に合わせて再構築するスケルトンリフォームが広がっています。時代を代表する建築家による3事例から、今、求められるラグジュアリーの形をご紹介します。
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“整い”と“茶の湯の心”が響き合う
リノベーションで叶った本格的サウナライフ
──森實(もりざね)邸[東京]
「住宅以上ホテル未満」──住み手の夢を叶えたフルリノベーション
名古屋と東京の二拠点で暮らす森實夫妻が、サウナと茶の湯を楽しむためにリノベーションした都内の邸宅。色や素材の量を丁寧に整えた空間には、静謐な品格と、凜とした緊張感が漂っている。
都心にいながら本格的なサウナと立礼の茶の湯を楽しみたい。そのために森實夫妻が求めたのは、日常を切り替えるための「整いの別邸」でした。
設計を担ったのは、「サポーズ デザイン オフィス」の吉田 愛さんと谷尻 誠さん。「住宅以上ホテル未満」のさじ加減で、住み手の思いと来客の居心地を両立させました。
垣根を外し、素で向き合う社交の場
お茶の精神を取り入れて
サウナ室の入り口は、茶道の師範である奥様の発案により、茶室の躙口(にじりぐち)を思わせる引き戸に。手前はチラー(冷却水循環装置)を備えた水風呂と、内気浴のための空間。造作ベンチを据えた内気浴空間は、足もとの部分を引き出せばオットマンが登場。脚をのせてくつろぐことができる。
構想の核にあったのは、サウナを単なる設備ではなく体験としてとらえる視点です。「サウナは箱ではなく、前後の時間を含めた行為そのもの」という森實さん。発汗し、水に浸かり、呼吸を整えるというプロセスが自然に流れるよう、空間は緩やかに繫がっています。
そこに重ねられたのが、奥様の茶の湯の心です。サウナも茶室も肩書きや立場をいったん脇に置き、人と人が素で向き合う場。「刀を置いて入る茶室のように、垣根を外せる場所にしたいと思いました」と奥様は話します。
また「サウナに入ると舌と鼻が鋭敏になって、その後のお茶がおいしいんです」との言葉どおり、サウナ後の一服は、この家ならではの至福の時間。
リフレッシュし、心身の調和を得るための家
蒸気の流れを生むため、サウナ室の天井はカーブさせている。床には空気循環のための換気口を設け、横にもなれるようゆとりある面積を確保。細部まで計算が行き届いている。
炉を切ったダイニングテーブルでお茶をたてる奥様。仲間とサウナを楽しんだ後の一服が、この家の恒例となっている。
設計にあたり、サポーズ デザイン オフィスが意識したのは、マンション特有の“生活感のノイズ”を削ぎ落とすことでした。窓枠の存在感を抑え、コンセントやスイッチも極力目立たないように……。視界に入る情報量を整えることで、和の空気を帯びた静謐な場をつくることを提案したといいます。
こうして裸の社交場として開かれながら、熱や湿度、換気といった基本的なことにも丁寧に向き合った結果、サウナと茶の場が緩やかに連なり、静けさと語らいを受け止める包容力ある住まいが実現。森實夫妻にとってここは心身を整え、人を迎えるための拠点となっています。
リビングの先には、ゆったりとしたテラスが広がる森實邸。植栽を手がけたのは、サウナ仲間の一人でもあるプラントハンターの西畠清順さん。
(次回に続く。
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