住まい

絶景を楽しむ、海辺のセカンドハウス。魅惑の「豪邸」拝見

屋外リビングのある暮らし 魅惑の「豪邸」拝見 第1回(全17回) 上質なアウトドア家具の普及や設備の進化、内外をひと続きにするプランの革新などにより、気持ちいいオープンエアに生活空間を広げる住まいが世界的な潮流として増えてきています。家族団らんの場として、密にならない応接間として……心からリラックスできる豊かな豪邸ライフを訪ねます。

眺望を楽しむ海辺の「終の住処(セカンドハウス)」

ーーK邸 (静岡・熱海)

眺望を楽しむ海辺の「終の住処(セカンドハウス)」

インフィニティプールのテラスで過ごす至福の時間が、明日の英気につながる。熱海のK邸より。

日本的な情緒を残し、都心からのアクセスにも恵まれた熱海。その中の別荘地の一角、相模湾に面した高台で洗練された佇まいを見せるのが、Kさんの別荘です。普段は都会のタワーマンションで暮らすKさんが「温泉地で海が見たい」との思いからこの地を選んだのは、今から約5年前。

その後、究極的な癒やしの空間づくりを建築家の甲村健一さんに依頼。誕生したのが、南東側に雄大な海と空を望む眺望絶佳のリトリートです。

KEN一級建築士事務所
甲村健一

1969年愛知県生まれ。2015〜18年名古屋工業大学客員教授。名古屋工業大学卒業後、大手ゼネコンを経て99年KEN一級建築士事務所設立。依頼者とともに人生最大のイベントを楽しむ感覚で、最高の空間を提供することを信条に住宅設計に取り組む。

眺望を楽しむ海辺の「終の住処(セカンドハウス)」

早朝――。目の前に広がるのは、刻々と色を変えるドラマチックな海と空だけ。インフィニティプールを備えたK邸の3階では、自然と一体になる心地よさが体感できる。

「K邸の南東側からは海が一望できますが、実は海との間には幹線道路があり、反対側にあたる北西の、さらに高台には高層マンションが建ち並んでいます。そこでK邸では周辺の人工物の気配を一切消し、自然とだけ対峙できるように設計しました」と甲村さん。そのうえで意識したのが、海をいかに見せるか、だったといいます。

その言葉どおり、3フロアからなる別荘では、各階が異なる印象で海とつながっています。例えば、温泉が楽しめる浴室を設置した1階は、群生する松林越しに相模湾を望み、窓を開ければ露天風呂の風情も楽しめる温泉旅館のような趣。

バスルームの名手 建築家・甲村健一さんがつくった、雄大な相模湾を一望する夢のバスルーム

眺望を楽しむ海辺の「終の住処(セカンドハウス)」

主寝室とつながる1階の浴室は、敷地に自生する松の向こうに海を望む温泉旅館の風情。引き戸などに用いられた格子は、K邸の随所に採用され、住まいに統一感をもたらしている。

続く2階は、海に面した大開口をあえてフィックス窓とし、ひと続きになったリビングダイニングからは借景としての海が堪能できます。

幻想的な「光の道」や「月の道」を独り占めできるリビングダイニング

眺望を楽しむ海辺の「終の住処(セカンドハウス)」

大開口にフィックス窓を採用した2階。サッシの上下の枠を隠し、手すりなどもなくすことで、海や空をアートのように堪能できる。遮蔽物のないこの場所から眺めるムーンロードは、想像を絶する美しさだという。

そして、大海原に溶け込むようにインフィニティプールを設置した3階では、天候や時間で刻々と表情を変える自然との一体感が味わえる、という具合。ブルーのグラデーションが美しいタイル張りのプールに入り、波音を聞きながら過ごしていると、まるで海に浮かんでいるような心地よい安息感が得られます。

この圧倒的な自然とのつながりを体感すると、周辺に人工物があることなど、確かに想像もつきません。甲村さんは、北西側の開口部を最小限とし海側には大開口を設けたほか、屋外に設置したルーバーや、壁の配置、高さなどを工夫することで近隣からの視線を遮り、日本的な情緒とモダンが融合した静謐な空間を創出したのです。

同時に、その創意工夫は室内外の素材づかいにも及んでいます。

その一例が、2階ダイニングスペースの上にあたる傾斜した天井部分。床に差し込む日差しが反射してスタッコ仕上げの天井にあたると、まるで水面のように天井が煌めくという趣向です。

天候や時間で表情を変える、美しい光のグラデーション

眺望を楽しむ海辺の「終の住処(セカンドハウス)」

前面をフィックス窓とする一方、両サイドには通風できる窓を設置。海からの強い風を防いでいる。

オーナーのKさんは、この別荘がいたく気に入り、今では月の半分程度をこの家で過ごすほどに。「都会にいるといろんな情報が欲しくなりますが、ここに来ると何もしません。明け方、お風呂に入って波の音や鳥のさえずりを聞いているだけで満たされます」と、この家で過ごす至福を語ります。

プライバシーと景観美を両立させた美しい家は、日常を変える豊かな力を持っていました。

眺望を楽しむ海辺の「終の住処(セカンドハウス)」

差し込む光が美しいリビングダイニング。右手のルーバーは間隔を調整することで隣家からの視線を遮っている。

撮影/大泉省吾 鈴木研一取材・文/冨部志保子 スタイリング協力/山田喜美子

『家庭画報』2021年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。

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