〔特集〕今、世界が注目する気鋭作家50 新「うつわ」名鑑 世界で唯一無二の「うつわ」大国、日本。伝統を受け継ぎながらも、工芸とアートの境界を軽やかに行き交う気鋭の作家たちが、今、新たな価値観を創出しています。伝統と革新が交差する現場で、次世代の器づくりに挑む作家たちの創作への思いと、その先に見据える未来に迫ります。
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アーティストの審美眼
私が惹かれる唯一無二の作家たち
世界的アーティストである赤木明登さん、内田鋼一さん、ミヤケマイさん、原 研哉さんが注目する、それぞれに個性の光る気鋭作家たちの器をご紹介します。
素材への敬意と、作り手の人となりが滲む器に惹かれます
──推薦者 原 研哉(グラフィックデザイナー)
原料の採取から始まる“唐津焼らしさ”の追究
【矢野直人】

撮影協力/しぶや黒田陶苑
「古唐津の陶片を蒐集し、精緻に観察しながら、その風合いを現代に再現しようと営々と取り組まれています」(原さん)。
風化の進んでいない硬い状態の素材から陶土を作ることで、古唐津の野趣溢れる素材感に近づけている。右から「刷毛目徳利」(幅8.7 × 高さ11.6センチ) 「絵唐津ぐい呑」(径6.9 × 高さ5.4センチ)
自然のエネルギーを塗り重ねた色彩美で表現
【故金(かるがね)あかり】

沖縄県八重山諸島の新城島で19世紀中頃まで焼成されていた「パナリ焼」に触発され、中国茶器や壺を作陶。泥に顔料を溶かし、スポンジで何層にも塗り重ねることで、自然の石や古物を思わせる質感を表現している。「南西諸島特有の技巧に走らない素朴さを直感的に捉えている」(原さん)。
「建水壺」(口径8 × 幅13 × 高さ13センチ)
Instagram:
@karugane_akari沖縄の風土と文化を映す暮らしの漆器
【渡慶次(とけし) 弘幸、渡慶次 愛】


沖縄を拠点に夫婦で漆器制作を営む木地師の渡慶次弘幸さんと塗師の愛さん。「弘幸さんは沖縄の木を使い、ろくろを挽く感触で素材と対話している。愛さんが施す拭き漆の質感も美しい」(原さん)。
上・「六寸三段重箱(センダン)塗込拭漆」(幅18 × 奥行き18 × 高さ18センチ) 下・「四寸椀(リュウキュウハリギリ)塗込拭漆」(径12 × 高さ7.5センチ)
Instagram:
@mokushikkou_tokeshi
原 研哉(はら・けんや)グラフィックデザイナー。武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科教授、日本デザインセンター代表。無印良品、松屋銀座、蔦屋書店、森ビルなど、多数のアートディレクションを担当。
(次回へ続く。
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