〔特集〕今、世界が注目する気鋭作家50 新「うつわ」名鑑 世界で唯一無二の「うつわ」大国、日本。伝統を受け継ぎながらも、工芸とアートの境界を軽やかに行き交う気鋭の作家たちが、今、新たな価値観を創出しています。伝統と革新が交差する現場で、次世代の器づくりに挑む作家たちの創作への思いと、その先に見据える未来に迫ります。
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料理人の審美眼
今、私が盛りたいうつわ
料理人にとって器は、欠かせない存在。好みの器によって表現ががらりと変わるのも面白いところです。器好きの料理人たちが今、良き刺激を受けている気鋭の現代作家を教えていただきました。
器の素材感が、デザートのインスピレーションに
──駒瀨奈美子(東京・京橋「Kominasemako」)
ひと皿のデザートに、果実の生命力と多面的な表情を生き生きと表現する駒瀨奈美子さん。温度や食感、唇にふれる触感までを非常に繊細に考えて作るデザートの世界は、器との融合があって初めて完成されます。今回は、好きな器から発想して、デザートを作っていただきました。
来店は完全予約制。その時々のテーマに沿ったデザートと飲み物を組み合わせ、コース仕立てで楽しめる。
一目惚れしたという長野史子さんの光を柔らかく受け止めるガラスの皿には、その美しい空気感を増幅させるような真っ白なギモーヴを。ざらりとした側面の動的な黒と、鏡面の静的な黒という矛盾をはらむ大山 求もとむさんの鉄器には、その浮遊感を大切にし、春の水滴を思わせるメロンに新茶のジュレをまとわせたデザートを盛りつけました。「質感や素材感のあるもの、そしてまだ対話の余地がある器に惹かれる」という駒瀨さん。
「私ならどう盛るだろう」と考える時間もまた、発想の源になるといいます。
鳥居明生

「石のような円柱は質量と時間を内包した存在だと感じました」と駒瀨さん。のせたのは、形を壊さず外側の細胞を保ったまま香りと味を凝縮させたいちごジャム。いちごの赤が、無機質な器の中に秘めた輝きを引き出す。
●Instagram:
akiotorii田中啓一

直線的な構造と曲線が作る“揺らぎ”が美しい皿にはフレッシュな果実と凝縮した果肉を重ねたパイナップルのタルトを。造形が完結しているものには、リムのある器を合わせることが多い。
●Instagram:
keiichi_tanaka大山 求

円錐形の個性的な鉄器は、個展で見かけた花器の美しさに目が止まり、逆さにして盛り皿として特注したもの。重さと軽さが同居する器にみずみずしい緑のデザートをのせて。
●Instagram:
motomu_oyama長野史子

皿が持つ半透明の白を数枚重ねることで、マットで柔らかい白の質感が増し、のせたギモーヴと同調する。器の延長から生まれたようなデザートは、静けさと緊張感を感じる。
●Instagram:
fumiko.nagano
Kominasemako(コミナセマコ)住所:東京都中央区京橋3-12-7 GINZA EAST SQUARE 1F-B
https://kominasemako.com/(次回へ続く。
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