〔特集〕今、世界が注目する気鋭作家50 新「うつわ」名鑑 世界で唯一無二の「うつわ」大国、日本。伝統を受け継ぎながらも、工芸とアートの境界を軽やかに行き交う気鋭の作家たちが、今、新たな価値観を創出しています。伝統と革新が交差する現場で、次世代の器づくりに挑む作家たちの創作への思いと、その先に見据える未来に迫ります。
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料理人の審美眼
今、私が盛りたいうつわ
料理人にとって器は、欠かせない存在。好みの器によって表現ががらりと変わるのも面白いところです。器好きの料理人たちが今、良き刺激を受けている気鋭の現代作家を教えていただきました。
不朽の名品と取り合わせたい新しい才能を見出す楽しみ
──宮澤政人(京都・北大路「獨歩」)
20代、修業先で出合った桃山志野の向付に衝撃を受け、本物の器の美しさに惚れ込んだ宮澤政人さん。「獨歩」では、氏の審美眼であつらえた桃山時代から現代作家までの器に季節の美味を盛り込んでいます。
「獨歩」には、現代作家が宮澤さんの意見を求め、集まる。古い器を写し、学びたいという作家には宮澤さん所有の桃山時代の器や乾山、魯山人などを貸し出すことも。「当時の陶工の土との対話や視点を追体験し、作家自らが素材の根源へと遡る。その泥臭くも誠実な工程を経て初めて時代を超越する“本物の風格”が宿ると思います」。矢野直人さん、坂井咲子さん、安藤雅信さん、村田眞人さんの器と、写した古い器を並べて撮影。
宮澤さんが心惹かれる現代の器は、技巧だけではなく、作家自身の素材と対話する根源的な姿勢が感じられるもの。木村達哉さんの器はひと目で「山茶碗の根本的な精神が20代の彼が作る器に宿っている」と衝撃を受けたといいます。

作家の変化を感じるのも楽しみと、宮澤さんが注目するのが渡邊心平さん。「絵のうまさに頼っていた印象が、作家が素材に向き合ってより心に響く佇まいに進化しました」と、これからに期待の眼差しを向けます。
古典の美意識を血肉にし、己の表現を模索する作家の器は、過去の名品と並んでもしっくりとなじみます。
木村達哉

自ら土を掘り、その土を使って地下式穴窯で焼く木村さんの器は素朴で力強い。宮澤さんが合わせたのは、炊いた鰻に花山椒、のびる。野趣溢れる料理が器と溶け合う。
Instagram:
@_tatsuya_kimura_渡邊心平

古九谷や初期伊万里への憧れと敬意を器にしている渡邊さんの絵付け皿には、翡翠なすとからすみを。作家自らが土を掘って作った器にはうすい豆のご飯を合わせて。
Instagram:
@tatadou_
獨歩(どっぽ)住所:京都市北区出雲路松ノ下町1-1
電話:075(406)7588
(次回へ続く。
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