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伝え継ぎたい日本の手仕事、その技が光る暮らしの道具といえば? “通”な7名に聞きました

2025.09.18

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柴田文江さん(プロダクトデザイナー)

(質問1)世界が憧れる「日本の美」を伝える人
伝統工芸士・詫間康二さんに注目しています。甲州水晶貴石細工の技術を継承し、繊細で研ぎ澄まされた感性を宿す作品を数多く手がけておられます。

(質問2)匠の技が光る「暮らしの道具」
詫間さんのショットグラス。水晶を丁寧に研磨し、精緻なカットを施したグラスは、素材の透明感と職人の技術が一体となった逸品で、日常に特別な質感を添えてくれます。


詫間宝石彫刻のショットグラス(柴田さん選):天然水晶の結晶は、成長する過程で多種多様な鉱物を内包し、それがまるで“庭園”のように見えることから「ガーデンクォーツ」と呼ばれる。その唯一無二の原石の美しさを引き出すべく、光の入り方や反射を見極め、自然の表情を生かした独自の石取り技術で、一点ものの作品へと昇華させたショットグラス。数千万年の時が生んだ結晶の奥行きと静けさを、日々の中で味わってみたい。「Garden」(4×7センチ~)27万5000円~/すべて詫間宝石彫刻

詫間宝石彫刻のショットグラス(柴田さん選):天然水晶の結晶は、成長する過程で多種多様な鉱物を内包し、それがまるで“庭園”のように見えることから「ガーデンクォーツ」と呼ばれる。その唯一無二の原石の美しさを引き出すべく、光の入り方や反射を見極め、自然の表情を生かした独自の石取り技術で、一点ものの作品へと昇華させたショットグラス。数千万年の時が生んだ結晶の奥行きと静けさを、日々の中で味わってみたい。「Garden」(4×7センチ~)27万5000円~/すべて詫間宝石彫刻

ショットグラスは12面体。独自の模様や結晶構造を生かすため、最適な石取りが行われる。(写真/goitami)

ショットグラスは12面体。独自の模様や結晶構造を生かすため、最適な石取りが行われる。(写真/goitami)

(質問3)伝え継ぎたい「日本の美」
水晶の研磨彫刻技術。今や山梨では水晶自体は採れないものの、かつて産地であった名残としてこの地に根づいています。そうした背景とともに受け継がれてきた技術は、これからも伝承されてほしいと願っています。

杉山享司さん(日本民藝館常務理事)

(質問1)世界が憧れる「日本の美」を伝える人
民藝運動の第一人者として知られる陶芸家・濱田庄司さんの孫にあたる濱田窯(栃木・益子)3代目の濱田友緒さん。定期的にアメリカやイギリスで展覧会を行い、濱田窯の伝統を受け継いだ作品を世界に向けて発信しています。

(質問2)匠の技が光る「暮らしの道具」
小鹿田(おんた)焼(大分)や瀬戸本業窯(愛知)の器には、江戸時代からの伝統的な民藝の精神が今も継承されています。「すず竹細工」(岩手・鳥越)の最後の担い手、柴田 恵さんの作品には細かい竹を編む、繊細な手仕事の粋が込められています。

柴田 恵の竹細工(杉山さん選):岩手県産のすず竹を編み上げた手提げかごは、時代に合った形と大きさを意識して製作されたもの。手仕事ならではのしなやかさと丈夫さを備え、使い込むほどに艶が増す。すず竹は今、枯死の危機にあるが、壊れても修理しながら長く愛用してもらえたらと柴田 恵さんは語る。暮らしの中にある竹細工を、未来へ伝えていく願いが込められている。右・「Mスタイルバッグ」(縦12×横23×マチ10センチ)価格未定 左・「縦長手提げ」(縦33×横29×マチ12センチ)価格未定/ともにgallery KEIAN

柴田 恵の竹細工(杉山さん選):岩手県産のすず竹を編み上げた手提げかごは、時代に合った形と大きさを意識して製作されたもの。手仕事ならではのしなやかさと丈夫さを備え、使い込むほどに艶が増す。すず竹は今、枯死の危機にあるが、壊れても修理しながら長く愛用してもらえたらと柴田 恵さんは語る。暮らしの中にある竹細工を、未来へ伝えていく願いが込められている。右・「Mスタイルバッグ」(縦12×横23×マチ10センチ)価格未定 左・「縦長手提げ」(縦33×横29×マチ12センチ)価格未定/ともにgallery KEIAN

(質問3)伝え継ぎたい「日本の美」
今年は「民藝」という言葉が生まれて100年という節目の年です。「美は作るものではなく、生まれ出るもの」という考えのもと、実用に即した日用品にこそ無意識の美が宿る──これが民藝における美的価値です。250年以上、大規模な戦争が起こらなかった江戸時代という時代背景の中で日本の手仕事の技は熟成され、その頃から職人に対して敬意を持つ日本人の気風が生まれました。IT化が進んだ現代においても、日本ではデザイン分野にも伝統的な手仕事の感覚が息づいており、その独特の美意識は今世界から強く注目されています。

土井善晴さん(料理家)

(質問1)世界が憧れる「日本の美」を伝える人
世界が憧れるという観点から、書家・石川九楊さんはじめ、芸術家の故・鯉江良二さん、近藤高弘さん、陶芸家の辻村史朗さん、森 陶岳さん、といった方々を推薦します。強い個性を持ち、ダイナミックな独自の“もの”を日本の精神や自然観をもって作り上げています。

辻村史朗の茶盌(土井さん選):茶人が雑器を見立てたことに始まる井戸茶盌(ちゃわん)。若き日、日本民藝館で見た大井戸茶碗に心を打たれて陶芸の道に進んだ辻村史朗さんにとって、井戸茶盌は創作の原点。「ずっと触っていられるのが、ええ茶盌」と語るように、使い込むほどに魅力を深め、手のひらの中で育つ不思議がある。右・「井戸茶盌」(直径15×高さ7センチ)55万円 左・「粉吹ワインカップ」(直径8×高さ5センチ)3万3000円/ともに白(はく) marunouchi

辻村史朗の茶盌(土井さん選):茶人が雑器を見立てたことに始まる井戸茶盌(ちゃわん)。若き日、日本民藝館で見た大井戸茶碗に心を打たれて陶芸の道に進んだ辻村史朗さんにとって、井戸茶盌は創作の原点。「ずっと触っていられるのが、ええ茶盌」と語るように、使い込むほどに魅力を深め、手のひらの中で育つ不思議がある。右・「井戸茶盌」(直径15×高さ7センチ)55万円 左・「粉吹ワインカップ」(直径8×高さ5センチ)3万3000円/ともに白(はく) marunouchi

(質問3)伝え継ぎたい「日本の美」
「料理」なかでも対価を求めない無償の料理は人間の物質代謝を媒介する。自然と共存共鳴するように、まっすぐ生きる人たちが手を動かす行為の中に秩序美が生まれてくるのです。まっすぐ生きる暮らしの結晶として美はあると信じます。

hideyaさん(アートディレクター)

(質問1)世界が憧れる「日本の美」を伝える人
陶芸作家・山本長左さん、千家十職の京釜師一家・大西清右衛門家、陶芸家・黒田泰蔵さんといった方々に敬意を抱いています。

(質問2)匠の技が光る「暮らしの道具」
ハタノワタルさんの手漉き和紙、久住有生さんの左官壁、中里博恒さんや木渡慶次さんの器。また、「中川木工芸 比良工房」の木製品、「浜田兄弟和紙」の和紙、「日ノ出化学製作所」のガラス器、「有次」の包丁、「文祥窯」の食器、そして京都の老舗織元「細尾」の布など。

日ノ出化学製作所のガラスポット(hideyaさん選):直火にかけて湯を沸かすことができ、沸騰する様子までもが絵になるガラスポット。全工程を職人が一人で手がけており、注ぎ口や取っ手の接合部、表面に残るかすり傷までが個性となる。均質でないことの美を尊重する姿勢が、この道具に温もりと静けさを与えている。2ℓ入るLサイズのほか、1ℓのMサイズも。「ガラスポットL」(直径17×高さ〈蓋含む〉18.5センチ、真鍮の取っ手はiremono特注)4万3450円/日ノ出化学製作所(iremono)

日ノ出化学製作所のガラスポット(hideyaさん選):直火にかけて湯を沸かすことができ、沸騰する様子までもが絵になるガラスポット。全工程を職人が一人で手がけており、注ぎ口や取っ手の接合部、表面に残るかすり傷までが個性となる。均質でないことの美を尊重する姿勢が、この道具に温もりと静けさを与えている。2l入るLサイズのほか、1lのMサイズも。「ガラスポットL」(直径17×高さ〈蓋含む〉18.5センチ、真鍮の取っ手はiremono特注)4万3450円/日ノ出化学製作所(iremono)

(質問3)伝え継ぎたい「日本の美」
日本の美には、「余白の思想」が流れていると感じています。それは何かを模倣するのではなく、「美とは何か」を丁寧に問い続ける営み。私は世界中の美を見てきましたが、やはり日本には、気配や道具としての在り方に奥行きがある。美しいものを美しいと認識するまなざしを、私たちはもう一度磨き直す時期に来ているのではないでしょうか。そう思いながら、私自身も今日という一日を、言葉や光とともに丁寧に継ぎ直していきたいと願っています。

柳 晋哉さん(染織作家)

(質問1)世界が憧れる「日本の美」を伝える人
埼玉県秩父市の影森養蚕所の5代目養蚕農家・久米悠平さんに注目しています。養蚕という繊細な営みを日常の中で当たり前に続けていくその姿勢には、日本の手仕事が本来持っている誠実さと力強さを感じます。

(質問2)匠の技が光る「暮らしの道具」
「菊季刃物店」のにぎり鋏と、「よのや櫛舗」の櫛です。いずれも手になじむ美しい道具で、日々の制作の中でも自然と気持ちが整うような存在です。

よのや櫛舗の櫛 (柳さん選):江戸・享保年間創業の「よのや櫛舗」は、最適な堅さとしなやかさを備えた薩摩つげを用い、手になじむ独自の形状と櫛通りのよさにこだわったつげ櫛を手仕事で仕立てている。椿油に麝香(じゃこう)を加えた香油で仕上げられ、買ってすぐ心地よく使えるのも特長。静電気が起きにくく、髪と頭皮をいたわる効果から、日用品でありながら一生ものと呼べる日本人の知恵の道具。「とかし櫛5寸」(15×4×厚さ1センチ)2万9700円/よのや櫛舗

よのや櫛舗の櫛 (柳さん選):江戸・享保年間創業の「よのや櫛舗」は、最適な堅さとしなやかさを備えた薩摩つげを用い、手になじむ独自の形状と櫛通りのよさにこだわったつげ櫛を手仕事で仕立てている。椿油に麝香(じゃこう)を加えた香油で仕上げられ、買ってすぐ心地よく使えるのも特長。静電気が起きにくく、髪と頭皮をいたわる効果から、日用品でありながら一生ものと呼べる日本人の知恵の道具。「とかし櫛5寸」(15×4×厚さ1センチ)2万9700円/よのや櫛舗

櫛に適した薩摩つげを使い、髪通りと握りやすさにこだわって一つ一つ丁寧に製作。

櫛に適した薩摩つげを使い、髪通りと握りやすさにこだわって一つ一つ丁寧に製作。

(質問3)伝え継ぎたい「日本の美」
「四季」。季節を意識して織るきものや布は、ただの衣類ではなく、自然との対話の道具であると感じています。絹や綿、羊毛、苧麻といったメジャーな素材以外にも、大麻、葛、藤、楮(こうぞ)といった多様な素材に触れながら、四季を纏う豊かさを次の世代に伝えていきたいと思います。

撮影/西山航 取材・文/冨部志保子

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