暮らしのヒント

「占星術」の変遷。ホロスコープの読み解き方を鏡リュウジさんが解説

鏡リュウジ 心の扉を開く タロットと占星術 第4回(全20回) 占いは未来を当てるだけではありません。自らの心の深層を探る──それも役割の一つ。あなたの心の扉を開くために、古の世界観の旅へと鏡リュウジさんが誘います。前回の記事はこちら>>

星とカードが届ける「天空からのメッセージ」

あなたの星座でわかる「運命のタロット」

ルイ16世とマリー・アントワネットのホロスコープ(鏡リュウジ蔵書『医術とオカルト科学への鍵』より)。

空の高みで輝く星たちが地上の出来事を映し出しているのではないか。そんなことを、人はいつ考えついたのであろう。古代の人々は、日々移りゆく星たちを見つめ、ある瞬間の星の配置が地上に生きる我々の運命と呼応しているに違いない──そう考えたのである。

占星術の起源を探ると、世界最古の文明といわれる古代バビロニアでの天体観測にたどり着く。当時、占星術は国家の盛衰や王家の吉凶を占うのに用いられた。個人の運命ではなく、国の支配者の運命を占うものであったのだ。

あなたの星座でわかる「運命のタロット」

アストロラーベは占星術師や船乗りが使った天文観測具。イスラム発祥でメッカの位置を調べたものだという。撮影協力/LECURIO

現在のように星の配置を「ホロスコープ」という図に表して分析する手法が生まれたのは、今から二千数百年前。紀元前400~350年頃といわれている。占星術はヘレニズム文化の中で開花し、多くの天文学者は同時に星の示す予兆を読み解く占星術師でもあった。

時にその火を絶やしそうになり、17世紀には科学革命によって天文学と袂を分かちながらも、ここまで続いてきたのである。

その中で占星術は、次第に国家の命運を占うものから、個人の性格や運勢を知ろうとするものへと変わっていく。印刷技術の発展によって占いを扱う本や雑誌は飛躍的に増え、19世紀から20世紀には「現代占星術の父」と呼ばれるアラン・レオの登場によって、占星術が「近代化」され、宿命より個人の可能性を探求するツールとなる。現在では運勢、性格を見るだけでなく、占星術をより現実的な思考ツールとしてとらえ、運気を用いて自分の人生の指針としたり、判断の材料にしようという動きもみられるようになっている。

16年にわたる長期政権を維持し、ドイツ経済を立て直したメルケル元首相のホロスコープを読み解く

独・メルケル元首相のホロスコープ
あなたの星座でわかる「運命のタロット」イラスト/玉村ヘビオ

1 惑星記号
太陽から冥王星までの惑星を表す。

2 星座記号
牡羊座から魚座までの黄道十二宮を表す。

3 ハウスの数字
天球を12分割した領域のナンバー。

4 アスペクト・ライン
惑星や天体が特定の座相(アスペクト)にあることを示す線。

5 アセンダント
東の地平線。ここから天体が昇ってくる。本人と世界の出会いを示す最も重要な点。

6 ディセンダント
西の地平線。人生で出会う他者のイメージ。

7 ミディアムコエリ
ホロスコープの天頂にあたるところ。人生の到達点を表す。

8 イムムコエリ
天底。自分の人生の基盤、来し方を示す。

占星術はホロスコープが判断の基準となる。ホロスコープとは太陽系の惑星の配置を図示したもの。

メルケル氏は出生時に太陽が「母性の星座」蟹座にある蟹座生まれ。しかも主要惑星である水星、木星、天王星の3つが蟹座に集中。人への共感能力が高く、慈愛に満ちていることを示している。

本人の人生を切り開く力を示す太陽は、自立と独立、革新を示す天王星と接近、しかも過去からの遺産を表す第8ハウスの影響圏内にある。伝統を引き継ぎながら改革しようとする精神を表す。物理学の博士号まで取得しているのも科学の星、天王星にふさわしい。

太陽とともに重要な月は天王星を支配星とする水瓶座にあり、専門用語でいう「ミューチュアル・レセプション」となる。蟹座の優しさと水瓶座の人道主義的な価値観が美しい形で調和している。膨大な人数の難民受け入れはその表れだろう。それが人々の反発を招いたのは、理想を意味する海王星と太陽の強い角度が暗示している。

鏡リュウジ(かがみ・りゅうじ)

心理占星術研究家・翻訳家。国際基督教大学大学院修了。英国占星術協会会員。占星術の心理学的アプローチを日本に紹介。タロット、神話などにも精通し、占星術の歴史にも造詣が深い。著書・訳書多数。


〔特集〕鏡リュウジ 心の扉を開く タロットと占星術

01 「名画に隠れた占星術の世界観」

02 ヨーロッパ文化の美が宿る「タロット」

03 秘教から創造芸術へ「タロットカードの歴史」

04 「占星術」の変遷。ホロスコープの読み解き方


この特集の掲載号
『家庭画報』2022年7月号

『家庭画報』2022年7月号

文/鏡リュウジ 浅島尚美〈説話社〉

撮影/本誌・西山 航、大見謝星斗
撮影協力/ニチユー 東京タロット美術館 LECURIO 構成/三宅 暁〈編輯舎〉

『家庭画報』2022年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。

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