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フランスへ移住して1か月。刺激と美食を求め、パリへ1泊2日のグルメ旅行

2018.11.27

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意外となんとかなる!? 40代のフランス移住

ファッションライターとして『家庭画報』をはじめ、大人の女性に向けた雑誌で活動してきた河島裕子、改め、ルロワ河島裕子が、夫の故郷であるフランスに家族3人で移住することを決意。幾多のハプニングに見舞われながらも、2018年9月中旬に無事渡仏。40歳を超えての移住、フランス北部の田舎での暮らし、そして時折ときめきを求めて訪れるパリやフランス各地で出会った素敵なものをリポートしていきます。第2回目の今回は、1泊2日という短い期間ながらパリの美食を存分に堪能してきましたので、その模様をお届けいたします。バックナンバー>>>

第2回 刺激と美食を求めて、食の都パリで1泊2日のグルメ週末旅行へ



移住生活開始から1か月、パリの美食でときめきを注入


日本から持ち込んだ仕事やさまざまな事務処理に追われた最初の1か月。しかし諸々が落ち着き始めると、移民初心者の私は早くも田舎での時間を持て余し始めていました。ちょうどその頃、東京からパリに仕事のためにやってくる友人と再会できるとの朗報が! 家族の許可を得て、1泊2日のパリ週末旅行を敢行したのでした。

まずはフレンチに疲れた日本人の胃を癒す、モダンアジア料理


久々に都会の空気が吸えるとあって、張り切り過ぎて東京から来る友人との待ち合わせの6時間前にパリに到着してしまった私は、パリ在住20年の友人を呼び出してランチすることに。さすがフランス生活のベテラン、1か月間田舎ごもりだった私がフランス料理に飽きて来た頃なのでは?という細やかな気遣いから、今若いパリジャンの間で人気だというカジュアルモダンなアジア料理のレストランへと連れて行ってくれました。(以下、2018年11月時点の情報です)


それがサンマルタン運河沿いの「Siseng」。到着したのは13時過ぎでしたが、運河沿いにあるニューヨークのロフト風の飾らない雰囲気の小さなレストランの前には、テイクアウトをオーダーする人の行列ができていました。数年前からパリでは空前のハンバーガーブームなのだそうですが、ここでは一味違ったアジア風の軽やかなバーガーがいただけるとのことで、もちろんそのシグネチャー「バオ バーガー」、そして麺恋しさから謎の「ブラックビーンズヌードル」をオーダー。久々のアジアの味が私の胃袋に染み渡っていきます。昼からがっつりビストロ料理はちょっと……、というような時におすすめです!


サンマルタン運河沿いのアジア料理レストラン「Siseng」のシグネチャー「バオ バーガー」。私がオーダーしたものには日本風のチキンカツが挟まれていて、あぁ、癒される。●「Siseng」 82 Quai de Jemmapes, 75010 Paris

パリの空の下でのアペロで、気分はハッピー!


アジア料理を恋しがる心とお腹を満たした私は、今や老舗の貫禄を漂わせるサンマルタン運河沿いのカフェ「La Marine」(ラ マリーヌ)でお茶をした後、学生時代の友人との尽きぬ会話に後ろ髪を引かれながらも、一路もう一人の友人が宿泊するホテル「HOTEL DES GRANDS BOULVARDS」(オテル デ グラン ブールヴァール)へ。

足を踏み入れた瞬間、肩の力の抜けたカジュアルリュクスなその雰囲気が、なんだか“今どきなパリ”を感じさせる空間に、気分はすっかり舞い上がってしまいました。

こちらは今、いくつものショップやホテルを手がける人気女性インテリアデザイナー、ドロテ・メリクゾンによるデザインが話題のホテルなのだそうです。お部屋がとても素敵なのですが、何より屋上にあるルーフトップバー「THE SHED」でのアペロのひとときが最高!

この日は10月中旬だというのに最高気温24℃の汗ばむような陽気で、太っ腹の友人は私にロゼシャンパンをご馳走してくれ、独身時代に戻ったような夢心地の時間に、夕方からすでにふわふわした気分になっておりました。


パリのど真ん中にありながら、遮ることのない空が広がる気持ち良い「HOTEL DES GRANDS BOULVARDS」のルーフトップバー「THE SHED」。夕方6時半過ぎにはスタンディングで席を待つ人たちで溢れていました。ゲストもとびきりお洒落な人たちばかりで、どうやらファッショニスタたちにも人気のスポットのよう。●「HOTEL DES GRANDS BOULVARDS」17 Boulevard Poisonniere, 75002 Paris

スターシェフの最新イタリアンレストランへ


友人が今回のパリでのランデブーの目玉であるディナーの場に選んでくれたのが、スターシェフ、アラン・デュカスが手がけている、この秋オープンしたばかりのイタリアンレストラン「CUCINA」(クッチーナ)でした。仕事を辞め、目下節約中の私を気遣ってくれた友人は、美味しくてリーズナブルで、かつ最新という、これ以上ない完璧なセレクトを提案してくれたのです!! 持つべきものは、心配りに溢れた情報通の友人ですね。

前菜3種、ボンゴレビアンコ、メインにミラノ風カツレツというセレクトでしたが、どれも美味。特にパスタは歯ごたえも塩加減も絶妙で、これまでに訪れたパリのイタリアンレストランの中では私の一番のお気に入り(って、さほどパリ通でもないですが)。お酒をそれぞれ2、3杯飲んで1人当たり約60ユーロという日常遣いできる気軽さも素晴らしい!と大満足の夜となりました。


どれもが絶品だったアンティパスト。お腹の具合に合わせて選べる3、5、7品のアンティパストから、ブッラータ、ナスのキャビア風、スズキのカルパッチョの3品をチョイス。これがどれも絶品で大正解でした! ●「CUCINA」 20 rue Saint Victor, 75005 Paris

締めくくりは、今注目のグルメパッサージュをチェック!


友人の宿泊に便乗し、前述の素敵なホテルで一晩過ごした私は、その一階にあるダイニングで図々しく朝ごはんまでいただき、遅めの朝食で優雅なパリでの土曜日をスタートしました。

さてさて、実は友人も私も、噂に聞いて気になっていた場所がありました。それはパリ7区にオープンした「Beaupassage」(ボーパッサージュ)。パリ在住の人たちがこぞってこの秋一番の話題スポットと語るこちらは、3つ星シェフのヤニック・アレノのネオビストロ、2つ星のティエリー・マルクスのブーランジェリー、ピエール・エルメのサロン ド テ、老舗フロマジュリーの「バルテルミ」、加えて日本からは京都発のコーヒー「%アラビカ」など、フランスのフード界をリードするスターたちが大集合した、まさに食のワンダーランドなのです!



アートやショップインテリアにもこだわっているので、空気感を味わうだけでも楽しい「ボーパッサージュ」。●「Beaupassage」 53-57, rue de Grenelle, 75007 Paris

で、早速カメラ片手に散策。がっつり朝食を食べた直後ながら、ティエリー・マルクスのブーランジェリーで早速スイーツを購入してしまいました。ほかにもアンヌ=ソフィー・ピックのグルメジャーや熟成肉が有名な精肉店「ポルマール」のパテなど、お持ち帰りできる美味しい子たちの誘惑が体にまとわりつき、空腹時に訪れたら必ずやその美食の罠にはまってしまうであろう危険極まりない場所です。

しかし1日半でこんなに食べ歩いたのに、結局ランチにはオデオン近くの大人気ビストロ「Le Comptoir du Relais」(ル コントワール デュ ルレ)でしっかり前菜とメインを平らげてしまった、自分の底なしの食欲に恐怖さえ感じた秋のグルメクルーズなのでした。

次回は、フランスで体験した、日本との違いを感じた子供にまつわる諸々を、5歳の子を持つ親の目線でリポートします。

ルロワ 河島 裕子 / Hiroko Kawashima Leroy

フリーライター
アパレル商社勤務の後、フリーのファッションライターに。『家庭画報』をはじめ大人の女性に向けた雑誌で、ファッションやジュエリー、時計を中心に幅広く執筆。強烈な個性を持つフランス人の夫と息子の3人家族。2018年9月より、拠点をパリから1時間ほどのフランス北部の田舎に移し、大自然の中でのんびり生活をスタート。移住直前に猛勉強した金継ぎと蒔絵を、フランスの地で実践中。夢は、家族とともにワインの聖地・ブルゴーニュでB&Bを営むこと。
●フランス移住こぼれ話●
夜シャワーを浴びていたら、途中で突然冷水になった……。フランスでこんな経験をされたことはありませんか? 実はこれ、フランスの給湯システムのせい。フランスでは多くの家庭では給湯タンクにある水を電気で温めるシステムのよう(稀にガスシステムを導入しているお宅もあるよう)ですが、その場合、電気代の安い11時半以降の夜中にお湯を作ることが多いため、朝は潤沢にあるお湯も、家族全員がシャワーを浴びたり食器洗いにお湯を使ったりすると、夕方にはお湯切れなんてことも。 真冬にシャンプーの途中で冷水地獄を味わった人の話を幾度と聞き、自らもこの受難を体験済みの私は、毎朝、義母の次にすぐにシャワーを浴びられるようにスタンバイ! 日本では「湯水のように使う」という表現がありますが、湯水にも限りがあることと資源の大切さを日々実感しております。
写真・文・イラスト/ルロワ 河島 裕子
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