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今森光彦さん、農家になる。かつて見た風景を蘇らせたい

環境農家への道 アトリエ「オーレリアンの庭」で知られる写真家で切り絵作家の今森光彦さん。理想とする里山を実現するべく、自ら農業従事者となり数年前に荒地を取得。その荒野を「オーレリアンの丘」と名付け、たくさんの蝶が集う美しい場所とすべく奔走する、今森光彦さんのエッセイです。これまでの記事はこちら>>

私が好きだったはさ木の並木。 背後には、いつも比良山が見えた。

今森光彦、環境農家への道
第20回 姿を消した、はさ木の風景(後編)

(写真・文/今森光彦)

ここ30年来、はさ木の並木が、ひとつひとつ姿を消していった。田んぼの圃場整備で、農道の位置が変わり、やむなく並木も取りはらわれてしまったのだ。

私が最も心を痛めたのは、田んぼの持ち主が、自らクヌギのはさ木を伐採している光景に出会ったときだ。

彼に問うと、はさ木が田んぼに影を落とし、イネの生育を悪くするから、という返答だった。

何百年もの間、里山の風土をつくってきたはさ木なのに、なんで今になって切らないといけないのか。そんな疑問が心の中から沸々と湧いてきた。

クヌギのはさ木は樹液がでやすいので、 カブトムシやクワガタムシが集まってくるし、様々な野鳥たちに休憩場所を与えてくれるとても貴重な木だ。いつからかこれを、復活させたいと思うようになった。アトリエのアプローチをはさ木の並木にしたのも、そんな想いがあるからだ。

農地を貫く、はさ木の並木道。その先には、比良山がたたずむ。そんな風景を蘇らせたい。

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