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今森光彦さん、農家になる。山の神様と人々の暮らし

環境農家への道 アトリエ「オーレリアンの庭」で知られる写真家で切り絵作家の今森光彦さん。理想とする里山を実現するべく、自ら農業従事者となり数年前に荒地を取得。その荒野を「オーレリアンの丘」と名付け、たくさんの蝶が集う美しい場所とすべく奔走する、今森光彦さんのエッセイです。これまでの記事はこちら>>

野仏

今森光彦、環境農家への道
第18回 年月を見守る、山の神様(後編)

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(写真・文/今森光彦)

山の神というのは、豊作を祈願する古い神様のことだ。

おそらく、この土地に人が住みはじめたころにもたらされた、原初の神様だと言って良い。 私が今まで里山で出会った山の神は、初秋にお祭りがおこなわれた。

神社の大きなお祭りではなく、村の区ごとに神様を設け、男たちが集まって祈りを捧げる。 真偽の程はさだかでないが、神様が女性なので、男だけしか参加できないらしい。ある人の話では、山に棲む神様をお呼びして、田んぼの神様と仲良くなってもらうと、豊作がかなうという。

この板碑は、山と田んぼを結ぶ“端境”を意味する場所でもある。

薄暗い空間の向こうには小道がみえた。それは、田んぼの中をとおって、大きな道につづいていた。どうやら、そちら側が正面で、私の方は、竹林を開墾しながら反対側からやってきたらしい。

西村さんは、そんなことは、知っていたようすで、笑みをたたえて、板碑に手を添えている。

この山の神は、敷地の中ではなかったが、隣接地だとわかった。私は、そのことをたいへん嬉しく思った。というのは、里山との付き合いで、普段は陰に隠れた異空間をみんなに知ってほしいという気持ちがあったからだ。

里山を学ぶ土地に、新たなテーマが誕生したように思う。

仲間が集っての柿の収穫。渋柿の場合は、かわをむいて干し柿にする。かわをむいた柿は、シュロの葉を使って竹の棒に吊るしてゆく。昔の仰木では、どこの家でもみられた風景だが、美しい風物詩は、すっかり姿を消してしまった。

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