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庭のハーブ、育てるだけではもったいない。「ハーブ蒸留」という新しい楽しみ方

2026.09.24

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庭のハーブを、育てたその先へ。はじめてのハーブ蒸留(1) 庭で元気に育ったローズマリーやミントを、「ほかにも何か使い道があれば」と思ったことはありませんか。料理やハーブティーだけでなく、植物には「蒸留する」という楽しみ方があります。植物を蒸留すると生まれるのが、水溶性のやさしい芳香成分を含んだ「芳香蒸留水」。スキンケアをはじめとするセルフケアや、ハウスキーピングまで、日々のさまざまな場面で活用できます。この連載では、書籍『蒸留ではじめるハーブのある暮らし』(世界文化社刊)より、身近な植物で始めるハーブ蒸留の基本、芳香蒸留水を使ったレシピまで、3回にわたってご紹介します。


ローズマリーやミントなどのハーブは、丈夫で育てやすい反面、気づけば、庭でどんどん増えていることも。料理に使っても、まだ余ってしまう――そんな経験がきっとあるはず。

「そんなときにぜひ試してほしいのが、自宅でハーブを蒸留することです。庭で育てたハーブはもちろん、ヨモギやドクダミなどの身近な野草、柚子などの柑橘類などを蒸留し、香りの恵みを暮らしに生かすことができます」と話すのは、植物蒸留・芳香療法家の菊池友来さん。

20年以上にわたり芳香療法や植物療法を実践し、現在は熊本県・南阿蘇を拠点に、植物を蒸留し、その魅力を伝えています。


ここから「ハーブ蒸留」とはどんなものなのか、その楽しみ方を見ていきましょう。

ハーブから生まれる「芳香蒸留水」とは?

「ハーブを蒸留すると、大きく分けて二つのものが生まれます。ひとつは精油=エッセンシャルオイル。そしてもうひとつが、『芳香蒸留水』です。ハーブウォーターやハイドロゾルとも呼ばれます」。

ローズウォーターなどは有名で、化粧水として使うものというイメージがあるかもしれませんが、使い道はそれだけではないと菊池さん。

「顔や体のケアはもちろん、気分をリフレッシュしたいときにスプレーしたり、入浴に取り入れたり。ルームスプレーや拭き掃除など、暮らしのさまざまな場面で使うことができます。精油のような強い香りはありませんが、みずみずしく、その植物固有の香り成分を含みます。芳香蒸留水は、精油と比べて禁忌が少なく、植物の香りを最もやさしく、穏やかな形で受けることができます」。

庭で育てたハーブを、「食べる」「飾る」に加えて、「香りの水として生活に取り入れる」。ハーブ蒸留を知ると、植物の楽しみ方がもうひとつ増えていきます。

蒸留のしくみは意外とシンプル

「蒸留というと難しそうに聞こえるかもしれませんが、基本的なしくみはとてもシンプルです」。

ここでいう蒸留とは、「水蒸気蒸留法」のこと。素材となる植物に含まれる芳香成分を、沸騰させた蒸気の熱で抽出します。その蒸気を冷やすと、再び液体に戻ります。これが植物の水溶性の芳香成分が含まれた芳香蒸留水です。

「家庭用の蒸留器を使う方法もありますが、まずは家庭にある鍋を使った『キッチン蒸留』に挑戦してみましょう。植物を刻み、お湯を沸かし、蒸留してみる。その時間を過ごすだけでも蒸留の魅力を十分に感じることができます」。

庭のローズマリーで、ハーブ蒸留をしてみよう

「例えば、庭やベランダで育てている方の多いローズマリー。香りも豊かなので、はじめの蒸留にもぴったりの植物です。ミントやゼラニウムなど、身近なハーブをミックスしても楽しめます。植物の様子や水の減り具合、蒸留水が少しずつたまっていく様子を観察しやすいよう、透明なガラス鍋を使うのがおすすめです」と菊池さん。

方法は、鍋の中央に耐熱ビーカーやコップ(できれば透明なもの)を置き、そのまわりに細かく刻んだフレッシュなローズマリーを敷き詰め、コップが浮かない程度まで、水を注ぎます。

丸みのある部分が下向きになるよう鍋蓋を逆さまにしてかぶせ、その上に氷をのせて加熱。すると、ローズマリーの芳香成分を含んだ蒸気が立ち上がり、冷えた蓋に触れて蒸気が水滴に。その水滴が少しずつコップの中にたまっていきます。

氷はすぐにとけてしまうため、やけどに注意しながら素早く交換してください。蓋をはずすと蒸気が逃げてしまうため、ジップロックなどに氷を入れてもOKです。

「最初から上手に作ろうとしなくても大丈夫です。蒸留水は、たくさん採ろうとせず、50~100mlほど採れたら十分です。まずは『蒸留ってこんな時間なんだ』と、香りや空気の変化を楽しむことから始めてみてください」。

次回は、実際に採れた芳香蒸留水のさまざまな活用法をご紹介します。


菊池友来さん

きくち・ゆき 植物蒸留・芳香療法家。株式会社RIT取締役。20年以上にわたり芳香療法や植物療法を実践・研究。芳香療法の教室運営、セラピストの育成を行う傍ら、調香師としてフレグランス開発や空間設計などを手がける。2024年より熊本県南阿蘇村に活動拠点を移し、アトリエ「余庵(YOAN)」を設立。近年は日本アロマコーディネーター協会の検定講座を手がけるほか、家庭用植物蒸留器「SOMA」(実用新案出願中)を開発し、香りのある暮らしと、植物蒸留文化の普及にも力を注いでいる。https://www.rit-inc.jp

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写真/穴見春樹

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