[現地特別取材]2026ミラノデザインウィーク探訪 海外インテリアの新潮流を訪ねて 世界のインテリアの潮流を決するといわれる「ミラノデザインウィーク」。ミラノサローネ国際家具見本市とミラノ市内のデザインイベント「フォーリサローネ」の2つを総称して呼ばれる世界最高峰のデザインの祭典です。真のデザインとは消費されるものではなく、長く愛され受け継がれるべきもの──そんなメッセージを色濃く感じとれる場となった今回、次代へ手渡す美のかたちを求めて、本物回帰へと向かう新たな潮流を探訪しました。
ガロッティ&ラディーチェ
創業70周年──ガラスに宿る記憶を、未来の美へ

(左)Silvia Gallotti シルヴィア・ガロッティ
創業家2代目、CEOとしてブランドを牽引。ガラスを軸にした美意識と職人技を継承し、表現領域をトータルリビングへと拡大。「ガラスは記憶、革新、持続可能性、感情を宿す表現媒体」と語る。
(右)Shibata Fumie 柴田文江
プロダクトデザイナー。家具デザインからホテルのディレクションまで幅広く手がける。多摩美術大学教授。EDIDAをはじめ国際的デザイン賞多数受賞。欧州での活動の場を広げている。
ガラス家具の先駆者、デザインとアートの境に佇むような繊細な作品で知られるガロッティ&ラディーチェ。創業70周年を迎えた今年、17世紀の名門貴族の館を舞台に特別展『Tales in Glass』を開催。過去・現在・未来の3章から成る会場には、過去の名作群と新コレクション、そして各国から選出された6組の女性デザイナーの新作が響き合います。その中には柴田文江さんの姿も。
「過去の章」の名作アーカイブ。71年のランプ「Spirale」やテーブル「President」などが、卓越したガラス工芸とメタルジョイント技術を示す。

「現代の章」ではトータルリビングの新作が。
「ガラスは私たちのアルファベット、空間を描く鉛筆なのです」とCEOのシルヴィアさん。木工産地のブリアンツァでガラスを家具の主役へと押し上げた同社の歩みは、消費を超え継承されるデザインの力を体現します。
「未来の章」で発表された柴田さんの「KOOSHI」。高透過強化ガラスに色彩のグラデーションが手作業で施され、フォルムの奥に格子状の構造が浮かぶ。写真奥はドバイとカナダ拠点のラニア・ハメドさんによる「OMMI」。

多文化的背景をもつ6組の女性デザイナー。
「伝統とは“生きた素材”。オブジェが記憶と愛着を宿す時、機能を超えたコレクタブルな存在となります」。日本の格子に着想を得た柴田さんの「KOOSHI」は、光を濾過し静けさを編みます。ガラスと金属が生む浮遊感は、70年の記憶と革新が結ぶ未来の美を映していました。
ガロッティ&ラディーチェ
http//www.gallottiradice.it
アルテメスト
イタリアの職人技を現代デザインとして更新
アルテメストはイタリア各地のクラフト文化を現代のデザインとして再編集し、ECサイトを通じて世界に発信するプラットフォーム。
ニューヨークに本社を置く建築デザインスタジオ、ロックウェル・グループによるダイニングルームは、ナポリがテーマ。横になって食事をとるポンペイの食堂、「トリクリニウム」に着想を得て、デイベッドやプーフが配されている。
歴史的な邸宅、ドニゼッティ宮を舞台にした展示では、5組のデザインスタジオが個性的な空間を創り上げました。
ローマの壮麗さと芸術的遺産にインスピレーションを得たグランドサロン。ベルベットのアームチェアやソファが極上のくつろぎを演出する。世界各地でプロジェクトを抱えるMAWD|マーチ・アンド・ホワイト・デザインが手がけた。
ムラーノ島の手吹きガラス、ブリアンツァ地方の手作り家具、トスカーナ産大理石。普段はデジタルでしか見られない製品のクオリティを、間近で見られる期間限定のアパートメント。
シカゴを拠点とするサーシャ・アドラー・デザインによる玄関ホール。「生命の樹」と名付けられた鉄製の彫刻を中心に、人が集まり会話を促す設計。
「職人の文化を守ることが私たちの信条です。ガラス職人、銀細工師、陶芸家など、何世紀にもわたる伝統を革新と融合させる職人たちと提携しています」と語るのは、創業者でニューヨークを拠点にするイッポリタ・ロスターニョさん。
「職人の文化を守ることが私たちの信条」
──イッポリタ・ロスターニョ(創業者・クリエイティブディレクター)

Ippolita Rostagno イッポリタ・ロスターニョ
アメリカとイタリアにルーツをもつ、ジュエリーデザイナー。イタリアの職人技に魅せられ2015年にアルテメストを共同設立、クリエイティブディレクターを務める。
デジタル時代に合ったプラットフォームで、イタリアが誇る伝統技法を現在進行形で更新し続ける存在です。
アルテメスト
https://artemest.com/(次回に続く。)
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