〔特集〕名門避暑地の“今”を楽しむ 軽井沢の夏休み 木立の緑が日に日に深まり、鳥のさえずりとともに過ごす心地よい季節 ── 。古くから多くの文化人や避暑客を魅了してきた軽井沢に、新たな楽しみが加わりました。駅直結の新施設、ミュージアムや名建築、美食処、そして軽井沢通のおすすめ ── 、この夏訪ねたい、軽井沢のさらなる魅力をお届けします。
・
特集「軽井沢の夏休み」の記事一覧はこちら>>>
名門避暑地の楽しみ
優雅なライフスタイルを拝見
騒がしい文明生活を離れ、静かな森の中で、英気を養う ── 自然を何よりも尊び、そこに溶け込む暮らしこそが、名門避暑地、軽井沢の本来の目的であり、楽しみです。軽井沢の流儀を自然体で謳歌する、3名の豊かな暮らしを訪ねました。
コレクションに囲まれるギャラリーのような家
田川啓二さん(オートクチュール・ビーズ刺繡デザイナー)
田川啓二(たがわ・けいじ)東京都生まれ。明治大学法学部卒業。1989年チリア設立。インドにアトリエを構え、 オートクチュールビーズ刺繡を手がける。1996年 「チリアエンブロイダリースタジオ」(刺繡教室)開講。2023年那須に「田川啓二美術館」を開設。2025年オープンの「黒柳徹子ミュージアム」の学芸員も務める。https://www.tagawakeiji.com
リビングダイニングとフラットに繫がるテラスでお茶を
中軽井沢の森の中に建つ、オートクチュール・ビーズ刺繡デザイナー田川啓二さんの別荘。かつては曽祖父が大正時代に建てた茅葺き屋根の家があり、田川さんも子どもの頃に従兄弟と一緒に夏を過ごした思い出の場所です。
「受け継いでからは3〜4年そのままにしていましたが、20年前にこの建物に建て替えました」
「床に寝転ぶだけでも、子どもの頃の夏休みを思い出して幸せな気分になります」── 田川さん
コーナーに大きく開いた窓辺にいると、まるで庭の緑に包まれたような気分に。「冬の雪景色を眺めるのも好きです」と田川さん。
リビングダイニングの大きなコーナー窓から見えるのは、迫り来るような緑。壁と天井は白一色のモダンな建物です。田川さんの心入れは、寄木張(よせぎば)りの床。ヘリンボーンをはじめ、木材本来の色で複雑に構成されたデザインが部屋ごとに選ばれています。
テラスからリビングダイニングを見る。田川さんの背後の壁には開閉式の扉があり、開けると廊下と繫がる。設計は建築家の四倉周司さんに依頼した。
加えて、「ギャラリーのような家にしたい」という田川さんの要望に応え、随所に作品やコレクションが飾れるニッチ(窪み)が設けられています。
「ここにいるときは、家中に散らばっているコレクションを動かして飾り直している時間が長いですね」
「自分のコレクションを好きなように飾って楽しむための空間です」── 田川さん
玄関から一直線に延びる廊下。真っ先に緑の景色が目に飛び込む。右は田川さんの作品、左は扉を閉めると出現するディスプレイ棚。田川さんが主宰する「チリア」のビーズやスパンコールをまとったテディベアがずらり。
アンティークのブリキのおもちゃや乳白色のオパールセントガラスの花瓶、絨毯など、田川さんが集めた美しい品々が、それぞれの居場所で光を放ちます。
マスターベッドルーム。ベッドと衣装箱は、インドのアンティーク。
黒柳徹子さんをはじめ来客も多く、同じ軽井沢にある「黒柳徹子ミュージアム」の展示替え時はスタッフとともに泊まり込むこともありますが、一人で訪れることも多いそう。
黒柳さん来訪時に使用する2階のゲストルーム、通称 “リアル徹子の部屋”。多くの家具はタイで購入。各部屋に絵本が置かれている。
「気分転換に、日帰りで来ることもあります。床に寝転がって天井を見ているだけで、子どもの頃の夏休みを思い出し、幸せな気分になれます」
テラスにて、夏のお茶会のコーディネート。ハワイの「ニーマン・マーカス」で購入したハンガリーの手描き磁器「Anna Weatherley」と、京切子やヨーロッパのアンティークのガラスを合わせて涼しげに。
(次回に続く。
この特集の記事一覧はこちらから>>)