ライフスタイル

自分と向き合い、家族との思い出に浸る。美しい木々に囲まれたHさんの別荘

2026.07.16

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〔特集〕名門避暑地の“今”を楽しむ 軽井沢の夏休み 木立の緑が日に日に深まり、鳥のさえずりとともに過ごす心地よい季節 ── 。古くから多くの文化人や避暑客を魅了してきた軽井沢に、新たな楽しみが加わりました。駅直結の新施設、ミュージアムや名建築、美食処、そして軽井沢通のおすすめ ── 、この夏訪ねたい、軽井沢のさらなる魅力をお届けします。

特集「軽井沢の夏休み」の記事一覧はこちら>>>

名門避暑地の楽しみ
優雅なライフスタイルを拝見

騒がしい文明生活を離れ、静かな森の中で、英気を養う ── 自然を何よりも尊び、そこに溶け込む暮らしこそが、名門避暑地、軽井沢の本来の目的であり、楽しみです。軽井沢の流儀を自然体で謳歌する、3名の豊かな暮らしを訪ねました。

樹木に囲まれて、創造的な時間を紡ぐ場所

Hさん(経営者)

H邸の庭側は、高い天井から床までの掃き出し窓。部屋にいながらにして、生き生きと生い茂る木々との一体感を味わえる。

エントランスとテラスの間に設けられた水盤は、いわば日常と非日常の結界。ピンクや黄緑色の椅子は、リゾート気分を盛り上げる。

「木漏れ日に癒やされながら、思索する午後」── Hさん

ジェットバスでリフレッシュした後は、リクライニングチェアでひと休み。思索やうたた寝のBGMは、ヒグラシの声と葉擦れの音。

自分と向き合い、家族との思い出に浸る時間

エンターテインメント系企業のトップを務めるHさんが軽井沢に別荘を建てたのは18年前。「会社のみんなと集い、新しい発想を生み育める場所をつくりたい」との思いからでした。

軽井沢はHさんが子どもの頃、学校の行事で毎年訪れ、碓氷峠の登山や陶芸体験をした地。当時は特別な思い入れはなかったそうですが、別荘をつくることになり、認識が変わったといいます。

「別荘を持つならどこがいいだろうといろいろな町を訪ねてみて、軽井沢のよさに改めて気づかされました。自然とカルチャーが共存している点が素晴らしい。長野の方々の人間性のよさも決め手の一つになりました」。

人と集うことを第一にHさんが選んだのは、駅からのアクセスがいい立地。ゲストルームは4室あり、何も持たずに訪れても不自由なく過ごせるよう、バスルームに続く洗面スペースには、サイズ別に用意されたTシャツやスウェットパンツ、使い捨てのアメニティ、お風呂上がり用の小さな缶ビールまで完備されていて、まるでホテルのよう。

創造的な時間のため、Hさんが大事にしたのは、大勢でも少人数でも話しやすいレイアウトにすること。

「空間全体を使って20人くらいでミーティングをすることもできますし、2人や3人、5人といった少人数でじっくり話をすることもできます。みんなが思い思いのスタイルで交流する様子をイメージして家具を配置しました」とHさん。

実際、ソファのあるスペースも、暖炉前のコーナーも、庭に面して並べられた長椅子も、それぞれ居心地がよく、自然に会話が弾みそうです。

思いのこもった別荘に、長年多くの人を迎えてきたHさんですが、家族だけで、あるいは一人で静かに過ごす日も。そんなとき、Hさんは「日頃は蓋をしてしまっている自分の感情と向き合える」と話します。

「蓋というのは、日常生活や仕事などで大事なものなんですが、その蓋が取り払われたとき、『私はこれが好きだったんだ』『こういうものを気持ちいいと感じるんだ』と気づくことができる。私にとって、なくてはならない時間です」。

明るく開放感のある別荘内で、唯一趣が異なるのが、重厚感のあるライブラリーバーです。赤煉瓦の壁面に設置された棚には、多くの書物とともに、Hさんのお父様が蒐集されていたアナログレコードの数々と、今では希少になったレコードプレーヤーが置かれています。

「アナログレコードを用意して、ワインに合うお料理を」── Hさん

ご両親の代からの蔵書やレコードが並ぶライブラリーバー。ユニークな形のテーブルは「どこが上座だとか気にしなくていいように」特注した品。

ここで懐かしいレコードをかけながら、ワインを味わうひとときは格別なのだそう。

「黒いついたてとソファ、クッションは亡くなった両親の寝室にあったものです。ソファもクッションもだいぶ古びていたので、張り替えました。ほかにも、父が叙勲された際に社員一同から贈られた記念品など、実家にあったものをいろいろと飾っています。ここはメモリアルな温かい空間にしたくて」。

人との集いの場であり、自分と向き合う場であり、家族との思い出に浸れる場でもある別荘は、Hさんにとってかけがえのない場所です。

18年の間に庭の一部は美しく苔むし、木々は立派に成長。Hさん夫妻が望んだとおり、四季折々の花や紅葉が目を楽しませてくれている。

今後、別荘でしてみたいことを尋ねると、「コロナ禍以降、集う機会がすごく少なくなってしまったんですよね。また以前のように、プロジェクトの成功をメンバーと称え合う会ですとか、そういう機会をたくさん持てたらと願っています」と笑顔で答えてくださいました。

壁面の一角に飾られていたのは、オペラ座の客席の写真やウォルト・ディズニーの原画など、エンターテインメントにかかわるモノクロの作品群。特に思い出深いのが中央の作品だそうで、「ミュージカルの『コーラスライン』が大好きで、高校の時、ブロードウェイポスター展で買ったものです。引っ越し先にも必ず持っていきました」とHさん。

美しい木々に囲まれた別荘が、かつての賑わいを取り戻す日も、そう遠くなさそうです。

(次回に続く。この特集の記事一覧はこちらから>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2026年08月号

家庭画報 2026年08月号

撮影/本誌・坂本正行 スタイリング/山田喜美子 取材・文/清水千佳子

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