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大雪~紋切り型でクリスマス飾りを【連載・村雨辰剛の二十四節気暮らし】

2025.12.05

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村雨辰剛の二十四節気暮らし
庭師で俳優としても活躍する村雨辰剛さんが綴る、四季折々の日本の暮らし。二十四節気ごとに、季節の移ろいを尊び、日本ならではの暮らしを楽しむ村雨さんの日常を、月2回、12か月お届けします。

大雪~紋切り型でクリスマス飾りを

細かい手作業に、職人気質を発揮。

細かい手作業に、職人気質を発揮。


北国から雪便りが届き、本格的な冬の到来を感じる頃。二十四節気は、雪が盛んに降り出すことを意味する「大雪(たいせつ)」を迎えました。山の峰々は雪に覆われ、平地にも雪が降り積もる時季です。この時季に天気予報などでよく耳にするのが、シベリア寒気団。その影響によって、日本海側には降雪をもたらし、太平洋側では乾燥した冷たい風が吹き荒れます。このシベリア寒気団のまたの名は“冬将軍”。ヨーロッパ最強と謳われたものの、ナポレオンによるロシア遠征では、その厳しい冬の寒さが敗因となったことから、“冬将軍”または“霜将軍”と寒さを擬人化して表現されるようになったとか。庭師の仕事も、この季節はまさに“冬将軍”との戦いです。そんな冬を少しでも楽しくしたいと思って、今回は日本伝統の紋切り型を用いてクリスマスのアートボードを作りました。

ガイドラインに沿って慎重に鋏を進める村雨さん。

ガイドラインに沿って慎重に鋏を進める村雨さん。

文様の細かな部分は、クラフト用のカッターを用いて。完成度の高さを追求します。

文様の細かな部分は、クラフト用のカッターを用いて。完成度の高さを追求します。


紋切り型は初めての体験という僕に、その魅力を教えてくださったのは、装飾師の錦織ほまれ先生。越前和紙の魅力を伝えながら一流旅館や三ツ星の料理店などの床飾りなども提案し続けている方です。もともと家紋というものに思い入れがあり、日本に帰化した際にオリジナルの家紋を作った僕にとって、紋切り型はとても興味をそそられる体験。今回はクリスマスに因んで、2種類の雪の文様「三つ組雪輪」と「初雪」を切り抜きました。


ガイドラインに合わせて紙を三つ折りにし、型紙の繊細な文様に沿って紙を切るだけというシンプルな作業なのですが、思いがけず集中。僕の猪突猛進な様子を見た錦織先生から、「昔は小学校で女の子の授業の中に紋切り型があったそうです。楽しむことが文化を継承することですので、リラックスしてくださいね」と言われて肩の力が抜けました。手仕事に没頭しながら、師走の忙しさを忘れさるリフレッシュタイムとなりました。

左、中央・「三つ組雪輪」は繊細なラインワークで、「切るときよりも開くときのほうが緊張しました」と、達成感に微笑む村雨さん。右・「初雪」は水色の和紙をセレクト。

左、中央・「三つ組雪輪」は繊細なラインワークで、「切るときよりも開くときのほうが緊張しました」と、達成感に微笑む村雨さん。右・「初雪」は水色の和紙をセレクト。

まるで雪景色のような手漉きの越前和紙をベースに、「三つ組雪輪」と「初雪」をバランスよくレイアウト。

まるで雪景色のような手漉きの越前和紙をベースに、「三つ組雪輪」と「初雪」をバランスよくレイアウト。


実は型を切ってクリスマス飾りを作る遊びはスウェーデンにもあって、色柄の鮮やかな紙ナプキンで雪の結晶などを作った思い出があります。クリスマスの頃にはルシア祭というお祭りもあり、サフラン入りの特別なパン「ルッセカット」を焼きます。アラビア語で「黄金にする」という言葉を語源とする“サフラン”ですが、スウェーデンでは1800年代からクリスマスのスパイスとして使われてきました。黄金色のサフランパンは不思議な力を持つと信じられ、願いを込めてさまざまな形に作られてきました。地方によって形が異なり、車輪や人や動物の形など、その種類は20以上もあるそうです。焼いたパンのいくつかは、種を蒔く春先まで保存し、豊作を願うことから「種蒔きのクッキー」とも呼ばれます。紋切り型をしながら蘇ったスウェーデンでのクリスマスの思い出。今回作ったアートボードを見るたびに、心に優しい灯りがともりそうです。

アクリルフレームにセットして、村雨さんのオリジナルのクリスマスのアートボードが完成しました。

アクリルフレームにセットして、村雨さんのオリジナルのクリスマスのアートボードが完成しました。

紋切り型はメッセージカードにあしらうなど、さまざまなアレンジも楽しめます。

紋切り型はメッセージカードにあしらうなど、さまざまなアレンジも楽しめます。


●ご指南役はこの方 錦織ほまれ 錦織ほまれ
装飾 日和(ひより)代表/装飾師。飾り紐、和紙、木工、漆芸、竹工など、幅広い伝統技術を組み合わせた装飾品のデザイン・製作を行う。
https://www.hiyori-japan.com/

村雨さんが見つけた二十四節気

端正な雪吊りの写真は、ロケで金沢を訪れた際のひとコマ。「おでんが身体にしみる季節になりました」と冬を楽しむ村雨さん。

端正な雪吊りの写真は、ロケで金沢を訪れた際のひとコマ。「おでんが身体にしみる季節になりました」と冬を楽しむ村雨さん。


村雨辰剛(むらさめ たつまさ) 村雨辰剛(むらさめ たつまさ)
1988年スウェーデン生まれ。19歳で日本へ移住、語学講師として働く。23歳で造園業の世界へ。「加藤造園」に弟子入りし、庭師となる。26歳で日本国籍を取得し村雨辰剛に改名、タレントとしても活動。2018年、NHKの「みんなで筋肉体操」に出演し話題を呼ぶ。朝の連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」や大河ドラマ「どうする家康」、ドラマ10「大奥 Season2 医療編」など、俳優としても活躍している。著書に『僕は庭師になった』、『村雨辰剛と申します。』がある。

撮影/大見謝星斗 構成・文/樺澤貴子

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