白露～秋の入りのコーヒー時間【連載・村雨辰剛の二十四節気暮らし】

村雨辰剛の二十四節気暮らし
庭師で俳優としても活躍する村雨辰剛さんが綴る、四季折々の日本の暮らし。二十四節気ごとに、季節の移ろいを尊び、日本ならではの暮らしを楽しむ村雨さんの日常を、月2回、12か月お届けします。

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白露～秋の入りのコーヒー時間

自作のコーヒーカップをご披露。

二十四節気では「白露」を迎えました。露は、夜の気温が下がることで空気中の水蒸気が水滴となる状態。光の反射でその露が白く輝くように見えることから、「白露」という美しい言葉が生まれたそうです。東京では露が降りるほどではありませんが、仕事で地方を訪れて早朝の草木へ視線を注ぐと、露がついている光景と出会うこともあり、確実に季節は進んでいるのだと感じます。中国の陰陽五行説では、白は秋の色とされ、人生における老年期を表現する「白秋」という言葉もあります。秋というと茶系や深い赤などの色がイメージされますが、二十四節気暮らしをはじめて、色と季節の意外な関係なども勉強になりました。

まだまだ暑さは収まりませんが、朝晩は過ごしやすくなってきたこの季節。今回は、僕のコーヒーブレイクについてご紹介します。

撮影の合間に、大好きなコーヒーブレイクを。

僕が愛用するのは「ククサ」と呼ばれる木製のカップで、ラップランド（スカンジナビア半島北部）の厳しい環境下で育った白樺のコブをくり抜いて作られるものです。この地の先住民であるサーメ人が人の幸せを願いながら手彫りし、そのククサを贈られた人に幸運が訪れるという言い伝えがあります。僕が使っているものは、アウトドアブランドのもので、4～5年前にテレビ番組の企画で、カップの持ち手部分を自分の手に馴染むように削るという体験をさせていただきました。ちょっと歪なようですが（笑）、僕の指に絶妙にフィットする唯一無二のカップとなり、今ではとても愛着のあるコーヒーブレイクの相棒です。白樺の木肌も温もりを感じさせ、これからの季節は特に活躍します。

村雨さんの手に馴染むように削られた愛用のコーヒーカップ「ククサ」。

ハンドミルで、その都度コーヒー豆を挽きます。

僕は朝起きると、まず目覚ましにコーヒーを飲みます。意外かもしれませんが、北欧のコーヒー消費量は世界でもトップクラス。スウェーデンでは「フィーカ」と呼ばれる習慣があり、コーヒーと一緒に甘味を楽しむブレイクタイムがオフィスでも取り入れられているほど。庭師の仕事でも、昼食以外に10時と15時に必ず休憩時間があり、僕にとってはまさに「フィーカ」です。

以前は1日何杯もコーヒーを飲んでいましたが、今は体内のカフェイン分解時間を考えて、午前中に2杯までという自分なりの基準を決めています。その分、丁寧にコーヒーを淹れることに重きを置き、1杯ごとに豆をハンドミルで挽いて、鉄瓶で少しずつお湯を注ぎ、フレーバーを楽しみながらドリップします。ちょっと時間はかかりますが、このプロセスを経ることで、コーヒーはぐっと美味しくなります。季節の移り変わりを感じながら、皆さんも“マイ・フィーカ”を楽しんではいかがでしょう。

愛用の鉄瓶には、名前に因んだ“辰”の姿が。

コーヒーはもちろん、メちゃんも僕を癒してくれる大切なパートナーです。

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村雨さんが見つけた二十四節気

左・「来年も元気な花を咲かせてくれますようにという願いを込めて、自宅の桔梗の“花がら摘み”を終えました」と村雨さん。右・「これぞ、白露！」と、地方ロケで朝露に濡れる葉を収めたワンショット。

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村雨辰剛（むらさめ たつまさ）
1988年スウェーデン生まれ。19歳で日本へ移住、語学講師として働く。23歳で造園業の世界へ。「加藤造園」に弟子入りし、庭師となる。26歳で日本国籍を取得し村雨辰剛に改名、タレントとしても活動。2018年、NHKの「みんなで筋肉体操」に出演し話題を呼ぶ。朝の連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」や大河ドラマ「どうする家康」、ドラマ10「大奥 Season2 医療編」など、俳優としても活躍している。著書に『僕は庭師になった』、『村雨辰剛と申します。』がある。