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「芦屋の文化を次世代に繋ぐきっかけに」芦屋神社権禰宜(ごんねぎ)・山西明子さんの暮らし

2025.08.21

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〔特集〕人・文化・自然を愛し、颯爽と輝く女性たち「“芦屋ライフ”拝見」 山と海、両方の自然に恵まれ、豊かな文化が根づく街・兵庫県芦屋市。ここで出会った女性たちは、自分なりの価値観と目標を持ち、人との繫がりを大切にし、日々の暮らしを生き生きと楽しんでいました。芦屋を拠点に仕事にもプライベートにも意欲的に取り組む3人の“芦屋ライフ”をお届けします。前回の記事はこちら>>

特集「芦屋ライフ拝見」の記事一覧はこちら>>>

“縁結びの神”芦屋神社から地元ゆかりの文化を発信

山西明子さん(芦屋神社 権禰宜[ごんねぎ])

神社は元々、人々が文化芸能を楽しむ場でありコミュニティの中心でした。芦屋神社権禰宜の山西明子さんは、神社本来の役割が失われつつある危機感を抱き、夫で宮司の康司さんと相談。

「地元の文化を発信して“芦屋神社がここにあります!”とアピールしなければ」と考え、柔軟な発想力を発揮します。

「神社が、芦屋の文化を次世代に繫ぐきっかけの場になればうれしいです」──山西明子さん

天穂日命(あめのほひのみこと)を御祭神とする芦屋神社は1100年以上の歴史を有する地元の守り神。御神木のヤマモモは樹齢300年以上。本殿の前で、宮司の山西康司さんと並ぶ妻で権禰宜の明子さん。

天穂日命(あめのほひのみこと)を御祭神とする芦屋神社は1100年以上の歴史を有する地元の守り神。御神木のヤマモモは樹齢300年以上。本殿の前で、宮司の山西康司さんと並ぶ妻で権禰宜の明子さん。

2014年、実家がギャラリーだった関係で縁のあった芦屋在住の画家の協力を得て、芦屋神社芸術祭(現・あしや芸術祭。後述)をスタートさせました。

「最初は夢のまた夢でしたが、提案させていただくと宮司や氏子総代の皆さんが賛成して形にしてくれました。言霊(ことだま・声に出すことでそれを可能にする言葉の力)って本当にあるのですね」

明子さんがお召しのきものは御神木・ヤマモモの草木染め。境内には季節を象徴する桜と紫陽花と紅葉。子どもたちを招いて植樹祭を行い、宮司が講師を務める神道勉強会も催しています。「自然の美しさも年中行事も神道も、次世代に伝えたい大切な文化です」。

芦屋の魅力を伝えたくてまずは絵画展からスタート

「芦屋は現代美術との関係も深く、芦屋ゆかりの作家さんが大勢いらっしゃるのに、あまり知られていないことがもったいなくて。まずは実家のギャラリーでお世話になっていた芦屋在住の洋画家・森 茂子さんの絵画展で芦屋神社芸術祭を始めました」

芦屋の小高い丘の上に立つヨドコウ迎賓館は、あしや芸術祭のメイン会場の一つ。設計はフランク・ロイド・ライト。灘の酒造家の別邸として1924年に建てられ、その後淀川製鋼所の所有となり、1974年、国の重要文化財に指定。一般公開されている。

芦屋の小高い丘の上に立つヨドコウ迎賓館は、あしや芸術祭のメイン会場の一つ。設計はフランク・ロイド・ライト。灘の酒造家の別邸として1924年に建てられ、その後淀川製鋼所の所有となり、1974年、国の重要文化財に指定。一般公開されている。

神社の参集殿を会場に手探りでスタートしたイベントでしたが、一つ形にすると共感の輪が広がり、次の企画に繫がり、「やって無駄なことは何もない」と手ごたえを感じたといいます。

「一見の価値あるこの建物も『あしや芸術祭』の会場です」──山西明子さん

ヨドコウ迎賓館のバルコニーで館長の岩井忠之さんと「あしや芸術祭」の打ち合わせ。芦屋の自然が広がる眺望に、ひらめきも冴えわたる。

ヨドコウ迎賓館のバルコニーで館長の岩井忠之さんと「あしや芸術祭」の打ち合わせ。芦屋の自然が広がる眺望に、ひらめきも冴えわたる。

神社から始まった芸術祭はその後、芦屋市の後援を得て「あしや芸術祭」と名称を変え、会場を市内各所に増やしてアート展示、コンサート、トークショーなど幅広い内容に発展しました。

「芦屋の街から文化を発信し、楽しみながら芦屋の魅力をより深く知っていただきたい」。回を重ね、ご夫妻が抱く目標は実現に向かっています。

9月に開催する『あしや芸術祭2025』。
テーマは「NAKAIMA」

『あしや芸術祭2025』は、世界で活躍する芦屋市出身の画家・アヒ・チョイさんをメインアーティストに迎え、「NAKAIMA」(中今)をテーマに開催されます。

アヒ・チョイさんの作品《中今》。

アヒ・チョイさんの作品《中今》。

「中今」とは「過去と未来を繫ぐ今をどう生きるか」を問う神道の思想。2020年に同名の作品が芦屋神社に奉納されました(上写真)。

現代美術家・堀尾貞治さんのライブパフォーマンス(2017年芦屋神社芸術祭)。

現代美術家・堀尾貞治さんのライブパフォーマンス(2017年芦屋神社芸術祭)。

ヨドコウ迎賓館2階の応接室。

ヨドコウ迎賓館2階の応接室。

芦屋神社、ヨドコウ迎賓館をはじめ市内の美術館、博物館、公園などを会場に作品展、能楽パフォーマンス、食フェス、音楽ライブなど幅広い内容で行われます。
*一般公開2025年9月21日(日)~29日(月)。
詳細はインスタグラム@ASHIYA_ART_FES_2025で確認を。

ご夫妻共通の趣味はワイン。休日には老舗の料理店へ

境内の一角に、ブルゴーニュから奉納されたワイン樽。神社では明治神宮と芦屋神社でしか見られない珍しい光景だ。ワイン業界に携わる人々やワイン愛好家から、新たなパワースポットとしても注目されている。

境内の一角に、ブルゴーニュから奉納されたワイン樽。神社では明治神宮と芦屋神社でしか見られない珍しい光景だ。ワイン業界に携わる人々やワイン愛好家から、新たなパワースポットとしても注目されている。

2025年、芦屋神社にブルゴーニュからワイン樽10樽が奉納されました。神社へのワイン奉納は珍しく、明治神宮と当神社のみ。芦屋出身でブルゴーニュ名誉市民である実業家の尽力で実現したことでした。

シェフ自ら内装にこだわった落ち着いた雰囲気の1階店内。2階には10名まで利用できる完全個室がある。

シェフ自ら内装にこだわった落ち着いた雰囲気の1階店内。2階には10名まで利用できる完全個室がある。

そしてプライベートでも日頃からワインを嗜まれるご夫妻の行きつけは、芦屋の有名フランス料理店「シェ・モリ」。

森澤武治シェフに料理の説明を受ける山西さんご夫妻。こだわりのひと皿とワインの組み合わせ、行き届いたサービスに思わず笑みが。

森澤武治シェフに料理の説明を受ける山西さんご夫妻。こだわりのひと皿とワインの組み合わせ、行き届いたサービスに思わず笑みが。

「シェフの料理に対する情熱とホスピタリティを心から尊敬します。芦屋神社で結婚式を挙げ、こちらで披露宴を催す方も増えています。大切な方々との特別な一日を、地元の“本物の場所”で過ごしたいと思われるのかもしれませんね」。

契約農家の有機野菜や各地の無農薬野菜を使用し、素材を大切にした料理。オマール海老とカブと季節の野菜のサラダ、キャビアを添えて。

契約農家の有機野菜や各地の無農薬野菜を使用し、素材を大切にした料理。オマール海老とカブと季節の野菜のサラダ、キャビアを添えて。


芦屋神社
住所:兵庫県芦屋市東芦屋町20-3
電話:0797(34)1833
https://www.ashiyajinja.or.jp/

ヨドコウ迎賓館
住所:兵庫県芦屋市山手町3-10
電話:0797(38)1720
https://www.yodoko-geihinkan.jp/

シェ・モリ
住所:兵庫県芦屋市楠町7-16
電話:0797(23)6464
https://www.chez-mori.com/

(次回へ続く。この特集の一覧>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2025年09月号

家庭画報 2025年09月号

撮影/鍋島徳恭 ヘア&メイク/陣内勇人〈Lewes〉 取材・文/浅原須美

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