一陽来復、美しき、新年の幕開け「しあわせ満ちる開運の地へ」 第11回(全13回) 2020年はこれまでにない混迷が世界中を覆い尽くし、見通しのきかない一年となりました。新しい一年は、心機一転、気持ちを一新し、積極的に福をお招きして、縁起よく迎えていただきたい。そんな願いを込めて――開運へと導く場所と、福を呼ぶ暮らしを紹介します。前回の記事はこちら>>
わが家に福を呼び込む招き猫
招き猫に関して現存する最古の資料は嘉永5(1852)年のもの。
江戸市井の出来事を記録した書物の中で、三社権現社(現・浅草神社)の鳥居横で今戸焼の猫が売られていた様子が記されており、広重の錦絵にも丸〆印の暖簾を下げた招き猫の屋台が登場。招き猫が大流行したことがうかがえます。
その人気は、時代を経た今も健在。近年「ハッピーキャット」として海外からも注目を集めています。
01.金沢張子
今から140余年前、村芝居の小道具や面作りから始まったという石川県の「中島めんや」が手がける金沢張子。ひょうきんな面持ちが心を和ませる。高さ17.5センチ 各4500円/備後屋 TEL:03(3202)8778
02.松崎人形
江戸木目込人形の伝統工芸士・松崎幸一光さんの招き猫は、石膏の上に胡粉を塗り重ねて作られたもの。前垂れや目、耳などは和紙で装飾されている。高さ8センチ 8300円/松崎人形 TEL:03(3884)3884
写真/鈴木一彦 スタイリング/横瀬多美保
03.今戸土人形
かつて江戸で流行し、戦前まで続いた今戸人形の「丸〆猫(まるしめのねこ)」の再現に力を注いでいる吉田義和さんの作。上写真の嘉永安政型は、近世遺跡からの出土品や古い資料を元に作られたもの。横座りの猫が江戸の趣を今に伝える。高さ10.5センチ 3000円/べにや民芸店 TEL:03(5875)3261
錦絵は、歌川広重『浄瑠理町繁花の圖』の一部分。(国立国会図書館デジタルコレクションより)
04.瀬戸まねき猫
明治時代に欧州から導入された石膏型の技法を応用して作られていた中外陶園の「瀬戸まねき猫」。右からミケ(中)・高さ15.5センチ 5000円。オリーブとボルドー(小)・高さ9センチ 各3500円。サバトラ(大)・高さ24センチ 1万円。染付(中)・高さ14.5センチ 5000円/おもだか屋 TEL:0561(87)1700
05.小幡でこ
“でこ”とは人形のこと。小幡でこは、9代目となる細居源悟さんが滋賀県の小幡で製作する土人形。原色を使う伝統を守った鮮やかな色彩が印象的な「球のり招き猫」。高さ15センチ 7273円/備後屋 TEL:03(3202)8778
06.リヤドロ
マットな質感の上品な色合いや、花唐草模様を立体的に表現した柄に名窯ならではの繊細な手仕事の美が宿る。丸みを帯びたフォルムがキュート。高さ10センチ 4万円 /リヤドロ銀座 TEL:03(3569)3377
07.バカラ
モダンな空間にも調和するシンプルなデザインで、パリをはじめ世界各国で人気がある。高さ10センチ レッド(右)・5万円 レッドオクトゴン(左)・3万8000円 座布団3000円(直営店のみ取り扱い)/バカラショップ 丸の内 TEL:03(5223)8868
写真/鈴木一彦 スタイリング/横瀬多美保
08.六原張子
手漉きの成島和紙を幾重にも“裏張り”して製作される岩手県の六原張子。この道54年の工房の2代目、澤藤範次郎さんが作る「鯛乗り招き猫」。高さ12.5センチ 3300円/さわはん工房 TEL:0197(43)3397
〔特集〕一陽来復、美しき、新年の幕開け しあわせ満ちる開運の地へ(全13回)
お守り、注連縄、招き猫、干支飾りのサイズはすべて編集部調べです。
表示価格は原則として税別です。
撮影/本誌・坂本正行 取材・文/鈴木博美
『家庭画報』2021年1月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。