インテリア
2020/05/09
藤野幸信さん 365日の贈り花ダイアリー 「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが手がけたブーケやアレンジメントで綴る365日の花日記。贈り花のある、素敵な暮らしのヒントをお届けします。記事一覧はこちら
海外で暮らす娘さんからお母さまへ、誕生日の贈り花です。遠く離れていても母を慕い、大切に想う気持ちがひしひしと伝わるのは、娘さんが毎年欠かさず贈り花を続けているからでしょう。以前に差し上げた贈り花とは異なる雰囲気のものを、と考え続けてすでに10年近く経ちます。
今年は私が大好きなシャクヤクを使うことにしました。ボール状の蕾の状態でもかなりのボリューム感ですが、開いてくるとさらに大きくふんわりと華やかになります。
その陰に隠れてしまわないよう、大輪のアスターを加えました。八重咲きのアスターは、とても美しいパープルの品種マッシュラベンダーです。
ボール状の花形で揃えるのも楽しいと考え、ビバーナムの「スノーボール」も加えました。シャクヤクのそばにグリーン素材を添えると、開いてきてグリーンが隠れても問題なく、花が開くスペースをちゃんと確保できます。
ボール状の花だけではブーケが重くなりがちなので、穂状のアスチルベで軽やかさを加えてみました。薄紫に染められたアスチルベとアスターの花色がぴったり!
かわいらしいピンクの小花は、レモンゼラニウムの花。葉は、レモンに似たさわやかなシトラス系の香りがします。
初夏のさわやかな気分をブーケにまとめてお届けします。遠く離れていても、母娘の絆をつなぐ贈り花、来年はどんな花を差し上げようか、もう考え始めています。
【使用花材】
シャクヤク サラベルナール、ルーズベルト
アスター マッシュラベンダー
アスチルベ ライトパープル(染め)
カーネーション ビビ
レモンゼラニウム
ビバーナム スノーボール
フランボワーズ
ユーカリ
贈り花のヒント
SNSが広く普及してから、近隣地域だけでなく、日本全国から、そして海外からもオーターをいただき、広島で店をしていながら、北海道から九州まで、贈り花をお届けできるようになりました。
電話でオーダーをいだたく際には、贈る相手の好みなどを詳しく聞き出すことができますが、メールなどでのオーダーでも、どんな花を贈りたいか、贈る相手はどんな方かなど、箇条書きでもよいので、情報をいだたけるととても嬉しいです。
毎日贈り花を制作していると、どうしても似たような雰囲気になってしまうのですが、贈る相手の情報があれば、その方を想い浮かべながら制作できるので、贈り花にオリジナリティが生まれます。
贈り花は人を想う気持ちを届けるもの。贈る相手の顔や姿を感じながら制作できたら幸せです。
下の写真をスワイプしてご覧ください。
広島駅からほど近い段原の骨董通りにある「fleurs trémolo」(フルール トレモロ)オーナー。広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を卒業後、花の道に進んだ異色の経歴。店名のtrémoloは音楽用語で震音を表し、「感動で声が震える」ことを意味する。感動する花束を多くの人に届けたい、という思いから、市場を頼らず、自ら生産者情報を入手して、お気に入りの花を集める。何種類もの花を使ったブーケは、エレガントでナチュラル。制作したブーケのアップを続けているフェイスブックから人気が広がり、全国各地から贈り花のオーダーが届く。月刊『フローリスト』などの雑誌の連載や表紙などでも人気。 https://www.fleurs-tremolo.com
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