藤野幸信さんが選ぶ「季節の贈り花」 今、この花を贈りたい! 「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが“今贈りたい”おすすめの花をセレクト。その花を使った、新作ブーケ&アレンジメントをさまざまなバリエーションでお届けします。
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10月の花「秋色ガーベラ」

細い花弁が繊細な‘イギー’、深みのある黄色の‘レオナルド’、優しいクリーム色の‘サーファー’。「アドアーフローカ」さんから届いた秋のガーベラで、お誕生日祝いに贈るブーケを制作しました。紅葉ヒペリカム‘マジカルチャーム’を加えると、ぐっと秋らしい雰囲気に。ほかにジニア‘オクラホマサーモン’、バラ‘ジェラート’、メラレウカ‘レボリューションゴールド’などを利用。
藤野幸信/Yukinobu Fujino広島駅からほど近い段原の骨董通りにある「フルール トレモロ」オーナー。広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を終了後、花の道に進んだ異色の経歴。著書『大切な人への贈り花』も好評。 https://www.fleurs-tremolo.com @fleurstremolo

シックで大人っぽいガーベラで、ドラマチックな秋の贈り花を!
ガーベラは1年中さまざまな花色が豊富に出回るので、季節感のアピールはそれほどできない印象があると思います。ダリアやバラのように秋になると花色が濃くなることもありませんから。
ところが、静岡県牧之原市の花農家の「アドアーフローカ」さんからは、秋にはちゃんと秋らしさを感じるシックでしゃれた花色のガーベラが届きます。秋には花屋さんがどんな花色を使いたいか、お客様がどんな花色の贈り花を素敵だと感じるか、「アドアーフローカ」の山本ゆかりさん、勝重さんご夫妻はそれを敏感に感じ取り、ニーズに合わせた花色を栽培して出荷してくれるのです。日頃からよく市場に顔を出し、花屋巡りをしていらっしゃるからこそ、ニーズを的確に把握できるのだと感心しています。
ちなみに前回ガーベラを紹介した時(2022年6月17日)は、ピンクやクリーム色など、爽やかさを感じるパステルカラー中心のラインナップでした。
花弁が重なり合う濃厚なフルダブルのガーベラ‘リゾ’。やや黒みがある朱赤に感じるのは、花弁の重なりから生じる陰のせいかもしれません。ビビッドな朱赤ではなく、この陰をもつ花色が大人っぽい印象を生み出し、秋らしいドラマチックな雰囲気を醸しています。
さて、「アドアーフローカ」という名前は、花関係者以外にはなじみのない言葉だと思います。Adore(アドアー)は親愛なる、大好きな、慕う、敬うなどの意味の英語で、Flowca(フローカ)は、ガーベラの和名の扶郎花(ふろうか)とflowerを掛けた造語なのだそうです。意味を知ると、なるほどなーと納得。お二人が本当にガーベラが好きで、ガーベラの栽培に情熱を注いでいることがよくわかります。季節に合う花色を出荷するため、作付けする品種のセレクトにはかなりの時間を割いているそうで、お二人のセンスのよさにいつも感服しています。
ガーベラはかわいらしい花で、ともすると子どもっぽい印象を受けがちで、以前の私は贈り花にあまり利用していませんでした。それが「アドアーフローカ」さんのガーベラに出会ってからは、そのセンスのよさに惹かれて積極的に利用するようになり、自分が「喰わず嫌い」であったことに気づかされました。フローリストの私は花農家さんに育ててもらっているのだなとも感じ、とても感謝しています。
かたい蕾が徐々にほぐれていくプロセスに目をつけ、蕾のまま出荷するという「蕾ガーベラ」を発案したのも「アドアーフローカ」さんで、それも日々、ガーベラのかわいらしさを目にしている方ならではの着眼点でしょう。次にどんな新しい発想で、ガーベラのさらなる魅力を伝えてくれるか、と楽しみでしようがありません。
このあと、秋色ガーベラや新作ガーベラなど、秋に届く「アドアーフローカ」さんのガーベラを利用した贈り花を紹介しますので、ガーベラの新たな魅力をぜひ感じてみてください。
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友人の誕生日を祝う贈り花に、‘リゾ’を使った秋色アレンジを制作しました。フルダブルでボリュームがある‘リゾ’は、主役として抜群の存在感。少し黒みを感じる花芯が大人っぽさを感じさせます。バラの‘レッドワインアンドローズ’と‘サムライ08’、ケイトウ‘フェアリーローズ’を加え、そして秋を感じさせる原種系の紅葉ヒペリカムをたっぷり加えました。

八重咲きの‘ネイロネイロ’は深みのあるワインレッドで、落ち着いた雰囲気があります。蕾で届くと、徐々に開いていく過程のかわいらしい様子も楽しめます。

‘ネイロネイロ’、‘オールラウンド’、‘バウンス’の3種のガーベラを使った秋色ブーケです。‘オールラウンド’は‘ネイロネイロ’よりややオレンジ色がかった花色で、ツヤ感がすばらしい品種。 ‘バウンス’は落ち着いたオレンジ色がしゃれた印象です。バラの‘マロンフォレスト’と‘チアフル’でグラデーションを描き、ウーリーブッシュ、スモークグラス、ヨウシュヤマゴボウを加えてナチュラル感をプラスしました。

‘オールラウンド’も蕾ガーベラで届きました。花芯が黒い、いわゆる黒目の品種で、これがシックな雰囲気を感じさせます。私は黒目の品種を好んで使うのですが、それを知ってか、「アドアーフローカ」さんは、私の店用に運んでくれるガーベラミックスはほとんど黒目を選んでくれます。花屋の好みまでよく把握しているなーとうれしい限り。

‘ネイロネイロ’、‘オールラウンド’、‘バウンス’のガーベラ3種で秋色ブーケも制作しました。バラ‘コーラルハート’と‘チアフル’、リンドウ‘ラブコール’と合わせ、原種系紅葉ヒペリカムとアスパラガス・スプリンゲリーを加えてボリューム感をアップ。紅葉ヒペリカムが加わると、秋の季節感がさらにアピールされます。

スパイダー咲きのガーベラ‘イギー’。一般的なガーベラと異なり花弁が細く、それがあちこちを向いてとても動きのある表情を見せてくれます。艶やかなピンクはこっくり感があって、秋の贈り花によく似合います。

スパイダー咲きの‘イギー’を利用して、岡山のヘアサロン開店を祝うアレンジを制作しました。バラ‘リメンブランス’、リシアンサスの‘NFマンゴー’と‘アンバーダブルモヒート’、スカビオサ‘レッドアップルスクープ’を合わせ、アンティークアジサイのくすみ色を加えて落ち着き感をプラス。アップルミントをたっぷり加えて仕上げました。

お祖母様の米寿(88歳)のお祝いに、お孫さんたちから贈り花を。かわいらしいお祖母様とお聞きし、ガーベラの‘イギー’をはじめ、秋のピンクを集めて束ねました。ほかにバラの‘オール4ラブ+’と‘ペッパーベリー’、アンスリウム‘ララ’、シンフォリカルポス‘チャーミングファンタジー’、キイチゴ‘いろは’を使用。濃いピンクから淡い緑色までのグラデーションをもつアンスリウムが、色彩と形、両方のアクセントになっています。

花弁が細いスパイダーガーベラの‘クリームスピン’。何とも愛らしいピンクですが、黒目のため子どもっぽさは感じません。‘イギー’よりかなり花サイズが大きいのですが、繊細な花姿から軽やかさが感じられます。惚れ惚れするほどすばらしいガーベラ!

スパイダーガーベラの‘クリームスピン’にアンスリウムの‘テラ’と‘ルミナ’を合わせた秋のウエディングブーケです。個性的な花色と形のアンスリウムを加えることで、印象を強めてみました。シルバーリーフのダスティーミラーをあしらって仕上げました。

サーモン色のガーベラ‘アライアンス’。蕾から開きかけの表情がとても魅力的。黄緑色からのグラデーションも美しく、素敵な品種だと思います。