藤野幸信さんが選ぶ「季節の贈り花」 今、この花を贈りたい! 「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが“今贈りたい”おすすめの花をセレクト。その花を使った、新作ブーケ&アレンジメントをさまざまなバリエーションでお届けします。
記事一覧はこちら>>
9月の花「返り咲きのクレマチス」

南信州の「ファーム池田」さん生産のクレマチス‘プリンセスダイアナ’を利用して、東京の娘さんから軽井沢で暮らすお母様へ、秋の訪れを告げるアレンジを制作しました。‘プリンセスダイアナ’の鮮やかなピンクを引き立てるために、合わせる花は淡い花色を選びました。バラの‘ジリアン’と‘ライラッククラシック’、八重咲きのコスモス‘ダブルクリックスノーパフ’、リシアンサス‘NFサマーホワイト’などです。緑のガーベラ‘ミコロン’や花付きリセステリア‘ライム’、紅葉チョウジソウなど明るいグリーンをたっぷり加え、ナチュラルな仕上がりに。
藤野幸信/Yukinobu Fujino広島駅からほど近い段原の骨董通りにある「フルール トレモロ」オーナー。広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を終了後、花の道に進んだ異色の経歴。著書『大切な人への贈り花』も好評。 https://www.fleurs-tremolo.com @fleurstremolo

返り咲きのクレマチスで初秋の贈り花を楽しんで!
花形も花色もとても豊富なことから、つる性植物の女王とも称されるクレマチス。
庭では初夏に多くの種類が咲き、切り花での出回りも6〜7月はバリエーションが豊かになります。庭でクレマチスを栽培されている方はご存じだと思いますが、クレマチスの多くの種類は四季咲き性で、真夏はいっとき開花を休みますが、初秋に再び花を咲かせます。
切り花でも8月後半から再び出回り量が多くなり、とくにベル形やつぼ形のかわいらしい品種がよく出回ります。この時期は小花が少ないので、花がこぶりなクレマチスは、主役として、また脇役として贈り花でとても重宝します。
南信州の「ファーム池田」さん生産の‘プリンセスダイアナ’は、1本仕立てで茎がまっすぐ伸びているのが特長。クレマチスはフェンスなどに絡ませて育てますが、これはネットを張り、地面に垂直になるよう茎を1本ずつピンチで留めて育てるそう。手間を惜しまず栽培されているのがよくわかります。花も一般的なものより一回り大きく、存在感があります。
切り花用にクレマチスを栽培している花農家さんは意外に少なく、私がよく入手するのも3エリア程度です。まずは主要産地の一つの南信州(長野県下伊那郡)。なかでもクレマチスに情熱を注ぐ「ファーム池田」さんのクレマチスは、独特な仕立てでピンと張ったまっすぐな茎をしているのが珍しく、しかも花が大きいのが特長で、贈り花に利用するとよく目立ってくれます。
また、岡山県真庭市もクレマチスの生産が盛んなエリアで、広島から近いこともあり、新鮮な切り花を入手させてもらっています。
さらに、高知県・芸西村の「田村農園」さんが栽培するクレマチスもクオリティが高く、出荷があると、必ず注文を入れています。
もともとつる性の植物が好きなこともあり、クレマチスの利用頻度が高い私ですが、贈り花によく利用するのは、水あげがよく、花もちがよいことも大きな理由です。クレマチスの花弁はじつは萼(がく)が発達したもの。アジサイやクリスマスローズも同様で、そういった花には花もちが非常によいものが多くあります。
さらに、クレマチスの蕾は、ほとんどがちゃんと開いてくれるのもうれしいところです。スマートな蕾が膨らんで花開くまでの過程も楽しんでいただけます。
初秋とはいえ、暑さがまだまだ続くので、贈り花にはできるだけ花もちのよいものを使いたく、この時期に花農家さんが返り咲きのクレマチスを出荷してくださるのをとてもありがたく感じています。
・
フォトギャラリーはこちら>> 「返り咲きのクレマチス」を使ったブーケ&アレンジメント

「ファーム池田」さんの‘プリンセスダイアナ’は、1本仕立てなのでブーケにも利用しやすい!友人ご夫妻の結婚祝いのテーブルに飾る花です。‘プリンセスダイアナ’の鮮やかなピンクをオキシペタルム‘マーブルホワイト’の白と対比させてみました。ほかにリセステリア‘ライム’、紅葉チョウジソウ、ユーカリなどを利用しています。

クレマチスの銘花と称される‘プリンセスダイアナ’から生まれた‘ハッピーダイアナ’は、花が大きく存在感抜群。これも「ファーム池田」さんで生産されています。岡山県真庭市で生産された赤紫色の大輪品種‘ザ・プレジデント’、高知県・芸西村の「田村農園」さんの‘スウェーディッシュベルズ’と、3種のクレマチスを贅沢に使ったブーケです。ほかにラペイロージア、アジサイの‘ベレナクラシックブルー’と‘アンティークピンク’、キイチゴ‘ベビーハンズ’などを利用。

高知県・芸西村「田村農園」さんの‘天使の首飾り’。ピンクがよくのっていて、つぼ形の花が本当に愛らしい!この品種も庭で大人気ですが、名前も含めて胸がキュンとなる美しさです。

クレマチスが大好きな女性に贈り花をというオーダーをいただき、濃いピンクの‘天使の首飾り’、ごく淡い青紫の‘スウェーディッシュベルズ’、紫の大輪花‘ザ・プレジデント’の3種を合わせてブーケにしました。濃い青紫のリンドウを引き締め役に加え、ホソバチョウジソウやテマリシモツケ‘ルテウス’の明るいグリーンで軽やかに仕上げています。

ピンク系のクレマチスでは、ごく淡いピンクの‘ピグレット’もとてもかわいらしい品種です。淡紫のクレマチスと合わせ、お誕生日の贈り花を制作しました。真っ白なカラー‘サッポロ’とリシアンサス‘NF/N10ラベンダー’でベースの形を作り、その上にクレマチス2種を飛ばすように挿したアレンジです。つる性植物ならではの華奢な茎が、動きのある表情を生み出してくれます。フランボワーズの葉をあしらって爽やかな雰囲気に仕上げました。

‘ミススミレ’は日本で育種された品種で、名前通り心に染み入るようなスミレ色が魅力的。和の趣もあり、和洋どちらのテイストにも利用できます。

画家さんの個展を祝う贈り花です。‘ミススミレ’の花色をいちばん引き立てるのは反対色にあたる黄色と考え、バラの‘カタリナ’(蕾付き)と‘サニートレンドセッター’を合わせました。アクセントにスカビオサ‘ふりふりハルル’やスターチス‘アプリコットビューティー’などのピンク系を加えると、ぐっと華やかな印象に。ほかにアジサイ‘ベレナアンティーク’、紅葉チョウジソウなどを利用しています。
