[現地特別取材]2026ミラノデザインウィーク探訪 海外インテリアの新潮流を訪ねて 世界のインテリアの潮流を決するといわれる「ミラノデザインウィーク」。ミラノサローネ国際家具見本市とミラノ市内のデザインイベント「フォーリサローネ」の2つを総称して呼ばれる世界最高峰のデザインの祭典です。真のデザインとは消費されるものではなく、長く愛され受け継がれるべきもの──そんなメッセージを色濃く感じとれる場となった今回、次代へ手渡す美のかたちを求めて、本物回帰へと向かう新たな潮流を探訪しました。
ブチェラッティ
シルバーウェアに宿るルネサンスの伝統
イタリアの金細工の伝統を今に受け継ぐ老舗ジュエラー、ブチェラッティ。職人の手仕事でしか生み出せない優美なシルバーウェアも多数手がけています。
30年代のデザインをアンドレア・ブチェラッティが再解釈した「キャビア」コレクション。シルバー製の小さなキャビアビーズのモチーフをあしらった大小さまざまなボウルのほか、ムラーノガラス製のグラスやカトラリーなど40のアイテムが揃う。

ルーク・エドワード・ホールが描いたのは、神々や巨大なシルバーで表現された魚たちが洞窟や神殿に集う神話的な水中の世界。壁画には古代ローマの記録から教皇の料理本、ルネサンス絵画に描かれたキャビアの知られざる歴史も織り込まれている。
今年はまるで水上劇場を思わせる会場で、新しくなった「キャビア」コレクションを発表しました。小さなキャビアビーズでできたモチーフは、30年代から続くデザインを再解釈したもの。「美しく整えられたテーブルを囲み、ゲストと共有する文化、おもてなしの芸術を伝えたい」と3代目のマリアクリスティーナ・ブチェラッティさんは語ります。
「デザインを、物語を宿した家宝へ」
──マリアクリスティーナ・ブチェラッティ(創業家3代目)
Maria Cristina Buccellati
マリアクリスティーナ・ブチェラッティ創業者のマリオ・ブチェラッティの孫で、グローバル・コミュニケーション・ディレクターとしてブランドを率いる。 人気の「マクリ」コレクションは彼女の名前に由来する。
「私たちは創業者マリオ・ブチェラッティが復興させたルネサンスの職人技と技法を、同じ美意識とスタイルで継承しています。目指しているのは、卓越性と時代を超えたデザインを生み出すこと、それを物語を宿した大切な家宝へと昇華させることです」。
チンクエヴィエ地区、ローマ時代の遺跡や中世の塔が残る本社前に位置する広場に出現したパビリオンには多くの人が訪れた。
ブチェラッティ
buccellati.com
キーブー
記憶に残るアイコンが、デザインとアートの架け橋
ひと目で記憶に残るウサギの椅子、光を灯すキリンポップな造形とユーモアを通して、暮らしに物語を生み出してきたキーブー。
見本市会場に出現したキーブーのカラフルな展示会場。
創立10周年の今年は、新たに参画したパオラ・ナヴォーネの新作に加え、デザイナー11組がブランドの象徴「ラビットチェア」を自由に再解釈した特別展など、デザインの楽しさと驚きが話題に。その魅力は単なる装飾性やユーモアにとどまりません。
写真手前と右奥の新作は、パオラ・ナヴォーネによるデザイン。木の彫刻のようなアームチェアとテーブルは「カヤ」、熱帯魚を思わせるプーフは「ラプラプ」。ヤシの木のようなフロアランプは、ステファノ氏による「マリブ」。

小さなきのこから着想を得た充電式テーブルランプ「ララバイ」も、ステファノ氏のデザイン。
「キーブーの製品は、機能を超え、記憶と想像力を呼び起こす小さな物語であり、感情に響くアイコンなのです。愛らしい形の奥には、ナラティブデザインという哲学があります」と創設者でデザイナーのステファノ氏。
「愛され続けるものとは、記憶に宿り、想像力と物語に結ばれるもの」
──ステファノ・ジョヴァンノーニ(創設者・デザイナー)
Stefano Giovannoni
ステファノ・ジョヴァンノーニイタリアデザイン界の巨匠。物語性のある造形「ナラティブデザイン」の提唱者。アレッシィやマジスなどで多くの名作を手がけ、2016年に自身のブランド、キーブーを創設。写真で手にするのは、同年に発表した「ラビットチェア」。
特別展の作品がオークションに出品された事実も、その力を物語ります。「椅子として誕生したアイコンが、10年後の今、アートピースに。私が常に目指してきたのは、長く生き続けるデザイン。そこには記憶に刻まれ、時を超えていくデザインの力があるのです」。
市内で開催された『RABBIT UNBOUND EXHIBITION』展。ベストセラーの「ラビットチェア」を、マルセル・ワンダースをはじめ著名デザイナー11組が再解釈。すべて⼀点物のハンドクラフトで、パリのオークションハウス、「Piasa」に出品された。
トーヨーキッチンスタイル
https://toyokitchen.co.jp(次回に続く。)
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