藤野幸信さんが選ぶ「季節の贈り花」 今、この花を贈りたい! 「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが“今贈りたい”おすすめの花をセレクト。その花を使った、新作ブーケ&アレンジメントをさまざまなバリエーションでお届けします。
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5月の花「初夏の花木」

東京で暮らすお友達に、広島からバースデーの贈り花です。シャクヤク‘麒麟丸’、バラ‘デザート’にたっぷりのヒメリョウブを添えて束ねました。あっちこっちに伸びるヒメリョウブの花穂が涼やかで、動きのあるブーケになりました。たっぷり加えたヒメリョウブの葉もみずみずしい!アクセントにクレマチス‘ダンシングクイーン’も加えています。
藤野幸信/Yukinobu Fujino広島駅からほど近い段原の骨董通りにある「フルール トレモロ」オーナー。広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を終了後、花の道に進んだ異色の経歴。著書『大切な人への贈り花』も好評。 https://www.fleurs-tremolo.com @fleurstremolo
庭でも切り花でも人気!この時期の散歩で出会える花木です
最近では夏のように気温が上がる日もあるとはいえ、初夏の気候はやはり爽やかで心地よいですね。今回は、この時期に切り花で出回る花木を紹介いたします。初夏の花木のなかでも人気が高いライラックは、以前に(
2023年5月12日配信)ご紹介しましたが、魅力的な花木はまだまだあります。
まずは、ぴょんぴょんと飛ぶような花穂がかわいらしいヒメリョウブからご紹介を。コバノズイナの名前でも知られ、庭で花穂が見られるのは5〜6月。同時期に切り花でも出回ります。かわいらしいだけでなく、この花穂が加わることで涼しげなラインが描け、ブーケやアレンジに動きをつけることができます。同じような使い方をするアスチルベが終わる時期なので、ヒメリョウブの存在はありがたく、贈り花によく利用しています。若草色の葉もみずみずしく、葉をたっぷり加えると贈り花が明るく、より爽やかな雰囲気に仕上がります。
ヒメリョウブは、ユキノシタ科の落葉低木。花穂は5〜10cmほど。花色は白のみで甘い香りがあります。細長い楕円形の葉も一緒に使います。
次にご紹介するのは、カリフォルニアライラックの名前でも知られるセアノサスです。以前は鮮やかな青花の‘ヘンリーデスフォッセ’があり、とても気に入っていたのですが、日本の高温多湿な気候では栽培が難しく、切り花として流通しなくなってしまいました。ただ、ピンク花の‘マリーサイモン’は、量は少ないものの流通があり、市場で見かけると入手しています。花もかわいらしいのですが、むしろ開花する前の丸い粒々の蕾のほうが魅力的。ライスフラワーの粒々より繊細で、野趣が感じられます。この花を加えるとブーケでもアレンジでもより立体的に仕上げることができます。

セアノサス マリーサイモン。イングリッシュガーデンでは定番の花木、セアノサスのピンク品種。イギリスでは容易に栽培ができるそうですが、日本の気候ではなかなか難しいそうで、切り花でも貴重な存在です。 小さなピンクの花が本当に愛らしく、ブーケでもアレンジでもこの時期には大活躍してくれます。
ご紹介したい初夏の花木、まだあります。4月中旬から咲き出すコデマリは皆様よくご存じだと思います。そのコデマリに‘ピンクアイス’という品種があり、これがとても素敵なんです。さらに、6〜7月に咲き出すツツジの仲間、サラサドウダンも、少量ですが切り花で出回ります。初夏の花木は、いずれも初めにしっかり水あげできれば、長く楽しめます。切り花での出回り期間は短いものの、それだけに「旬」がまっすぐに伝わる贈り花になると思います。

白花の房が連なるコデマリに、葉に白とピンクの班が入る‘ピンクアイス’という品種があり、切り花でも出回るようになりました。ピンクの蕾から白い花が咲きます。新芽のピンクもキュート!
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ごく淡いピンク&パープルと、ヒメリョウブの白を組み合わせ、涼感たっぷりのブーケを制作しました。シャクヤク‘滝の粧’、カーネーション‘ムーンダスト シャンパンラベンダー’、リシアンサス‘ボヤージュ ラベンダー’でボリューム感を出し、ヒメリョウブの花穂が飛び出すように挿しています。ほかにクレマチス‘ダンシングクイーン’、フランボワーズを使用。
日本舞踊の発表会にお祝いの花をお届けしました。シャクヤクやバラ、ファレノプシスなど鮮やかな赤花と、白い花穂のヒメリョウブを対比させると、インパクトのあるアレンジに。シャクヤクは‘ゴールデンラズベリーローズ’と‘麒麟丸’、バラは‘ブリランテ’、ファレノプシスは‘コクヨウ’を使っています。ボリューム感のある花を多く使うと重いイメージになりがちですが、ヒメリョウブが入ることで軽やかさが生まれ、ほどよいバランス感に。
ヒメリョウブは白といっても少しクリームがかった花色なのですが、マムの白花と合わせると、そのニュアンスの違いがよくわかります。明るさのある純白の花の中で、周囲に散らしたヒメリョウブは引き締め役にもなっています。マムは‘セイ マノアホワイト’を使用。ほかに、シャクヤク‘ホワイトピーチ’、リシアンサス‘アンバーダブルモヒート’、パフィオペディルム、ブルーレースフラワー‘ピュアレディ’を選びました。