連載「12か月のフラワーリース」 世田谷区にアトリエを構える「宙花(そらはな)」のフローリスト戸部秀介さんが作る、季節のフラワーリースを毎月紹介します。空間を華やかに彩ってくれるフラワーリースと共に、花のある暮らしを始めましょう。
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サクラとグリーンで描く季節のひととき。春の風をまとったフラワーリース

4月の生花のリース。
戸部秀介/Shusuke Tobe35歳の時にフローリストへと転身。大手生花店、フランス人フラワーデザイナーの店で経験を積み、2016年に東京都世田谷区の中町に「宙花〜sora hana~」をオープン。リースを得意とし、ワークショップにも力を注ぐ。インスタグラム@sorahana.jp
2種のサクラとユキヤナギが生み出す、立体感と軽やかな動き
日本の春を象徴する花、サクラ。今月のリースも、そのやわらかな花姿を主役に据えながら、単なる「満開の一瞬」にとどまらない、広がりのある春を表現しています。
ヒガンザクラとケイオウザクラといった2種のサクラを中心に、サクラコマチやスイートピー、さらにユキヤナギやキバデマリといった軽やかなグリーンを合わせることで、花だけでは出せない空気感をまとわせました。また、やわらかなピンクと白みを帯びた花色を重ねることで、単調にならない奥行きと、立体感のある表情を生み出しています。
「花だけのリースは、“咲いている瞬間”を眺めているような感覚になる気がしたので、今回は、サクラを下から眺めたり、桜並木の横を歩いているような、周辺の景色や空気を感じられるようにデザインしました」
リースで印象的なのは、全体に生まれている“動き”。ユキヤナギのしなやかな枝ぶりや、スイートピーのやわらかなライン、明るいグリーンのキバデマリ……。それぞれの花材がわずかに外へと伸びることで、円の中にとどまらない、風が吹いているかのような軽やかさを生み出しています。
「ユキヤナギは、普段あまり使わないので、今回あえて使ってみたかったんです。この流れる感じが、春の風みたいで。少しだけ円形のリースの枠を飛び出させ、躍動感を加えました」
花で埋め尽くさずに、あえて抜け感をだすことで、見る人の中に情景が立ち上がる――そんな設計がこのリースの魅力。
「サクラが咲いている期間は本当に一瞬です。気づけばすぐに散ってしまう。その儚さも魅力ではあると思うのですが、その“束の間”で終わらない春を表現したくて、グリーンを入れました。グリーンが入ると、その先の新緑のシーズンが浮かんできて、“続いていく春”を感じられるのではないでしょうか」
淡いピンクの中に差し込まれた明るいイエローグリーンは、やがて訪れる初夏の気配をもほんのりと感じさせます。一瞬の美しさを閉じ込めるのではなく、移ろいそのものを楽しむ。そんな春の時間を感じさせてくれるリースです。
使用花材
ヒガンザクラ。白みを帯びたやわらかな花色が特長。繊細なニュアンスがリースに軽やかさを添え、全体の印象をやさしく整えます。

ケイオウザクラ。発色のよい淡いピンクが美しい品種。華やかさをもたらしながら、春らしい明るい彩りをリース全体に広げます。

シレネ‘サクラコマチ’。可憐な小花が愛らしい品種。サクラの淡いピンクの色味に自然に溶け込み、統一感を生み出します。

ユキヤナギ‘小雪’。流れるように伸びる細い枝と白い小花が特長。繊細なフォルムとゆるやかな曲線の枝が、軽やかな動きを演出してくれます。

キバデマリ。明るいイエローグリーンが印象的な春の花木。フレッシュな色合いが、新緑の季節感をプラス。

宿根スイートピー ピンク。しなやかに伸びる茎と軽やかな花姿が魅力。やわらかなラインがリースに動きを与え、空間にやさしいリズムを生み出します。
Variations

ヒガンザクラとケイオウザクラの2種のサクラだけを贅沢に使った、「満開の桜」という春の景色を表現したリース。淡いピンクのケイオウザクラを基調に、バランスを見ながら白にほど近いヒガンザクラを散らし、色合いの異なる花を組み合わせ、咲き乱れる様を演出しています。
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