インテリア

ラナンキュラスから広がる春景色。軽やかな躍動をまとうフラワーリース

2026.03.13

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連載「12か月のフラワーリース」 世田谷区にアトリエを構える「宙花(そらはな)」のフローリスト戸部秀介さんが作る、季節のフラワーリースを毎月紹介します。空間を華やかに彩ってくれるフラワーリースと共に、花のある暮らしを始めましょう。連載一覧はこちら>>

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ペールトーンの花々とグリーンが響き合う、3月のリース

3月の生花のリース。

3月の生花のリース。

戸部秀介/Shusuke Tobe

35歳の時にフローリストへと転身。大手生花店、フランス人フラワーデザイナーの店で経験を積み、2016年に東京都世田谷区の中町に「宙花〜sora hana~」をオープン。リースを得意とし、ワークショップにも力を注ぐ。インスタグラム@sorahana.jp

春の到来を、淡い色合いで表現

春の到来を告げるような明るいペールトーンでまとめた、やわらかな印象の今月のリース。ラナンキュラスの淡い色合いに惹かれ、草木が芽吹く季節の気配が漂う躍動感のある仕上がりを目指したという戸部さん。

「普段、リースもアレンジも花材の種類はなるべく少なめにしています。どちらかというと、僕はシンプルなほうが好きなんです。でも、今回は珍しくさまざまな種類の花材を用いました。春って、いろいろなコトやモノ、ヒトが動きますよね。卒業式、入学式、入社式、転勤、新生活、出会いと別れ……多くの人に春ならではの“芽吹く”ようなできごとがある。このリースでは、それらを表現したいと思いました」


デザインのインスピレーションはラナンキュラス。最初はメインで扱う構想をしていたものの、卸市場で偶然小ぶりなラナンキュラスを見つけ、デザインコンセプトを急遽見直すことに。

「市場で花材を吟味していたら、イメージよりも小さいサイズのラナンキュラスが目に飛び込んできまして、これで作ってもエレガントで可愛いリースになるのではないか、と。そこで、ラナンキュラスを主役に置くのではなく、あえて主役を作らずに、その他の花やグリーン、すべての花材に存在感を持たせようと方向転換しました」

花材の配置はあえてグルーピング*せず、バランスを見ながらランダムに。

「フラワーデザインの世界では、よく『三角形を作るように』と教わるのですが、僕はなぜか四角や台形が好きなんです。このリースでも、ランダムな感じは出しつつ、台形だけは意識しました」

*グルーピング……フラワーアレンジメントにおいて、同じ色や種類、質感の花材をまとめて配置すること。

カラーは、花とグリーンの割合が半々になるよう調整を。

「リース全体が花で埋め尽くされていると、美しくはあるけれど、躍動感は出ませんし、手を加えている印象が強くなってしまう。川辺や山では、緑の中に花が咲いていますよね? このリースでも、たとえば散歩をしていたら、偶然道端で草花を見つけたり、あたたかい春の風を感じたり……というように自然を感じられるようにしたくて、今回はグリーンを単なる調整役ではなく、あえて花と対等な扱いにしました」

グリーンはユーカリのようなくすんだ色ではなく、ナノハナやエンドウマメ、ピットスポラムなど、明るめの色を選択。「フレッシュなグリーンが入るだけで、ぐっと春らしい印象になります」と戸部さん。

さらに、ペールトーン一色にせず、トリフォリウム‘ピンクパンサー’を入れて華やかさをプラス。

「パステルだけだと全体の印象がぼやけてしまいます。やわらかい印象に仕上げるならそれでもいいのですが、このリースではアクティブな雰囲気も出したくて、鮮やかな色を入れることにしました。ただ、真紅のバラのような原色に近い色だと強すぎて調和が崩れてしまうため、原色よりも柔らかい色味の‘ピンクパンサー’を選びました」

また、躍動感を出すために、エンドウマメのツルやユキヤナギが少しだけ飛び出すようにあしらうといった工夫も。

「全体にさりげなく動きを出すことで、春の風が吹いている雰囲気を出したくて。穏やかな風が吹くと、あぁ春が来たな、っていう感じがするんですよね」

 最後に加えたのは、戸部さんが好きな花材のひとつだという「シレネ‘サクラコマチ’」。リース全体を見ながら、グリーンが少し多すぎたり、色味が偏っていたりする部分に加え、バランスを整えていきました。

 芽吹きの気配と、やわらかな春の風。新しい季節の入り口に立つような、高揚感をまとった今月のリース。

「家を出て、“あれ、今日はなんだか春っぽいな”と感じる瞬間が、誰にでもあると思います。このリースから、そういう春の訪れを感じてもらえたら嬉しいですね」

使用花材

ラナンキュラス‘アベロン’。幾重にも重なる花弁が優雅な印象の品種。やわらかいペールトーンで春らしい華やぎを添えてくれます。ラナンキュラス‘アベロン’。幾重にも重なる花弁が優雅な印象の品種。やわらかいペールトーンで春らしい華やぎを添えてくれます。

エンドウマメ。明るい葉色と伸びやかな蔦が特長。春風を思わせる軽やかな動きを添えます。エンドウマメ。明るい葉色と伸びやかなツルが特長。春風を思わせる軽やかな動きを添えます。

ピットスポラム‘アイリーンパターソン’。明るい斑入りの葉が特長。爽やかなグリーンが全体に軽やかさを加えてくれます。ピットスポラム‘アイリーンパターソン’。明るい斑入りの葉が特長。爽やかなグリーンが全体に軽やかさを加えてくれます。
トリフォリウム‘ピンクパンサー’(右)。やわらかな色調と丸みのある穂が、春らしい空気感を演出。ふんわりとした質感が躍動感をもたらします。トリフォリウム‘ピンクパンサー’。やわらかな色調と丸みのある穂が、春らしい空気感を演出。ふんわりとした質感が躍動感をもたらします。
ユキヤナギ。しなやかな枝と小花が特長。流れるようなラインが、リースに動きを与えます。

ユキヤナギ。しなやかな枝と小花が特長。流れるようなラインが、リースに動きを与えます。シレネ‘サクラコマチ’。可憐な小花が特長。全体の色味やフォルムを整えるアクセントに。

シレネ‘サクラコマチ’。可憐な小花が特長。全体の色味やフォルムを整えるアクセントに。


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ヨーロッパで幸運のお守りとして親しまれている「リース」モチーフを、お部屋に気軽に飾ることができる一冊です。

撮影/武蔵俊介 取材・文/鈴木啓子

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