〔特集〕名家の雛祭りと今様のお雛飾り 桃の節句を祝う 〈第1章〉 公家の年中行事を守り、受け継いでいる京都・冷泉家。桃の花がほころぶ旧暦の3月3日。9組の内裏雛や数々の御所人形が雛壇を賑やかに彩り、華やかでゆかしい雛祭りを今に伝えます。
・
特集「名家の雛祭りと今様のお雛飾り 桃の節句を祝う」の記事一覧はこちら>>>
日本文化の雅を現代(いま)に伝える
冷泉家は、平安時代末期から鎌倉時代初期の歌聖・藤原俊成、定家父子を祖とし、800年の長きにわたり「和歌の家」として、歌道を現代に伝えています。京都御所の北側に位置する現在の住まいは、江戸時代後期に建てられ、完全な姿で現存する唯一の公家屋敷として重要文化財の指定を受けています。
大火で一度焼失した後、寛政2(1790)年に再建。平成には7年をかけて大修理が行われ、凜として美しい姿が甦った。5つの蔵が脈々と続く歴史と伝統を守る。

勅使門とも呼ばれる「塀重門」はハレの日に使われた。
また、代々伝わる蔵「御文庫(おぶんこ)」には、貴重な古文書や典籍類が収蔵されています。この屋敷を舞台に、歌会や、季節ごとの年中行事が催されるのです。移り変わる時代にあって、冷泉家は有形・無形にかかわらず、日本の伝統文化を営々と守り抜いてきました。
冷泉家伝来の宝である古文書や典籍を納める御文庫。中には国宝や重要文化財も含まれる。「神宿る場所」とされ、今も当主と嗣子のみが入ることを許される。

風格のある表門に掛かるのは、当主紋である雪笹を染め抜いた帳幕。
「文化を継承していくうえで、まずこの場所がしっかり残っていること、つまりは守ることが重要なのです」と語るのは、為人氏の後嗣に決まり、冷泉家の次代を担うこととなった冷泉 渚さんです。
古の雛祭りに思いを巡らせて、夫人の部屋のしつらいを再現(家庭画報本誌2002年3月号掲載)。お人形や雛道具でままごとをしたり、貝合わせなどで遊ぶ楽しい時間が甦る。
「書物で得る知識と、実際の生活で身につくものは全然違います。この場所で、儀式なり行事なりを昔ながらのやり方で進めていく。生活と一体になっているからこそ、いろいろな伝統を継いでいくことができるのではと思っています」。
冷泉 渚(れいぜい・なぎさ)1981年京都生まれ。第24代当主・為任氏の孫。京都嵯峨芸術大学(現・嵯峨美術大学)にて日本画を学び、京都市立芸術大学大学院博士(後期)課程修了。博士(美術)取得。その後、宮内庁正倉院事務所の技官、平等院で学芸員を歴任。2022年からは、公益財団法人「冷泉家時雨亭文庫」の学芸課長を務める。2023年3月、冷泉家の後継者に決まる。
冷泉貴実子(れいぜい・きみこ)1947年京都生まれ。第24代当主・為任氏の長女で、第25代当主・為人氏夫人。京都女子大学大学院修士課程修了。公益財団法人冷泉家時雨亭文庫常務理事、事務局長。
維持会員を募集しています公益財団法人冷泉家時雨亭文庫では、文庫の目的を理解し、賛同する個人または団体を会員としています。
<お問い合わせ>
住所:京都市上京区今出川通烏丸東入玄武町599
電話:075(241)4322
(次回へ続く。
この特集の一覧>>)