藤野幸信さんが選ぶ「季節の贈り花」 今、この花を贈りたい! 「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが“今贈りたい”おすすめの花をセレクト。その花を使った、新作ブーケ&アレンジメントをさまざまなバリエーションでお届けします。
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2月の花「チョコレートコスモス」

バラやラナンキュラスなどピンクの花を束ね、少し飛び出すようにチョコレートコスモスをあしらったウエディングブーケ。チョコレートコスモスのシックで濃い花色が加わると、かわいらしいピンクが少し大人っぽい表情に。バラは‘ウエストミンスターアビー’、‘アヴニール+’、‘デザート’、‘リリカ’と、ニュアンスの異なるピンク4種を集めました。ほかにラナンキュラスの‘エルフード’と‘ポワント’、アスチルベ‘ライトピンク’、ダスティーミラーなどを使用。
藤野幸信/Yukinobu Fujino広島駅からほど近い段原の骨董通りにある「フルール トレモロ」オーナー。広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を終了後、花の道に進んだ異色の経歴。著書『大切な人への贈り花』も好評。 https://www.fleurs-tremolo.com @fleurstremolo
2月14日はバレンタインデー。今年はどんなチョコレートを贈ろうかと思案している方、チョコレート色で、チョコレートの香りがする花をプレゼントしてみてはいかがでしょう。チョコレートコスモス、この時期も出回っていますよ。
チョコレートを連想させる黒みを帯びた赤茶色、この花色をもつのは、切り花ではチョコレートコスモスくらいではないかと思います。しかも本当にチョコレートの香りがする!
花屋になりたてのころ、この花に初めて出会ったときは「こんな花があるんだ〜!」と大きな衝撃を受けました。一年中出回り、3〜4センチメートルの小花というのも使いやすく、今では大人っぽさを出すためのアクセントとして贈り花で大活躍の存在になっています。ちなみに季節によって香りの強さが微妙に異なるのですが、個人的には秋がいちばん強く感じられるように思います。
さて、バレンタインは海外では女性から男性だけでなく、大切な人に花を贈る日とされ、最近では日本でも「フラワーバレンタイン」として認識されるようになっています。仲良しの友人や、お母様へのプレゼントとしてご依頼をよく受けますが、最近では奥様や職場の女性スタッフなど、男性から女性への贈り花も増え、「すてきだな〜」と微笑ましく感じています。
水あげがよく、花のもちがよいのもチョコレートコスモスの魅力。花にはバニリンという香り成分が含まれていますが、これはチョコレートに含まれている成分と同じ。気のせいではなく、実際にチョコレートの香りがするんですよ。
チョコレートコスモスには、シックなチョコレート色以外にも鮮やかな赤の品種がいくつかあります。原種のチョコレートコスモスとキバナコスモスを掛け合わせ、世界で初めて赤花品種を生み出したのが三重県伊賀市の育種家の奥隆善さんです。初の赤花品種は‘ノエルルージュ’ですが、切り花ではその後に生まれた、より赤が鮮やかな‘ノエルレッド’がよく出回ります。インパクトがあり、秋に咲くピンクや白のコスモスとはまた異なる魅力があり、よく利用しています。
つい先日、福岡県糸島市の「ニューセンスフラワー吉村」の吉村学さんから、少し茶色を帯びたピンクのチョコレートコスモスを育種されたというニュースが届き、その何ともしゃれた花色に胸がときめきました。現在、生産中とのことなので、流通するのも近いと思います。大好きなチョコレートコスモスの世界が、日本の育種家さんたちによって広がっていくのがとてもうれしく、新品種の登場を心待ちにしています。
チョコレートコスモスを使ったブーケ&アレンジメント
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バレンタインデーがお誕生日の恩師へ、教え子さんからお祝いの贈り花です。アネモネ‘ミストラル ホワイトセンターブラック’、ニゲラ‘アフリカンブライド’、スイートピー‘めぐみ’とごく淡い花色を集め、チョコレートコスモスの濃い花色でぐっと引き締めてみました。アレンジ全体にギンヨウアカシアをあしらって、ナチュラルな雰囲気に仕上げています。

フラワーバレンタインで、仲良しのお友達に贈るアレンジ。‘ミニョン’、‘モロッコ シャウエン’、と濃淡ピンクのラナンキュラスに、チョコレートコスモスを合わせましたが、チョコレートコスモスの深い花色は、個性の強いラナンキュラスにも負けないほどパワーがあると感じました。ほかに緑色のラナンキュラス‘フロンザック’、グレビレア、タラスピオファリム、アカシア‘プルプレア’などを合わせています。

チョコレートコスモスは、普通のコスモスに比べると長さが短めですが、茎がしっかりしているので、アレンジで挿しやすいのも特長。写真のような自然な曲がりが魅力的な花は、ブーケに生かします。

チューリップやふりふりのスカビオサ、ミモザなど、春を感じさせる花を束ねた贈り花です。ピンクと黄色の明るい花色合わせに、チョコレートコスモスのダークな花色でアクセントを加えました。チューリップは‘イエローピクチャー’。ほかにアスチルベ‘ライトピンク’、シレネ‘小布施の郷’などを使用。

大阪から神戸へ、近くに住んでいてもなかなか会えないお友達にフラワーバレンタインの贈り花です。バラの‘アヴニール+’と‘ショコラロマンティカ’、ダリア‘フェスタローズ’とニュアンスの異なるピンクに、チョコレートコスモスを散らしたアレンジです。タラスピオファリムやキイチゴ‘ベビーハンズ’、コニファー‘ブルーアイス’など、あしらいのリーフも色合いや葉形を変え、アレンジの表情をより豊かにしてみました。

ピンク系の贈り花の引き締め役によくチョコレートコスモスを利用しますが、これは白とブルーの花色合わせに使ったもの。深く落ち着いた花色がパッと目立ち、ブーケが個性的な印象になりました。デルフィニウム‘トリトン ラベンダー’、ラナンキュラスの‘ポンポンイグルー’、‘ラックス ニノス’、‘ラックス エリス’、スカビオサの‘プチポンポン ホワイト’と‘ナナラベンダー’、ダリア‘NAMAHAGE オーブ’、バラ‘グリーンアイス’、ニゲラ‘ミスジーキル’、アストランティア・マヨール、ユーカリなど、種類豊富に集めました。

お母様へ、感謝の気持ちを込めたフラワーバレンタインの贈り花です。バラ、リシアンサス、カーネーション、マイクロポンポンダリアと、ボリューム感ある花をギュッと詰めてアレンジに。チョコレートコスモスを間に加えると、凹凸感からメリハリが生まれます。バラは‘リメンブランス’、リシアンサスは‘NF秋ピンク’、カーネーションは‘シャララ ライト’をセレクト。ほかにスカビオサ‘ベビーピンク’、タラスピオファリム、ダスティーミラー、ユーカリなどを使用。

こちらは贈り花ではなく、ウエディングの会場を飾った花です。コーヒーを愛するお二人ということで、コーヒー色も連想させる褐色のチョコレートコスモスを使おうと考えました。さらにリーフもチョコレートゼラニウムを選びました。ニゲラ‘ミスジーキル’、スイートピー‘ロイヤルホワイト’、アストランティアなど白い小花の中にピンクベージュのカーネーション‘クレオラ’を加え、チョコレートコスモスを散らしました。コーヒー好きな二人というエピソードが招待されたお客様に伝わりますように……。