藤野幸信さんが選ぶ「季節の贈り花」 今、この花を贈りたい！ 「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが“今贈りたい”おすすめの花をセレクト。その花を使った、新作ブーケ&アレンジメントをさまざまなバリエーションでお届けします。
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10月の花「オキシペタラム」
高知県の中でもオキシペタラムの生産が盛んな芸西村から届いたオキシペタラム‘エンジェル’を使って秋のブルーブーケに。千葉の美容室にお友達から周年を祝う贈り花です。ほかにリンドウの‘初冠雪ホワイト’と‘エトピリカ’、染めのケイトウ‘天’。アップルミント、タラスピオファリム、キイチゴ‘ベビーハンズ’などを使用。
藤野幸信／Yukinobu Fujino広島駅からほど近い段原の骨董通りにある「フルール トレモロ」オーナー。広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を終了後、花の道に進んだ異色の経歴。著書『大切な人への贈り花』も好評。 https://www.fleurs-tremolo.com @fleurstremolo
これほどパッと目に飛び込む水色はなかなかありません！
ギリシア語でoxypetalumと書き、オキシペタラム、またはオキシペタルム。この花名にピンと来なくても、「ブルースターですよ」といえば、皆様すぐにおわかりになると思います。オキシペタラムとは鋭い花びらの意味で、3cmほどの小さな花は花びらの先端がすっと尖っていて……というのは少し前までの話で、現在流通している主品種の‘ピュアブルー’は、花が大きめで花びらも以前より丸みを帯びています。
さて、オキシペタラムの魅力といえば、何といっても美しい水色です。美しいブルーが種類豊富なデルフィニウムは、どちらかというと青紫に近く、花びらが薄く透明感があります。オキシペタラムは花びらがベルベットのような質感のため、花色が透けず、水色がよりくっきり鮮明に出るのが特長。だから、贈り花に少し加えるだけでパッと目立ちます。とくにピンクやオレンジ色などと合わせると、色の対比からより印象が強くなり、メリハリのある仕上がりになります。
主品種の‘ピュアブルー’。インパクトのある水色だけでなく、5枚の花びらが開いた花形もとてもかわいらしい！フランネルのような質感の葉もよい雰囲気で、花の近くに葉がついているので、セットで使うようにしています。
オキシペタラムは高知県での生産が盛んで、青花では‘ピュアブルー’、‘エンジェル’、‘おるきブルー’の3品種が一年を通して出荷されます。ただ、暑さが苦手な性質のため、夏場はどうしても花色が薄くなりがちなので、気温が下がって安定するこの時期から使う頻度が高くなります。リンドウなどと合わせた秋のブルーの贈り花は私自身もとても好きです。市場では現在でもブルースターと呼ばれることも多いのですが、じつはとてもかわいらしいピンク花や清潔感のある白花もあります。とはいえ、ブルーに比べると流通量は少ないので、市場に出ると積極的に入手して贈り花に利用しています。
オキシペタラムは、茎をカットすると白い乳液が出ることで知られていますが、水に浸し、白く濁ったら水を取り替える作業を繰り返し、完全に乳液が出なくなってから贈り花に使うようにしています。乳液が出ていると茎が詰まって水の吸い上げが悪くなるので、これは制作前のマストな作業です。‘ピュアブルー’や‘エンジェル’などの新しい品種は、乳液を止めてしまえば以前より花もちがよく、贈り花により利用しやすくなっています。
オキシペタラムを使ったブーケ&アレンジメント
ブルーの花が好きな妹さんへ、お姉さんから誕生日を祝う贈り花です。オキシペタラム‘ピュアブルー’とリンドウ‘深山淡麗’、色みが少し違うブルーを合わせ、落ち着いた花色のバラ‘アヴニール＋’と‘デザート’でボリュームアップしたアレンジです。フランボワーズやユーカリを加えてナチュラル感のある仕上がりに。
花屋さんのお母様へ誕生日の贈り花という依頼を受け、シックな花色にブルーを加えたアレンジを制作しました。ブルーの花は、オキシペタラム‘ピュアブルー’、リンドウの‘モダンブルー’と‘深山ラブ’。バラは‘デザート’と‘ライラッククラシック’。ルビーグラスや染めのアップライトアイビー、ヒペリカム‘マジカルレッド’、紅葉ヒペリカムなどを加えて秋の雰囲気たっぷりに仕上げました。
