連載「12か月のフラワーリース」 世田谷区にアトリエを構える「宙花(そらはな)」のフローリスト戸部秀介さんが作る、季節のフラワーリースを毎月紹介します。空間を華やかに彩ってくれるフラワーリースと共に、花のある暮らしを始めましょう。
連載一覧はこちら>> 9月の生花を楽しむリース「秋の花」

「アジサイ」が主役の秋色のリース。
戸部秀介/Shusuke Tobe35歳の時にフローリストへと転身。大手生花店、フランス人フラワーデザイナーの店で経験を積み、2016年に東京都世田谷区の中町に「宙花〜sora hana~」をオープン。リースを得意とし、ワークショップにも力を注ぐ。インスタグラム@sorahana.jp
秋の訪れを感じるアンティークカラーが主役
9月といえども暑い日が続く昨今。暦のうえでは秋にもかかわらず、季節の移り変わりを感じづらいという方もいるのではないでしょうか。 そんな中、今月ご紹介するのは「アジサイ」が主役の秋色のリースです。
「秋が始まるよ! という思いを込めて、深い色をメインにこのリースを製作しました」と戸部さん。「きっと夏の終わりを寂しく感じられる人もいらっしゃると思います。僕自身、楽しかった夏が過ぎるときは一抹の寂しさを覚えます。だからこそ、今度は秋を楽しむ方向に気持ちを切り替えたい。そこで、8月のリース『夏の花』とはガラリと雰囲気を変えました」。
花材は色彩から選び、中でも「アジサイ」を軸に決めていかれたそうです。 「使用したアジサイは“マジカルダークルビークラシック”と呼ばれ、マジカルシリーズの1種です。マジカルシリーズはオランダの会社が開発した品種で、開花期間中に花色が3~4回変化します。段階によって、フレッシュ、オータム、クラシックなど呼び方が変わり、今回は秋色のダークルビークラシックをセレクトしました」。
また、秋のこっくりとした深みを出すために、アジサイに溶け込むよう同系色のカーネーションをプラス。ただし、リース全体がぎゅっと詰まった印象にならないよう、アジサイやカーネーションにもバイカラーに白が入っていることもポイント。 「同系色だけでは、ただのっぺりとした重たい印象になりがちですが、所々に少し白が入るだけでぐっと立体感が出ます。さらに、ふんわりとしたボリューム感のあるリシアンサスとバラを入れると、“秋晴れ”のような軽やかさ、華やかさ、爽やかさが生まれます」。
さらに、ポリシャスをさりげなくあしらうことで、ダークルビーやレッドなどの深みのある色がより引き立つのだそう。 「日頃、ブーケなどをアレンジするときは、たいていグリーンを入れるようにしています。なぜなら、グリーンがあると色全体が締まって、バランスが良くなるんです。もし、アレンジメントを作っていて今ひとつまとまらないと思われた際には、ぜひ試してみてください」。
使用花材
アジサイ‘マジカルダークルビークラシック’。“マジカルシリーズ”は、開花後、徐々に色が変化していき、長期間楽しむことができる品種。

リシアンサス‘NFアンティークピンク’。アンティーク調のピンクが秋らしさを演出。

バラ‘ブルーミルフィーユ’。“ミルフィーユ”という名が表すように、幾重にも重なった花びらが特長の品種。華やかなバラも薄紫色なら主張しすぎず、エレガントな印象に。

カーネーション‘ミネルバ’。濃いパープルと白のコントラストが美しい品種。他の花材とも合わせやすい色味で、ブーケやフラワーアレンジメントにも最適。

石化ケイトウ‘セッカアンティークピンク’。秋から冬にかけての季節にぴったりのケイトウ。中でも、石化ケイトウは茎が石化した品種で、ドライフラワー素材としても人気が高い。

リーフプランツ‘ポリシャス’。上から下に向かうに連れて、葉の緑色が濃くなっていくのが特長。フリルのような葉がリースやブーケなどに自然に溶け込み、汎用性が高い。
Variations
使用花材/アジサイ‘ピンパーネルクラシック’、リシアンサス‘NFサマーグレープ’、 ファレノプシス‘ブルースター’、リンドウ‘レッドラブ’、ヒメヒゴダイ、アルテルナンテラ‘パープルプリンス’
アンティーク調のグリーンとブルーが美しいアジサイを際立たせるために、優雅なリシアンサスとファレノプシスを添えて、上品さと華やかさをプラス。 「夏の余韻を残しながらも、しっとりと深まる秋の気配と美しい夜空を表現しました」(戸部さん)
『幸せを運ぶ フラワーリース カレンダー2026』好評発売中!
「宙花〜sora hana~」戸部秀介さんが手がけた生花のフラワーリースをビジュアルに取り入れた壁掛け式カレンダーが9月2日に発売しました。

ヨーロッパで幸運のお守りとして親しまれている「リース」モチーフを、お部屋に気軽に飾ることができる一冊。
詳細はこちらから>>