藤野幸信さんが選ぶ「季節の贈り花」 今、この花を贈りたい！ 「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが“今贈りたい”おすすめの花をセレクト。その花を使った、新作ブーケ&アレンジメントをさまざまなバリエーションでお届けします。
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9月の花「ケイトウ」
お誕生日の贈り花に、ケイトウ‘プティフルーツ フェアリーローズ’を秋色のヒマワリと合わせたアレンジを制作。個性の強い赤系の花をケイトウの落ち着いたピンクがバランスよくまとめてくれます。秋色のヒマワリは‘フロリスタン’。ほかにバラ‘パンテオン’、エキナセア‘レイラ’を使い、コニファー‘ブルーアイス’をアウトラインにあしらいました。
藤野幸信／Yukinobu Fujino広島駅からほど近い段原の骨董通りにある「フルール トレモロ」オーナー。広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を終了後、花の道に進んだ異色の経歴。著書『大切な人への贈り花』も好評。 https://www.fleurs-tremolo.com @fleurstremolo
センス抜群の花色が新登場のケイトウに注目！
6月に出回り始め、11月初旬まで利用できるケイトウは、水あげがよく傷みにくいため、暑い時期の贈り花ではとても頼りになります。
2022年8月5日配信の記事でケイトウを取りあげましたが、今回はそれ以降にあらたに登場した素敵な新色と、それを利用した贈り花をご紹介します。
ケイトウにはいろいろな種類がありますが、切り花でよく出回るのは、折りひだを連ねたような花冠のボンベイ系で、トサカケイトウと呼ばれるタイプです。花形のおもしろさもありますが、ケイトウの魅力は何といっても発色のすばらしさです。鮮やかな色はもちろん、落ち着いた花色であっても発色のよさから美しさが際立つところがほかの花にはない魅力だと感じています。
そんなケイトウの魅力が高く評価され、2022年には、東京の大田花き市場がその年のトレンドを反映する花「フラワー・オブ・ザ・イヤー OTA」にケイトウの‘プティフルーツ マーメイドピンク’が選出されました。これは山口県の「下関花維新の会」に所属する橋本伸宏さんが育種したオリジナル品種です。「プティ」と名前にあるように小さな花冠が特徴で、少しくすんだピンクの濃淡がとても美しく、登場以来、現在でも相変わらずの人気ぶりです。
「下関花維新の会」に所属する「橋本バラ園」の橋本さんが作出した新色のケイトウ‘プティフルーツ フェアリーローズ’。この花を見たお客さまが「花形もまるでバラ！」とおっしゃっていましたが、たしかに小ぶりで丸みのある花冠はバラのように見えます。
そして今回ご紹介するのが、‘プティフルーツ’シリーズの新色の‘フェアリーローズ’と‘フェアリードリュアス’です。‘フェアリーローズ’は名前通りバラの花色をイメージさせるようなピンクで、少しベージュがかるピンクまで色にゆらぎがあり、それがきれいなグラデーションを描きます。贈り花の色みに合わせてグラデーションの中から花色を選べるので、とても使い勝手がよく、この新色をよく利用しています。
‘フェアリードリュアス’はグリーン系の花色ですが、発色のよいライムグリーンでフレッシュ感があるのが魅力です。花冠が小さいので、花と花の間のすき間を埋めるのに使いやすく、しかもナチュラル感のある仕上がりになります。ちなみに花冠を小さくするには高い栽培スキルが必要で、育種者の橋本さんは、その技術とセンスのよさの両方をお持ちなんだろうと感心しています。
私がよく利用しているもう1種のケイトウ、佐賀県の「明日香園」さんの‘アスカセレクト’シリーズにもかわいらしいたまご色などの新色が登場し、ケイトウはますます充実のラインナップで、秋からの贈り花でも大活躍してくれると思います。
ケイトウを使ったブーケ&アレンジメント
淡い青紫の花を集めたアレンジでは、ケイトウ‘プティフルーツ フェアリーローズ’がほどよいアクセントに。ベージュがかったピンクに少し緑色も含むケイトウのニュアンスのある花色がしゃれています。こちらもお誕生日の贈り花です。
お友達の結婚祝いに、優しいピンク色を集めたアレンジをお届けしました。バラの‘シフォンベール’と‘デザート’、リシアンサス‘プリマアプリコット’。ケイトウ‘プティフルーツ フェアリーローズ’のニュアンスのあるピンクがアレンジを大人っぽい表情に。スターチス‘アイスブルー’をアクセントに加えると、さらにピンクの華やかさが引き立ちます。
