〔連載〕有田焼で魅せる 素敵なテーブルコーディネートのためのテクニック お気に入りの器を持っていても、それだけでは完成しないのがテーブルコーディネート。色の合わせ方、素材の選び方、テーブルクロスの使い方……。食空間プロデューサー/テーブルスタイリストの山野舞由未(やまの・まゆみ)さんに、有田焼との組み合わせを基本に、今日から役立つ素敵なテクニックを教わります。前回の記事はこちら→
〔今月のテクニック〕テーブルクロスに頼る
色や柄によってさまざまな演出ができるテーブルクロス。皆さまは日常的に使っていますか?
あまり使い慣れないという方には、まずシンプルな「白」と「黒」のテーブルクロスをおすすめします。
暗くなりがちな和室での設えに大活躍するのが白いテーブルクロス。食卓にレフ板のように光を取り込むと同時に、子孫繁栄や長寿を願う文様を描いた上絵の美しさを引き立てる、キャンバスのような役目も果たします。
白いテーブルクロスを使った例。十三代柿右衛門(1906~1982)が晩年を過ごしたという離れにある、主屋を望む和室で。
黒いテーブルクロスは、私は、「反則技」と呼んでいます。ブラックドレスと一緒で、誰が使っても失敗なく、モダンでスタイリッシュに仕上がるからです。
黒いテーブルクロスを使った例。畑萬陶苑の古典的な柄の器とモダンな器を組み合わせたコーディネート。
そして、色柄もののテーブルクロスは、例えば花を買いにいく時間がない日、器が無地で食卓が寂しいとき、広げるだけで食卓を華やかにしてくれる、とても頼れる存在です。
〔テーブルクロスを用いた実例1〕白と黒

旅先のフィレンツェでオーダーした アイボリーの麻の無地のテーブルクロス。ナプキンはフランスのル ジャカール フランセの麻のダマスク織で、織模様は朝顔です。同じ白のリネンでも、微妙なカラーの違いや織の違いで表情に起伏をつけることができます。

黒のテーブルクロスを敷く場合は、モノトーンのグラデーションカラーを合わせて緩急をつけます。
〔テーブルクロスを用いた実例2〕色と柄

フランス・ボーヴィレ社の、リアルトというシリーズの鮮やかな一枚。トリノの宮殿をイメージしているそうですが、どこかしらオリエンタルな雰囲気もあり、和洋折衷などクロスオーバーのセッティングによく似合います。

上と同シリーズの色違い。ここでは井上萬二窯の白磁の煎茶セットに合わせています。
上と同じテーブルクロスを、江戸時代の古伊万里染錦の器と合わせた「柄 on 柄」のコーディネートで。かなり個性的な器も、テーブルクロスの柄の力で、独自の世界観を作る醍醐味を味わえます。

着物の柄のような雰囲気をもつ、フランスのル ジャカール フランセのテーブルクロスとナプキン。有田焼の文様は中国の柄がオリジナルのことも多く、テーブルクロスと有田焼を合わせるのは、東西の文化の交流を食卓の上で感じる作業でもあります。
※次回は、シーンごとの誂え方をご紹介します。
山野舞由未(やまの・まゆみ)

食空間プロデューサー/テーブルスタイリスト。早稲田大学第一文学部卒業。イギリス留学にてテーブルコーディネートを学び、帰国後、百貨店やギャラリー、テーブルコーディネートフェスティバルなどでのイベントやトークショー、スタイリング、セミナーのほか名窯ブランドのスタイリングを多数手がける。学IWATAYA講師。福岡在住。公式サイト>>
『名窯を巡る、季節を飾る 有田焼で楽しむテーブルコーディネート』
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※この記事は、山野舞由未著『名窯を巡る、季節を飾る 有田焼で楽しむテーブルコーディネート』を再構成しています。