藤野幸信さんが選ぶ「季節の贈り花」 今、この花を贈りたい! 「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが“今贈りたい”おすすめの花をセレクト。その花を使った、新作ブーケ&アレンジメントをさまざまなバリエーションでお届けします。
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8月の花「リーフプランツ」

「なにわ花市場」のイベント用に制作したリーフプランツのブーケ3点とアレンジ3点を集めておいてみたら、とても爽やかな雰囲気に。個々の贈り花の詳細も後ろで紹介します。
藤野幸信/Yukinobu Fujino広島駅からほど近い段原の骨董通りにある「フルール トレモロ」オーナー。広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を終了後、花の道に進んだ異色の経歴。著書『大切な人への贈り花』も好評。 https://www.fleurs-tremolo.com @fleurstremolo
みずみずしいグリーンは「トレモロスタイル」のマストプランツ!
2025年7月4日に、大阪の「なにわ花市場」で「第8回なにわ花まつり」が開催されました。花を生産する人、売る人、使う人、と花に関係する多くの人たちが情報交換できるイベントです。そこで切り花のリーフを展示するという鹿児島県薩摩郡の「南原農園」さんからの依頼で、リーフプランツをふんだんに利用したブーケとアレンジを6点制作しました。いずれも贈り花を目的としているので、皆様にもご参考いただけると思います。
「南原農園」さんのアップライトアイビー。束ねただけで葉の表面がきれいに揃います。手前は緑色が鮮やかな‘ピッツバーグ’、奥は表情のある斑入りの‘グレイシャー’。
「南原園芸」さんではリーフプランツを種類豊富に生産していますが、今回はアップライトアイビー、スマイラックス、アスパラガスのスプレンゲリーとプルモーサスナナス、ハートカズラ、銀葉マルグミ、ピスタチオリーブス、リキュウソウなどを利用しました。
なかでもよく利用したのがアップライトアイビーです。ネーミング通り茎に対して葉が垂直につくアイビーで、「南原農園」さんでは先端の葉を密にする手のこんだ直立仕立てにしています。5年ほど前に「南原農園」さんから「試してみてください」とサンプルをお送りいただいたのが、このアイビーとの初めての出会いで、あまりに使い勝手がよく、その後は頻繁に利用させてもらっています。
立たせるようにブーケやアレンジに加えることができ、枝物の感覚で使えるうえ、葉の表面が揃うので、仕上がりがとてもきれいになるのが魅力です。葉色違い、斑入り品種などがあるので、贈り花のテイストに合うものを選べるのも使い勝手がよい理由です。
どんな花合わせ、色合わせの贈り花でも、リーフプランツをあしらうことでナチュラルな雰囲気に仕上げるのが「トレモロスタイル」。だから、1年を通してクオリティーの高いリーフプランツを種類豊富に提供してくださる「南原農園」さんは、トレモロの贈り花にとって欠かせない存在です。
今回、市場のイベント用にリーフプランツをたっぷりあしらった贈り花を制作したことで、この暑い時期にはこんな爽やかでみずみずしい贈り花が喜ばれるのではないかと再発見しました。「なにわ花市場」のイベントに、そして私に声をかけてくださった「南原農園」さんに感謝の気持ちでいっぱいです。
リーフプランツを使ったブーケ&アレンジメント

鮮やかなピンクのファレノプシス‘こうめ’に、ケイトウ‘プティフルーツ マーメイドピンク’とブルーベリーの落ち着いたピンクを合わせたバスケットアレンジです。ボリュームたっぷりのグリーンは、アップライトアイビーの‘ピッツバーグ’と‘グレイシャー’、アスパラガス・スプレンゲリー、ピスタチオリーブス。市場のイベント用に制作した贈り花です。

エキナセアの‘ラズベリートリュフ’と‘レモンドロップ’、オンシジウム‘ハニードロップ’と、夏らしいオレンジ色と黄色の花色合わせのブーケです。こちらも市場のイベント用に制作したもので、「南原農園」さんのアップライトアイビー‘ピッツバーグ’を利用し、ほかにグリーンワッフルゼラニウムを加えました。オンシジウムの枝の伸びにアップライトアイビーが寄り添います。

アップライトアイビー‘ピッツバーグ’とフランボワーズ。たっぷりのグリーンの中に、ボルドーカラーのパフィオペディルム、バラ‘ポルトスノー’、チョコレートコスモスを加えたブーケ。くるくる巻いた髭のようなものはクレマチスシードです。白と黒が好きな娘さんに、ご両親から誕生日の贈り花です。

アップライトアイビー‘ピッツバーグ’、キイチゴ‘ベビーハンズ’、グリーンワッフルゼラニウムと、たっぷりのグリーンの中に、バラの‘ビーハイブ’と‘カルピディーム’、‘吉野’を加えたアレンジです。ブルーベリーとブラックベリーを加え、夏のみずみずしい収穫シーンのイメージに仕上げました。暑さを見舞う贈り花です。