藤野幸信さんが選ぶ「季節の贈り花」 今、この花を贈りたい! 「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが“今贈りたい”おすすめの花をセレクト。その花を使った、新作ブーケ&アレンジメントをさまざまなバリエーションでお届けします。
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7月の花「アガパンサス」

マム、リシアンサス、バラ、カラーなどを合わせた清涼感あるアレンジです。大きな花のまとめ役がアガパンサス‘ツイスター’。正面から見ると白い星形、横から見ると根元が青く染まっているのがわかります。マムは‘セイオペラ ピンク’、リシアンサスは‘NFラベンダー’と‘ボヤージュ ブルーシェイク’、バラは‘カタリナ’、カラーは‘ホワイトチョコレート’を使用。ほかにクレマチス‘篭口’、コロニラなどを使用しています。
藤野幸信/Yukinobu Fujino広島駅からほど近い段原の骨董通りにある「フルール トレモロ」オーナー。広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を終了後、花の道に進んだ異色の経歴。著書『大切な人への贈り花』も好評。 https://www.fleurs-tremolo.com @fleurstremolo
花色もすらっとした花姿もまさにクールビューティ!
ギリシア語のアガペー(愛)とアンサス(花)をつないでアガパンサス。なかなかロマンチックな語源の花名です。
庭で咲くのは5月下旬〜8月上旬で、ちょうどいま涼しげな花を咲かせています。ヒガンバナ科の球根植物で、一度植えつけると年を重ねるごとに株が大きくなり、何年も花を楽しむことができます。管理の手間が少ないことから、集合住宅の外花壇にもよく利用されます。切り花で出回るのもほぼ同時期で、いちばん流通量が多いのが7月ではないかと思います。
アガパンサスといえば、涼やかな青花が思い浮かぶと思います。その青花にも濃淡のバリエーションがあり、今回、アガパンサスを利用した贈り花を見直してみて、「こんなにいろんな品種を使っていたんだ!」とあらためて感じました。
最近のお気に入りは‘ツイスター’という品種で、白い花弁の根元が濃いブルーに染まる美しい花を咲かせます。アガパンサスの花は正面から見ると星形ですが、ロウト状になっているため、横向きの姿も美しく、とくに‘ツイスター’は横向きになると根元のブルーがよく見えるので、それも意識しながら花を挿しています。
‘ツイスター’はバイカラーと呼ばれる2色使いの品種で、花弁の先から根元にかけて濃いブルーに色付きます。そのグラデーションが涼やかさをさらに感じさせ、見ているだけで爽やかな気持ちになります。
青花で最近よく利用するのが‘ゼラトーマス’という品種で、鮮やかな紺碧の花色が魅力的です。青花には淡い青紫の‘オリンピックスカイブルー’、ダークな青紫の‘バイオレットキング’など、濃淡さまざまな品種があるので、合わせる花にぴったりのブルーを選ぶことができます。また、アガパンサスは白花もとても魅力的で、‘ジューンブライド’という品種は名前通りウエディングドレスを連想させます。
アガパンサスは花房を崩さずにそのまま使うのですが、花へと続く花柄(かへい)がやわらかいため、花と花を開いてすき間を生むことができます。そこにほかの花を挿し入れていくと、花一輪ずつ切り分けて使ったような雰囲気にもなります。
また、ご自宅用ならすらっと長い茎をいかして一輪挿しにしても素敵です。いろいろな使い方ができるのもアガパンサスの魅力ですね。水あげがよく、花もちもよいので、暑い時期でも贈り花に利用できるのもうれしい!
アガパンサスを使ったブーケ&アレンジメント

アガパンサス‘ツイスター’やカラー‘ホワイトチョコレート’など、白い花の中に、アンティーク感を醸すくすんだピンクのバラ‘ラピスヴェール’を加えたブーケです。くすみカラーを加えると、白がきりっと際立ちます。‘ツイスター’の花の根元の青紫がアクセントになり、さらに涼しげな印象に。ほかにオンシジウム‘サマースノー’、コロニラ、フランボワーズなどを使用。

お部屋に飾る花のオーダーを受け、アガパンサス‘ツイスター’やルリタマアザミ‘ベッチーズブルー’、クレマチス‘篭口’など、爽やかな白とブルーの花を集めてブーケにしました。バラ‘デザート’のボリューム感がブーケに安定感をもたらします。ほかにブルーベリー、アスパラガス・ミリオグラタスなどを使用。