〔特集〕現地特別取材・インテリアの新潮流を探る 2025ミラノデザインウィーク探訪 ミラノサローネとは、「ミラノサローネ国際家具見本市」のこと。この6日間の家具の見本市が、ミラノ市内のデザインイベント「フォーリサローネ(サローネの外)」の活動を促し、この2つを総称して「ミラノデザインウィーク」と呼ばれる“世界最高峰のデザインの祭典”を生み出すことになりました。デザイン界において、ミラノは、創造性とアイディアのプラットホームであり、世界へのゲートウェイ。「デザインの首都」で、インテリアの新潮流を探りました。
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【Hermès(エルメス)】
浮遊感溢れる幻想的な会場デザイン
白い箱が上から吊り下げられて宙に浮かび、その箱の下からオーラのような光が床面を照射。その光景はとても幻想的でした。

浮遊感溢れる会場を進むと、オブジェが、浮かび上がるように現れます。
ミラノ市内ブレラ地区の会場ラ・ペロタにて行われた浮遊感溢れるシンプルな空間演出。白を基調とする中、ガラスやファブリックの色彩が際立つ構成。
エルメスの今年のテーマは「オブジェを創り出すもの」。
彫刻家が作品を作るとき、大理石の塊の中に像を見出し、削り出していくように、箱の中からオーラを纏ったオブジェが、ゆっくりと少しずつ面影を現していくようなイメージで構成されたといいます。
空間演出を手がけたのは、エルメス ホームコレクションのアーティスティック・ディレクター、シャルロット・マコー・ペレルマンとアレクシィ・ファブリ。
異なる2色のカラーガラスのペーストを透明ガラスに重ねたジャグ。溶かしたガラスを熟練工が、巧みに操り成形した。全く異なる素材である奥のカシミヤ製ブランケットと視覚的な相乗効果を感じさせるディスプレイ。
ガラスやカシミヤの素材にフォーカスを当てた点が今回の最大の特徴。吹きガラス、ケーシング、フュージング技法で制作したガラスのオブジェの数々……。
エルメスの真骨頂ともいえる、作品に命を吹き込む熟練の職人技と、素材への強い探求心が色濃く感じられる展示となりました。
ラッカー仕上げを施したカラーガラスに日本の杉材を使用した「曲げ木」のラウンドテーブルをのせたサイドテーブル。相反する要素を巧みに組み合わせたトマス・アロンソによるデザイン。
エルメスジャポンhttps://www.hermes.com(次回へ続く。
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取材協力:ミラノサローネ国際家具見本市
https://www.milanosalone.com/