〔特集〕コーディネート拝見から心躍るアイテムまで 春爛漫の器あそび うららかな陽気とともに、テーブルを彩る器でも思いきり春を楽しんでみませんか。集いのシーンをセンスアップするコーディネート術、進化する名窯地への小旅行、贈り物にしたい人気作家のアイテムなど、暮らしに華やぎをもたらす器の「今」にご案内します。
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進化する器産地へ
器好きなら一度は訪ねたことのある窯業地に今、新しい風が吹いています。土地をあげて若手作家を応援するプロジェクト、ギャラリーやカフェを併設する複合施設のオープンなどで話題の益子、多治見への小旅行にご案内します。
[多治見]
日本一の器産地の“今”を追う地域密着型ショップ ── 新町ビル
豊かな陶土と釉薬に恵まれた美濃焼などが伝わる多治見。伝統からモダンまでの幅広い作風の器が揃い、窯元やメーカーから陶芸家まで層は厚く、個人の作り手だけでも2000人を超えるといわれています。
その多様性とクオリティの高さに注目し、器の魅力を発信しようとしているのがギャラリー「山の花」のオーナー花山和也さんです。
土地の匂いを放つ器に出合う「山の花」美濃東部の東濃の焼物とかかわりながら、作り手やもの作りの現場の最前線を俯瞰で捉える花山さん。ビル1階、3階で行われるイベントにも注目。
陶芸家のアシスタントやマネジメントを経て、築五十余年のビルを自ら改修した新町ビルに店をオープンし、地元で活動する作家や作品を紹介しています。
「意欲的な作り手がたくさんいるのに伝える手段がこれまで多治見になく、作り手と使い手がつながる手助けをしたくて始めました」と語り、焼物を介して土地や人に寄り添い、美濃の未来を思い描いています。
そんな花山さんが最も注目しているのが、プリミティブな土器や、複数の作家が集まり同じ薪窯で焼成した器。
「太古より恩恵を授かった土や薪窯を使って作品をアップデートできるのは、土壌と作り手が豊かなこの地だからできること。今の多治見を手に取って感じていただきたいです」。
多治見で増加中の「薪窯」の器薪で焼くことを新たな表現手段とする作り手たちの器。同じ白でも表情が異なり、和洋に使えるのも魅力。奥から右回りに、竹下 努 作「皿」「八角皿」、大隈 新 作「湯呑み」「猪口」「皿」、呉 瑛姫 作「フリル皿」「フリル鉢」。
器の源流「土器」に触れる器のルーツともいえる土器に着目し、プリミティブな素材を作家の感性で捉え、暮らしに合うものをセレクト。上は窯を持たずに野焼きで制作する田中太郎 作「高台向付」。田中さんは新町ビル近くのカレー店「タナカリー」も営む。
食卓を離れて「壺」を愛でる100年後も美しいと思えるものをセレクトの基準とし、色や質感、フォルムに視点を合わせた壺やオブジェも扱う。上は焼成と成形で、唯一無二の土の表情やモノトーンの世界が表現された作品。呉 瑛姫 作「花器」。
愛でて楽しめるものをセレクト「地想」まだ知られていないブランドの洋服や、一つあるだけでグッと気持ちが上がるアイテムに着目し、作り手目線のアート性の強いものをセレクトするショップ。ビルを拠点に出会い、つながったジャンルレスな作家のものを「山の花」と連携しながら発信しています。
陶磁器とモザイクタイルの生産量日本一を誇る、岐阜・多治見で作陶する中川夕花里 作「フリーカップ」「花器」。お土産にもおすすめ。「地想」で取り扱い。
一点ものの小平健一作「鳥の壁掛け」。
新町ビル
山の花住所:岐阜県多治見市新町1-2-8 新町ビル2階
営業時間:12時~18時
定休日:不定休
お問い合わせ:
WEBサイトへ
地想住所:同ビル4階
営業時間:12時~18時
定休日:不定休
お問い合わせ:
インスタグラムへ
新町ビルの
WEBサイト(次回に続く。
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