インテリア

モノトーンの器に、愛らしい動物たち。人気作家・菅野一美さんの器に癒されて

人気の器作家の工房を訪ねて 第3回(全6回) 今人気を集めるのは、作り手の感性が発揮された個性的な器です。今回の器セレクトの基準は“愛らしさ”。陶磁、ガラス、竹。異なる素材に向き合う4人の作家の工房を訪ねて、創作にかける想いを伺いました。前回の記事はこちら>>

【陶】
菅野一美さん

陶 菅野一美さん

掻き落としの器は上から時計回りに、「うさぎ文5寸高台皿」、「草花文双葉形向付」、「菊文菱形皿」、同じ器の形だが兎の姿態が違うのも素敵な「うさぎ文花形小皿」、鹿や小鳥、兎、蝶が遊ぶ、のどかな野辺の光景を思わせる「動物文8寸プレート」、「動物文ぐい呑み」は左から牛、鹿、孔雀。「動物文蓮華形小付」は左から馬、兎、象。「象文角鉢」、「象文片口鉢」、「霊獣文6寸輪花皿」。1客3080~7700円。

虎、象、莵、鹿、猪、小鳥――
掻き落としで表現する動物たち

州浜風の形をした小皿のくぼんだ見込みに跳ねるのは、小さな莵。思わず手のひらにのせて見ていると、別皿には思いきりジャンプして、今にも皿から飛び出しそうな莵も。莵たちは躍動的で、その小さな姿に愛らしさが溢れています。 多治見に工房を構える菅野一美さんは、掻き落としの手法を用いて制作。その中でも、中国の磁州窯に惹かれて、もっぱら白と黒の器を作ってきました。

象を描いた器もあります。長い鼻の先に花の枝を引っかけて闊歩する象もいれば、蝶と戯れている象も。梢の鳥たちは美しい声でさえずり、鹿や馬、犬もいれば中国の想像上の動物の麒麟も。猪、猿、竜、獅子、羊、猫、鼠、牛……。どの動物たちも、微笑ましい姿で描かれています。

陶 菅野一美さん

右から、「牡丹・鳥文一輪挿し」、「虎文一輪挿し」、「ライオン文一輪挿し」各8500円。秋の野草を挿しておきたくなる、高さ8センチほどの小さな一輪挿しは、口と胴の下部に櫛目を施している。ライオンの傍らに鳥が飛ぶ図案も微笑ましい。

「白黒の表現なので、花はバリエーションが増やせない。それで飛んだり跳ねたりする、動きのある動物をモチーフにしています」

図録をヒントに図案を起こした大量の下絵には、菅野流動物たちが生き生きと躍動しています。「うちの猫の動作や仕草も参考にしましたし、足とか骨格の仕組みとかを調べたりもしました」

高齢で闘病中の愛猫を抱いて、一匙ずつ餌を与える菅野さん。器の動物たちには、菅野さん自身の優しさが滲み出ているのでしょう。

陶 菅野一美さん
ティータイムに、こんなマグカップでお茶を飲めば、会話も弾む。「象文マグカップ(小)」各4200円「鳥文5寸八角皿」各3200円。象の長い鼻の先で持つ枝には小鳥がちょこんとのる。象模様の器は珍しく、メルヘンの世界を思わせる。

菅野一美さん(かんの・かつみ)

愛知県瀬戸市生まれ。1996年、大学卒業後仙台で会社員に。2000年、愛知県立窯業高等技術専門学校卒業。岐阜県多治見市在住の陶芸家・黒岩卓実さんのもとで、3年間作陶を学ぶ。03年、独立し、開窯。当時は織部を制作。16年頃、中国の磁州窯の器に出会い、心機一転、掻き落としによるモノトーンの制作を決意。
最新情報はインスタグラム@kanno_katsumiにて。

展覧会のご案内

●2022年12月1日~6日 うつわ謙心(酒器展)
東京都渋谷区渋谷2-3-4 2階 TEL:03(6427)9282

●2023年6月7日~12日 うつわ楓
東京都港区南青山4-17-1 1階 TEL:03(3402)8110
取扱は上記2軒に加え、「水道ギャラリー」(東京)、「pivert」(熊本)ほか。


〔特集〕人気の器作家の工房を訪ねて

01 ガラス 西山 雪さん(1)

02 ガラス 西山 雪さん(2)

03 陶 菅野一美さん(1)


この特集の掲載号
『家庭画報』2022年11月号

『家庭画報』2022年11月号

撮影/本誌・西山  取材・文/片柳草生

『家庭画報』2022年11月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。

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