「日々の器」を楽しむ 第4回(全7回) 今、器がブームといわれています。今回、取り上げるのは手頃な価格で、どんな料理にも合う汎用性がある普段使いの器。器ギャラリーがすすめる注目の作家の器を、おすすめのコーディネート提案とともにご紹介します。前回の記事はこちら>>
人気ギャラリーがすすめる“作り手”と“使い方”
新しい器を家に迎え入れることは、使う人の心に、そして家で過ごす時間に、変化を与えるもの。ここでは日々の暮らしを豊かにするアイテムをセレクト。東西15軒の人気ギャラリーの店主に、おすすめの作家の器と、使い方のヒントを教えていただきました。
「折敷」を多様に使いこなす
折敷(おしき)とは本来、茶懐石料理に使われる漆塗りの木製の四角い盆のことですが、ここでは一人分の器をのせて楽しめる盆や膳も「折敷」として、使い方のアイディアをご紹介します。
複数の器を並べるとき、折敷にのせることにより、一人分の食膳が定まります。絵画を額縁に入れるのと同様、器を折敷にのせることで、料理が引き立ち、美しく映えます。銘々で食事をすることが増える中、折敷が活躍する機会はますます増えそうです。
無垢材の質感を生かして風趣溢れる食卓を演出

「浮様 丸皿(鎹)」Shimoo Design 作(径30.5×高さ3センチ)2万4200円、器は奥が「ミニコンポート」橋村野美知 作(径10×7.5センチ)6600円、左が「更紗紋レンゲ」(8.5×13.5×高さ3センチ)3300円、右が「サビ抜 梅型小付」(10×9.5×高さ4センチ)3300円、ともに中尾万作 作/すべてgallery一白
“浮様(ふよう)”と名づけられた独自の手法で木目を浮き立たせ、鎹(かすがい)をデザインのアクセントにした丸皿を盆膳に見立てて。春らしい華やぎを添えるのは、脚付きのガラス器の輝きと、鮮やかな赤絵のレンゲや梅花をかたどった小付け。季節の酒肴を盛りつけて、さあ一献いかがでしょう。
下のフォトギャラリーから、詳しくご覧いただけます。
折敷の形や材質の違いが全体の趣に変化をもたらす
奥/金属の角膳はきりっとした雰囲気を演出。手前/漆の丸折敷はほっこりとした土物とも好相性。
奥/「鉄の角膳」杉島大樹 作(30.5×36.5×高さ1.5センチ)2万8600円、「黒釉八角鉢」光藤 佐 作(15×15×高さ6センチ)6050円、「ピルスナーグラス」高橋禎彦 作(径8.5×高さ17.5センチ)8800円、「染付けだみ舟形皿 小」中尾万作 作(6.5×14.5×高さ3センチ)4400円、「洋白フォーク」銀猫 作(長さ14センチ)3520円。手前/「乾漆丸折敷」安西 淳 作(径33×高さ1.5センチ)3万1900円、「粉引楕円鉢」(14.5×15.5×高さ6センチ)3300円、「鉄絵小皿」(径7×高さ1.5センチ)2200円、ともに光藤 佐 作、「漆スプーン」太田修嗣 作(長さ19センチ)6600円、「朱細箸」中野知昭 作(長さ21.5センチ)3300円、「カトラリーレスト」岡本 修 作(10.5×3.5×高さ0.5センチ)1760円/すべて日々
古染付を完璧に写した器を引き立てる折敷づかい
菊形に型取りした器は外側も見所。折敷に置いてこそ存在感が増す。
「尺一角布貼敷膳」(33×33×高さ1センチ)8250円、「古染付菊絵菊型皿」(径18.5×高さ4.5センチ)3万7400円、「赤絵草花小付」(8×8.5×高さ2.5センチ)6600円、ともに廣野俊彦 作。「金縁九角盃」谷口 嘉 作(径6.5×高さ6センチ)1万3200円、「五角箸 黒」石川漆宝堂 作(長さ23.5センチ)3410円、「錫箸置」ささきりえ 作(長さ3.5センチ)1540円/すべて暮らしのうつわ 花田
日本の美意識宿る、土や金属の風合い
鉄錆の美しさ、薄くひかれた金属のような表情、繊細で気品のあるアルミ、備前とは思えぬ軽やかさ、異なる素材の組み合わせで存在感を放つコーディネート。
「黒錆リム盆」大山 求 作(径24×高さ0.5センチ)1万5400円。器は右から時計回りに、アルミに柔らかな表情を添えた「菓子プレート」鎌田奈穂 作(径9×高さ0.5センチ)2200円、「備前八角皿S」森本 仁 作(14.5×7.5×高さ1.5センチ)3850円、「錆器煎茶碗」二階堂明弘 作(径9.5×高さ5センチ)3850円、「フォークS」竹俣勇壱 作(長さ9.5センチ)1870円/すべてessence kyoto
異素材の器を取り合わせて一汁三菜の食事を楽しむ
さまざまな素材の器を明るい色味の折敷に並べて、食事をきちんといただいたという満足感が味わえる。
スタッキングできる取っ手付きの「ナラ折敷」般若芳行 作(42.5×30×高さ2センチ)1万5400円。器は手前右から時計回りに、「柳椀 淡口」中野知昭 作(径11.5×高さ8センチ)1万5400円、「粉引飯碗」増田 勉 作(径13×高さ6.5センチ)3300円、「みなわ向付」中村真紀 作(10.5×11.5×高さ6センチ)4180円、「染付ムシカリ文オーバル中皿」古川 桜 作(14.5×21.5×高さ2.5センチ)5060円、「青釉豆皿」川口武亮 作(径9×高さ2センチ)1980円/すべて百福
縁なしの折敷をランチョンマット代わりに
フラットなデザインの漆の折敷はカジュアルに使えて重宝。岩石のような風合いの独特のテクスチャーは新味を感じさせ、どんな器も引き立てる。
「スレート折敷」杉田明彦 作(40×30×高さ1センチ)3万9600円。器は手前右から時計回りに、「6寸リム皿」小山乃文彦 作(径19×高さ3センチ)4400円、「豆皿」安田奈緒子 作(径8×高さ2センチ)1980円、「エッグボウル」中里花子 作(7.5×10×高さ5センチ)2750円、「グラス」左藤玲朗 作(径8.5×高さ8センチ)2860円、「箸置き」辻本 路 作(径5×高さ1センチ)770円、「縞黒檀利休箸」大黒屋 作(長さ23.5センチ)1980円/すべてINMY BASKET
撮影/本誌・西山 航 大泉省吾(関東・店) 内藤貞保(関西・店) スタイリング/阿部美恵 取材・文/鈴木博美 井伊左千穂 西村晶子(関西)
※掲載した器の問い合わせ先は、器ギャラリー紹介のページをご参照ください。器は手作りのため、仕上がりや大きさが写真や説明と異なる場合があります。器は一点物の場合、購入できないことがあります。器のサイズは5ミリ単位で計測しています。
『家庭画報』2022年3月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。