インテリア
2021/09/02
「世の中の潮流がめまぐるしく変化する現代だからこそ、瞑想や祈りなど、自己の内面に目を向ける時間が大切です」と話すのは、1900年の創業以来、常にその時代に見合う祈りのかたちを提案してきた会津若松の仏壇・仏具・位牌の専門メーカー「アルテマイスター」の保志康徳社長。『家庭画報』2020年11月号に続き、今回は同社が世に提唱する「新しい祈りのかたち」のアプローチとして、現代の空間に合うデザイン仏壇、自然の恵みを活かす国産漆再生の取り組み、そして仏壇リメイク物語の3つをご紹介します。
自社工場内にある「お仏壇リフォーム工房」
工場内に設けられたリフォーム工房での作業風景。各分野の熟練職人がサイズダウン、改造、特注と、顧客のニーズに合わせてフルオーダーに近いきめ細かな対応を行っている。(写真の仏壇は、塩見邸のものとは異なる)
漆の植林はもとより、製材から研磨、塗装、組み立てまで、すべての工程を一貫して自社で行う「アルテマイスター」では、その強みを活かし、13年前から仏壇のリメイク事業も開始しています。「ご依頼として多いのは、やはりサイズダウンですね。今では年間26基ほどのリメイクを行っています」と保志さん。
福島県在住の塩見さんも、昨年、実家の仏壇を小さく作り替えたお一人です。
「一人暮らしをしていた母が他界し、残った大きな仏壇をどうしたものか、思い悩んでいたとき、新聞で『アルテマイスター』の仏壇のリメイクを知りました」という塩見さん。
早速、奥さまと会津の店舗へ。そこで同社のリメイクに対する考えに共感し、その場で依頼したと話します。
「使える部材は再利用するのがよいとのアドバイスを受け、中の本尊や位牌もクリーニングをしてもらったうえでそのまま置くことにしました。出来映えは想像以上です。新調するのと違い、家になじんだものを引き継げるのは嬉しいこと。これまで以上に仏壇を身近に感じています」と塩見さん。
親から子へと想いをつなぐのも「アルテマイスター」が考える新しい祈りのかたちです。
【Before】お父さまの逝去後、お母さまが購入したという徳島産の本紫檀唐木仏壇。「20年以上にわたり、母が大切にしていたもので、私も盆正月をはじめ、実家に立ち寄るたびに手を合わせていたので思い入れがあります」(塩見さん)。
【After】自宅の設置場所に合わせ元の仏壇の部材を最大限に活かしながら、半分以下の高さにサイズダウン。「部材を活かしてリメイクしたことで、仏壇を大切にしていた母の想いまで受け継ぐことができた気がします」(塩見さん)。
高さ171センチ・幅73センチから、高さ67センチ・幅51センチへと大きくサイズダウン。欄間や欄干、障子などの内部彫刻や背面金紙も、サイズ調整をして再利用しています。
【Before】
再利用箇所
(1)欄間彫刻 (2)家紋 (3)須弥壇彫刻 (4)欄干 (5)障子彫刻 (6)戸板 (7)宮殿柱 (8)支輪・台輪 (9)背面金紙
【After】
TEL | 0120-23-0581 |
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営業時間 | (受付時間)9時~17時 |
定休日 | 土曜・日曜・祝日 |
remake@e-alte.com |
仏壇のリメイクに関して
契約から完成納品までの期間は5~6か月。料金は仏壇の状態やリメイク内容で異なるが、大型仏壇を小型仏壇に作り替える場合、44万円~。
先の見えない困難な時代が続く中、明るく、前向きに、元気に生きていきたいという願いを込め、創業120年を誇る仏壇・仏具・位牌の老舗メーカー・アルテマイスターと家庭画報とのコラボレーション企画として、「手のひらのおまもり」七福神を作りました。
ギャラリー厨子屋 byアルテマイスター(東京都中央区銀座1-4-4 ギンザ105ビル地下1階)で販売中。詳しくはこちら>>
表示価格はすべて税込みです。
撮影/本誌・西山 航、取材・文/冨部志保子
『家庭画報』2021年10月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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